【法林岳之のFall in place】第25回: 虹彩認証や防水で進化を遂げた「Galaxy Note7」グローバル向け発表

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今年、国内でもNTTドコモとauから発売されたフラッグシップモデル「Galaxy S7 edge」が好調のサムスン。8月2日にアメリカのニューヨークにおいて、「SAMSUNG Galaxy Note Unpacked 2016」を開催し、もう1つの主力モデルであるGalaxy Noteシリーズの最新モデル「Galaxy Note7」を発表した。今回、この発表会を取材し、ひと足早く実機を試すことができたので、その様子と実機の印象をレポートしよう。

大画面とペンで進化してきたGalaxy Noteシリーズ

Galaxy Sシリーズと並ぶサムスンの看板モデルとして、安定した人気を持つGalaxy Noteシリーズ。

2011年9月に初代モデル「GALAXY Note」が発売され、国内でも2012年4月にNTTドコモから「GALAXY Note SC-05D」が発売されている。

「SAMSUNG Galaxy Note Unpacked 2016」が開催されたニューヨークのHammerstein Ballroom

その後、グローバル向けには2012年8月には2代目モデル「GALAXY Note II」、2013年9月には3代目モデル「GALAXY Note 3」、2014年9月には「GALAXY Note 4」と「GALAXY Note Edge」、2015年8月には「Galaxy Note 5」が発表され、各国の市場に送り出されている。

国内向けではNTTドコモとauが販売してきたが、一昨年はGALAXY Note Edgeのみの発売で、GALAXY Note 4の販売が見送られ、ついに昨年のGalaxy Note 5が発売されず、Galaxy Noteシリーズの国内販売が途絶えている。

Galaxy Noteシリーズが各国で人気を得てきた背景には、大画面スマートフォンに対する高いニーズが存在した。

初代モデル当時、多くのスマートフォンが4インチ台のディスプレイを搭載したのに対し、GALAXY Noteはいち早く5.3インチのSuperAMOLED(有機ELディスプレイ)を搭載し、Webページのブラウズ、ゲームやムービーなどのエンターテインメントコンテンツを快適に楽しめる環境を実現した。

GALAXY Note IIでは5.5インチ、GALAXY Note 3では5.7インチでフルHD対応、GALAXY Note Edgeでは5.6インチWQHD対応と、大画面高解像度のディスプレイを搭載することで、他製品をリードしてきた。

国内市場ではコンパクトなスマートフォンの人気が根強いが、欧米やアジア諸国では大画面スマートフォンが高い人気を得ており、GALAXY Noteシリーズはその先駆け的な存在となった。

また、Galaxy Noteシリーズのもう1つの特徴は、ワコムの技術を採用した「Sペン」と呼ばれるペンだ。

それまでも手書き入力そのものはパソコンなどで利用されてきたが、手帳サイズのスマートフォンでペンによる手書き入力が利用できることで、ビジネスパーソンだけでなく、クリエイターにも広く人気を得た。

従来モデルでは発売後に、Galaxy Noteシリーズでイラストレーターが似顔絵を描くといったイベントが各地で企画され、好評を得てきた。

虹彩認証と防水で進化

今回発表されたGalaxy Note7は、昨年発表されたGalaxy Note 5の後継モデルに位置付けられる。型番として、「5」から「7」へ飛んでしまった印象もあるが、Galaxy S7 edgeとそろえるという意味合いで、Galaxy Note7と命名されたようだ。

発表イベントではサムスンのMobile Communication DivisionのDJ Koh社長が登壇

ボディについては、基本的にGalaxy S7 edgeの流れをくむデザインを採用しており、ディスプレイの両端を湾曲させたデュアルエッジディスプレイを採用する。

ただし、Galaxy S7 edgeに比べ、かなり両端に寄った部分を湾曲させ、背面パネルも前面と同じように湾曲させることで、シンメトリカル(対称的)なボディに仕上げている。

Galaxy Note 5の後継モデルとして発表されたGalaxy Note7

ディスプレイは従来モデルよりもひと回り大きい5.7インチだが、ボディ幅はGalaxy Note5よりも2.2mm狭く、Galaxy S7 edgeと比較しても0.9mmしか大きくなっていない。

ちなみに、ひと回り小さい5.5インチのディスプレイを搭載したiPhone 6s Plusは幅が77.9mmと、Galaxy Note7よりも4mmも幅広になっている。

ボディは5.7インチディスプレイを搭載しながら、ボディ幅を73.9mmに抑えている

ディスプレイは5.7インチのQHD(2560×1440ドット)対応のSuperAMOLEDを採用し、表面と背面にはCorning製Gorilla Glass5を採用する。Gorilla Glass5はこれまでのものに比べ、傷が付きにくく、割れにくいことを特徴としている。

バッテリーは3,500mAhの容量を持ち、Galaxy S7 edgeなどと同じように、内蔵固定式となっている。充電は底面に備えられたUSB Type-C外部接続端子を利用するか、ワイヤレス充電を利用する。AFC/Quick Charge3.0の急速充電にも対応する。

ちなみに、USB Type-C外部接続端子はGalaxyシリーズで初採用になるが、microUSBの充電器やケーブルなども広く利用されているため、パッケージには変換アダプタが同梱される。

外部接続端子は今後、主流になると言われているUSB Type-Cを採用

CPUはサムスン製Exynos 8990 2.3GHzクアッドコア/1.6GHzクアッドコアを採用するが、国と地域によってはQualcomm製Snapdragon 820 2.15GHzデュアルコア/1.6GHzデュアルコアを採用するモデルも展開される。

メモリーは4GB、ストレージは64GBを搭載し、最大256GBのmicroSDメモリーカードも装着が可能だ。

カラーはBlack Onyx、Silver Titanium、Gold Platinum、Blue Coralの4色をラインアップ

カメラは国内だけでなく、グローバル市場でも高い評価を得ているGalaxy S7 edgeの12Mピクセルのデュアルピクセルセンサーを採用する。

インカメラは5Mピクセルのイメージセンサーを採用し、メイン、イン共に、F1.7の明るいレンズを組み合わせる。

基本的な仕様はGalaxy S7 edgeと同等だが、画像処理エンジンなどのファームウェアは最新のものに更新されており、暗いところでの早いフォーカスや明るい写真の撮影は一段と進化を遂げている。

今回のGalaxy Note7のハードウェアで、もっとも大きく進化を遂げたといえるのが虹彩認証によるセキュリティと防水だ。

虹彩認証は国内でも富士通製のARROWS NX、グローバルではWindows 10 MobileのMicrosoft製Lumia 950XLなどに採用されているが、本体前面に備えられた赤外線LEDを使い、眼球に照射された赤外線を赤外線カメラで読み取り、虹彩パターンを取得することで、認証を行なう生体認証技術だ。

従来の指紋認証に加え、虹彩認証にも対応。認証のレスポンスもかなり速い

ホームボタンにはGalaxy S7 edge同様、指紋認証センサーも内蔵される。これらの生体認証と連携する形で利用できる「セキュリティフォルダ」という機能も搭載されており、ユーザーが選んだアプリやフォルダ、アカウントなどを表示しないようにする設定を可能にしている。

防水についてはGalaxy S7 edgeと同等のIP68に対応しており、Sペンについても同様に防水対応となっている。

そのため、雨に降られたときなど、水しぶきがかかった状態でもペン操作が可能で、発表会では水中でのSペンによる手書き入力のデモも行なわれていた。

IP68準拠の防水に対応。Sペンも対応しているため、水中でのペン操作も可能

Sペンも進化

Galaxy Noteシリーズのアイデンティティともいえるペンについても大幅に進化を遂げている。

従来のGalaxy Note 5に比べ、ペン先が1.6mmから0.7mmになり、ペンの動きを検出するスキャンレートも約1.5倍の360Hzに向上し、圧力検知も従来の2倍の4,096段階に引き上げられている。

これらの改良により、Sペンでの書き味は格段に改善され、線画のような繊細なイラストから、油絵のような微妙なタッチの絵まで、自由に描けるようになっている。

また、従来のGalaxy Noteシリーズでは機能拡充に伴い、Sペン対応のアプリが少しずつ増えてしまい、メモを取ったり、絵を描いたりするときに、アプリを切り替える必要があったが、今回から「SAMSUNG Note」と呼ばれるアプリに統一され、扱いやすくなっている。

Sペンそのものの機能としては、従来に引き続き、ペン先を近づけたときにアクションを起こす「エアビュー」が利用できるが、今回はGoogle翻訳と連携し、92カ国語に対応した「翻訳」、最大300%まで拡大表示が可能な「ルーペ」などが追加される。

Sペンをかざしたエアビューでは、さまざまな言語を翻訳する機能を搭載

エアビューによる翻訳はGoogle翻訳を利用しているため、日本語にも翻訳が可能

Sペンをかざすと、最大300%まで拡大できるズーム機能を搭載

ちなみに、エアビューの翻訳はWebページや文書だけでなく、カメラで撮影した画像を文字認識をさせて、翻訳できるため、アルファベット以外の文字を利用する言語を訳したいときにも役に立つ。

コンテンツに関わるところではGalaxy S7 edgeに引き続き、ゲームAPIのVulkan APIがサポートされているが、家庭用テレビで今後の普及が期待されているHDRコンテンツをモバイル環境で実現する「mobile HDR Video」に対応するなど、エンターテインメントの機能も充実している。

VRコンテンツを楽しむためのGear VRについては、Galaxy Note7の外部接続端子がUSB Type-Cに変更されたこともあり、新開発のGear VRが発売されることも合わせて発表されている。

気になる国内向けの発売についてだが、今のところ、サムスンからも各携帯電話会社からも何もアナウンスされていない。

しかし、すでにサムスン電子ジャパンのWebページには製品情報が掲載されており、国内販売を期待させる状況を見せている。

特に、昨年、Galaxy Note 5を国内向けに発売しなかったことについては、サムスン関係者だけでなく、各携帯電話会社の関係者からも「失敗だったかも……」と悔やむ声が数多く聞かれており、今年のGalaxy S7 edge好調の波に乗って、復活を期しているという見方もある。

イベント後のタッチ&トライはなかなか見ることができないほどの大盛況

機能的にも充実し、実機の試用感もかなり良好だったことを考えると、ぜひとも国内市場での展開に期待したい1台といえそうだ。