【西川善司のモバイルテックアラカルト】第31回: ZenFone 3 UltraはXperia Z Ultra難民を救えるのか?

  • 2016年12月29日

いくら西川Zen司だからって、今回で3回もAsusのZen端末シリーズを続けるなんてZen代未聞だ、やり過ぎだ……という声もあったかと思いますが、今回紹介する「ZenFone 3 Ultra」(ZU680KL)で、このシリーズもひとまずの終わりを迎えますので安心してください(笑)。

ついにZenFone 3 Ultraがやって来た

もともと、この「ZenFone 3 Ultra」を使ってみたくて「ASUSさん、貸してください」とお願いしたのがことの発端ですが、評価機がなかなかこちらに回ってきませんでした。

その間に「こんなのもありますけど」という感じで「ZenPad 3S 10」「ZenPad 3 8.0」の「通話できるタブレット」2機種の評価をやる流れになったんです。

とはいえ、ZenPad 3S 10ZenPad 3 8.0の評価は、それはそれで有意義でした。

ZenPad 3S 10は、ボクにとって初めての10インチのAndroidタブレット体験でしたが、ヘッドセットを使えば通話もでき、電子書籍も読みやすくとてもいいマシンでした。

次のZenPad 3 8.0は、映像表示性能と音響性能が優秀で、なおかつ耳に当てて話せるスマートフォンとしての使い方もできる1台2役的な便利さに虜となりました。

果たして、今回の「ZenFone 3 Ultra」はどうなんでしょうか。

1ヵ月以上かけて、ようやく借りることができたZenFone 3 Ultra

2015年~2016年の大画面スマホ事情

「6インチ未満のスマホはスマホにあらず」などと連呼している、そんな大画面☆マニアなボクが今使っているスマホは、6.0インチのFREETELの「極」です。

「6インチ未満は……とかいっているのに6.0インチって!?」「ギリギリじゃねーか!?」といわれちゃいそうですが、この極を購入した2015年から2016年初旬は、大画面スマホの不作の時期でした。

そのため、当時はこの「極」が大画面と性能(と価格も)のベストバランス製品だったのです。

なお、「極」購入の顛末記は、本連載で細かくレポートしているので、興味のある人はこちらをご覧ください。

2016年になると、前回評価したZenPad 3 8.0のような、耳当て通話も可能な、スマホと使い勝手の変わらない8インチのタブレット(ファブレット)も出てきました。

CEATEC2016レポートでも取り上げたLenovoの「Phab2 Pro」のような6.4インチのスマホ(こちらもファブレット)もあります。

そして、今回の主役ZenFone 3 Ultraは6.8インチです。

2016年後期からは、けっこう大画面スマホが豊作になってきているんですよね。

左がボクの今の愛機、FREETELの極(6インチ)。右が今回評価したASUSのZenFone 3 Ultra(6.8インチ)

ZenFone 3 Ultraのスペックを軽く整理してみましょう。

OSバージョンはAndroid 6.0.1、メインプロセッサのSoCは、Qualcomm SnapDragon 652(1.8GHz)です。

前回評価したZenPad 3 8.0はSnapDragon 650でした。

結論からいうと、ZenFone 3 Ultraの方がハイスペックです。

というのも、ZenFone 3 Ultraに採用されているSnapDragon 652は、CPUにARMのCortex-A72×4基、Cortex-A53×4基の8コア構成。

それに対し、ZenPad 3 8.0のSnapDragon 650は、Cortex-A72×2基、Cortex-A53×4基の6コア構成です。

ただし、GPUは共にAdreno 510で基本性能は同じ。グラフィックス性能に大きな違いはありません。

SnapDragon 652、650は、プロセッサのグレード的にはアッパーミドルといったところですが、絶対性能は上位モデルのSnap Dragon 800系に引けをとりません。

あえて大きな違いを上げるとすれば、製造プロセスです。

上位のSnapDragon 800系では製造プロセスが最先端の14nmですが、SnapDragon 600系は先代レベルの28nmとなっています。

これは性能的な差異(動作クロックの高低)以外に、バッテリーの保ちにも違いが出ます。

メインメモリ(RAM)はLPDDR3の4GB。こちらも、2016年モデルとしては上位クラスです。

内蔵ストレージは32GB、microSDカードの対応最大容量はなんと2TBまで。すごいですね。

プロセッサも高性能でメモリも多いので、アプリをかなり同時起動していても、サクサク動いていましたし、既起動アプリが再起動になるケースはまれでした。

メインメモリ4GBって、よくよく考えたら、フルスペックのWindowsパソコン並ですものね。

バッテリー容量は4,600mAhで、スマホとして大きい方です。

充電や通信用の接続コネクタは、前回評価したZenPad 3 8.0と同じく、USB TYPE-Cになっていました。これからは、こっちが主流になっていくんでしょうね。

充電・通信用接続端子はUSB TYPE-Cなので上下無用で接続が可能。今後はこちらが主流か

色はシルバー、グレー、ローズゴールドの3色がラインナップされています。

今回、借りた評価機はシルバーモデルでした。シルバーといってもシャンパンゴールドのような色あいで、画面側のベゼルカラーは白色。かなりシックな見映えです。

グレーとローズゴールドは、ベゼル部分もボディ同系色になっているようです。ローズゴールドは実質ピンクのような色あいです。

ボクがもし購入するとしたら、評価機と同じシルバーですかね。

左からグレー、ローズゴールド、シルバー

6.8インチは大画面スマホ好きには「ちょうどいい」大きさ!

ボクがいちばん気になる画面について目を向けると、ZenFone 3 Ultraの画面サイズは6.8インチで、この大きさ、最高にいいです。

2016年に評価したスマホの中では、「いちばん、ちょうどいいサイズ」と感じました。

8インチのZenPad 3 8.0もかなりいい感じでしたが、ネックストラップ派のボクにとって、8インチはやや大きすぎるんですね。

「重い」とか、そういうことではないんです。

ボクはイベント等の取材時、スマホの他にデジタル一眼カメラ、プレスバッジ(記者であることを示すバッジ)を同時に首から下げています。

場合によっては、ここにビデオカメラも加わることがあるので、スマホが8インチクラスになると、歩いていてガチャガチャと胸元で機材同士が衝突して、なかなかにぎやかです。

ちょっと屈んだりすると、ネックストラップに括り付けられた機材がスイングしてきます。なので、姿勢や状況によっては、スマホを胸ポケットに退避させることがあるんです。

そんなとき、画面サイズが8インチにもなると胸ポケットには入らないんです。

ところが、6.8インチのZenFone 3 Ultraだと、するりと入るんです。

自分の目論みだと、7.0インチ前後までは胸ポケットに入りそうなので、たぶん、今後は自分の中での「大画面スマホの定義」は6インチ~7インチ前後ということになりそうです。

6.8インチ画面サイズのスマホは、胸ポケットに難なく入れられる。7インチくらいまでは胸ポケットに入れられそうではある

それと、6.4インチだったソニーのXperia Z Ultraより微妙に大きいのも、うれしいポイントです。

筆者もかつてXperia Z Ultraユーザーでしたが、ユーザーの多くは、この6.4インチよりも小さい画面の端末に移ることに非常に大きな抵抗があると思うんです。

実際、ボクが6.4インチのXperia Z Ultraから6.0インチの極に移ったときの「なんだよ、ずいぶんと小さいな」感は相当なものでした。

自動車選びでも、今乗っている車の大きさ、車格、エンジン排気量、馬力といったスペックを、乗り換え時には落としたくないといいます。

また、住宅の引っ越しでも、今住んでいるところよりも小さい部屋、あるいは部屋数の少ないところへ移るのには抵抗を抱きがちです。

とはいっても、エンジンの馬力が2倍の車に乗り換えたり、部屋の数が2倍の家に引っ越したりするのは躊躇します。やっぱり「ちょっとだけグレードアップ」が心地よいんです。

そんな意味で、6.4インチのXperia Z Ultraから6.8インチのZenFone 3 Ultraへの画面サイズのステップアップは「ちょうどいい」と思いました。

ほぼ100点満点をあげたいZenFone 3 Ultraの画面ですが、1つだけ減点するとすれば、画面解像度がフルHD(1,920×1,080ピクセル)だということですね。

この部分はXperia Z Ultraと同じですから、ステップアップになりません。

画面解像度が6インチ×WQHDの極(写真左)に対して、ZenFone 3 Ultraの画面解像度は6.8インチ×フルHD(写真右)。Xperia Z UltraもフルHDだ。この画面サイズと解像度だと、電子書籍の見開き閲覧は厳しい

ちなみに、ボクが今愛用している極は、WQHD(2,560×1,440ピクセル)です。

そう、画面サイズこそXperia Z Ultraの6.4インチから0.4インチダウンしましたが、解像度は1.77倍にステップアップしていたのです。

というわけで、できればZenFone 3 UltraもWQHDであれば100点満点で200点くらいはあげられたと思います(笑)。

まぁ、後追いでWQHDモデルを追加してもらってもいいんですけどもね。

でも、気になったのはそのくらいで、表示自体は美しいですし、IPS液晶ですので視野角も広く、見やすく、満足度は高いと思います。

発色も良好で、映像の表示品質も良好だったので、前回、前々回で紹介したボクの「寝る前のYouTubeライフ」は、(評価期間中は)かなり充実したものになりました。

今回もボクはYouTubeをよく鑑賞した。上がZenFone 3 Ultra、下が極。横画面でYouTubeを見るとサウンドがステレオではなくなってしまうのがちょっと残念(詳細は後述)

※画面は『龍虎の拳2』

電話機としての使い勝手は?

ZenFone 3 Ultraは電話機なので、評価期間中は「電話機としての使い勝手」も気にして使っていました。

ZenFone 3 UltraのSIMカードスロットはデュアル構成で、2つのSIMカードを挿入することができるようになっています。

ただし、2スロットとも対応SIMカードサイズはNanoSIMになっています。

また、microSDカードスロットと兼用になっているので、多くのユーザーは「NanoSIM:microSDカード」という組み合わせで活用することになるんだと思います。

今回の評価で1つ困ったのは、自分の極に挿しているSIMがmicroSIMのため、ZenFone 3 Ultraには挿さらなかったのでした。

そろそろNanoSIM主流時代になってきているようなので、ボクも次の端末に買い替えるときは、SIMサイズの切換も考えないとかもです。

ZenFone 3 UltraはデュアルNanoSIMスロット仕様。ただし下側スロットはmicroSDカードスロットと兼任仕様

そんなわけで、通話評価はSkypeやFacebookメッセンジャーの音声通話で行いました。

普段から、ボクは極でもSkypeやFacebookメッセンジャーの音声通話を使っているので、相対的な品質判断はできます。

結論からいうと、普段から使っている私物の極よりも通話の音質がよかったです。

耳に本体をあてがっての通話も音声が鮮明でしたし、スピーカーフォンによる音声品質も携帯電話とは思えないクリアでフラットな音質となっていました。

実際に通話していて、「ああ! なるほど! そのためか!?」と気が付いた、ZenFone 3 Ultraの独特なデザイン部分がありました。

それは背面側にある音量上下操作ボタンです。

ZenFone 3 Ultraの音量上下調整ボタンは背面側に実装されている

一般的なスマホの音量上下操作ボタンは、ボディ側面にありますよね。ところが、ZenFone 3 Ultraはこれがボディ背面、画面の裏側に付いているのです。

最初は「なんでこんなところに?」と思ったのですが、本体を耳にあてがって通話していて気が付きました。

耳にあてがったその状態で、通話音量の上げ下げを人差し指で行えるのです。

たしかに、屋外や雑踏中では普段の通話音量よりも数段上げたい場合はありますし、何かの拍子で音量調整を下げてしまっているときには、音量操作ボタンを使う時はあります。

一般的な音量操作ボタンが側面にあるスマホでは、顔にあてがっていた本体をいったん引き離して、音量調整をすることになります。

ZenFone 3 Ultraならば、これをノールックで行えるというわけです。地味ですが、なかなかの発明かと思います。

本体を耳にあてがっての通話はこんな感じに。「6.8インチは相当大きい」というイメージを抱きがちだが、実際には、それほどは「大きなモノを耳にあてがっている」感はない。人差し指が、自然と背面にある音量操作ボタンにリーチできるデザインにも注目

そういえば、前回のZenPad 3 8.0、前々回のZenPad 3S 10も、本体内蔵のスピーカーが携帯電話としてはかなり高音質でした。

ASUSの「Zen」シリーズはサウンド性能にはかなりのこだわりがあるようですね。

上でも少し触れましたが、今回のZenFone 3 Ultraの評価でも、かなりのYouTube動画を楽しみましたが、当然、その際のサウンドの品質も良好でした。

ただ、ステレオ感は、ZenPad 3 8.0の方がZenFone 3 Ultraよりも優れていました。

というのも、ZenFone 3 Ultraのスピーカーは、本体下部の左右に実装されていて、YouTubeを横画面で楽しんでいるときは、構造的にサウンドは片側のみの再生になってしまうからです。

ステレオスピーカーは縦持ち時の下辺側に実装されている。横画面でYouTubeなどを見るときには、サウンドは片側再生になってしまうのが残念

ここは「好みの問題」ということにもなりそうですが、ボクはYouTubeなどの動画は、必ず最大表示にして横画面にして見ます。

この片側再生になってしまうZenFone 3 Ultraは「好みではない」ということになります。

「イヤフォンしろ」という話もあるんですが、それはそれで面倒臭いですし、なにより、Zenシリーズは内蔵スピーカーの品質がいいので、せっかくですから活用したいですしね。

そうそう、前回の「ZenPad 3 8.0」評価時、「指紋認証機能があれば便利なのに」と書きましたが、ZenFone 3 Ultraには、これが搭載されていました。

本体下部中央にはホームボタンがあるのですが、そこが指紋認証センサーも兼ねているのです。

このホームボタンは縁取り枠付きの物理ボタンになっているので、指触りだけでボタンにリーチできて便利です。

前々回のZenPad 3S 10では、評価機の個体差の関係か、指紋登録が行えませんでしたが、今回はバッチリでした。

ロック解除も、認識ミスはほぼなし。ロック解除はタッチで一発で行えていました。

ホームボタンが指紋認証センサーになっている。これは便利

ホームボタンの左右にもタッチ式のボタンがあり、左には「戻る」ボタン、右には「タスクマネージャ」ボタンが設置されていて、これも便利でした。

今使っている極は、戻る、ホーム、タスクマネージャの各操作ボタンが画面下をスライドタッチしないと出現しないので、どうしても各操作がワンアクション余計にかかってしまいます。

YouTubeの全画面再生や、全画面表示アプリを使っているときなどは、この「操作ボタンを出すためのスライドタッチ」操作でアプリ内の変なボタンを押して「わー」となってしまうこともしばしばあります。

ZenFone 3 Ultraは、この3つのボタンに直接リーチできるので、そういうことが避けられます。

「ホーム」ボタンは実体のある物理ボタン。その左には「戻る」、右には「タスクマネージャー」のタッチボタンが実装されている

細かいことですが、使いやすさってそういう細かいことから実感するモノですからね。

使いやすさといえば、画面が大きくなったことで、文字入力も行いやすかったです。

以前お話ししましたが、ボクは文字入力をフリック入力ではなく、ソフトウェアキーボードを使って入力するのですが、しかも、その方法がなんと、かなキー入力なのです。

普段の原稿執筆も、ローマ字入力ではなく、かなキー入力です(笑)。

でもって、画面が大きくなると、ソフトウェアキーボードのキーサイズが大きくなって押しやすくなるのです。

まぁ、これが大画面スマホが好きな理由の大きなポイントの1つにもなっているんですが。

6.8インチ画面のZenFone 3 Ultraは、明らかに、6インチ画面の極よりもソフトウェアキーボードが大きく表示され、入力がやりやすくなっていました。

日本語入力には「nicoWnnG」を活用。かなキー入力に対応したソフトウェアキーボードが利用できるのがポイント!

おわりに

短い間でしたが、ZenFone 3 Ultraとのお別れは、相当に名残惜しいものになりました。

本気で買い替えたいと思ったスマホは久々です。西川善司お気に入りスマホランキングでは現状、暫定1位ですよ。

まあ、ただ、現行愛機の極は、買ってからまだ1年足らずといったところですし、経済的な理由もあってすぐに買い換えるのは難しいんです。

しかし、ZenFone 3 Ultraという製品シリーズが、ボクと相性が良さそうだということはじゅうぶんに分かりました。

それと、ボクとは違って、今でもXperia Z Ultraを使い続けているユーザーで「あぁ……次の端末がない。困った」とお嘆きの人には、このZenFone 3 Ultraは、買い換え筆頭候補としてオオスメできます。

で、ですね。もし、この後、「ZenFone 4 Ultra」があるならば、指紋センサーや使い勝手の面や画面サイズはこのままで、画面解像度をWQHD化か、それ以上に。

サウンドは、横画面でステレオ再生可能にしてほしいと思っています。

今回、かなり理想に近い大画面スマホに遭遇したわけですが、だからといってボクの大画面スマホ探求の旅はまだまだ終わりません。

6.4インチ画面のLenovo「Phab2 Pro」とかも気になっていますし、西川善司のターゲットスコープから意図的に隠れているかのような、5.9インチ画面のHUAWEI「Mate 9」とかも気になっています。

2017年も「西川善司のモバイルテックアラカルト」では、こうした大画面スマホ評価の回があるかと思います。

2017年もよろしくです!

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