#コンパス【戦闘摂理解析システム】

りゅうせー×164が教える桜華忠臣誕生秘話

  • 2017年08月02日

『#コンパス~戦闘摂理解析システム~』(以下、#コンパス)の、ヒーロー誕生に迫るインタビューシリーズ第6弾。今回は謎多き総帥「桜華忠臣」の誕生秘話に迫る。キャラクターデザインを担当したりゅうせーとテーマソング「残響」を担当した164に話を伺った。

“総帥”桜華忠臣の素性に迫る!?

軍服姿の妖術使い、総帥と呼ばれること以外の素性は一切謎に包まれた男「桜華忠臣」。

アタッカーとしてバランスのいい性能や、クールな性格とセリフで、根強い人気を誇るヒーローだ。

キャラクターデザインはりゅうせー、テーマソングは164が担当。声を演じるのは柿原徹也さんだ

また、忠臣はniconicoのクリエーターが、キャラクターデザインから関わった最初のヒーローでもある。

どのような変遷を経て、忠臣は現在の形になったのか。その誕生秘話を、りゅうせーと164に伺った。

絵師・映像作家としてマルチに活躍するりゅうせー

忠臣のキャラクターデザインを担当したりゅうせーは、個性と芸術センスあふれるタッチのイラストや動画で、数多くのVOCALOID-PV(ボカロPV)の魅力を引き出してきた人気絵師。

現在では、絵師としてだけでなく、映像作家としての活躍も目ざましく、アニメ『Re:CREATORS』では13話にて特別エンディングの映像を担当した。

そのほか、GLAYのニューアルバム『SUMMERDELICS』収録の「シン・ゾンビ」のミュージックビデオも手掛けるなど、ニコニコ動画にとどまらない活躍を見せている。

シン・ゾンビ/GLAY

彼のニコニコデビューは2010年。ニコニコ動画のユーザーとして、ボカロ曲を視聴していたりゅうせーは、「ネットの世界で目立ちたい」という思いを抱いていた。

子どもの頃からイラストを描くのは得意だったが、ネットで注目を集めるほどの画力があると思ってはいなかった彼は、「イラストと動画の両方ができれば、注目を集められるんじゃないか」とニコニコ動画での投稿を思い立った。

当時はまだAfter Effects(※1)が高くて買えなかったため、大学のコンピューター室にこもって、PV描いてみたの動画を制作したという。

※1 After Effects:アドビシステムズが販売している2Dの映像加工ソフト。テレビや映画の映像加工、ゲーム、アニメなどのコンテンツ制作に使用される

「最初の動画はあまり再生数は伸びなかった」と彼は振り返るが、それでも動画を作る楽しさから、その後も次々と動画を投稿していった。

パンダヒーロー/ハチ

大きなターニングポイントとなったのは、大学の卒業研究の自主制作アニメーション「七罪プロジェクト」。

ニコニコ動画で公開するやいなや、大きな注目を集め、それをきっかけに絵師・動画制作者としての活動の幅を広げていく。

七罪プロジェクト -其の壹-

そして、大学卒業後、北海道から上京。じん(※2)やラムネ(※3)など、ニコニコ動画で活躍するクリエーターたちとともに、シェアハウスで共同生活をしながら、精力的に作品を作り続けていく。

※2 じん:ニコニコ動画で活躍するボカロP。P名は自然の敵P。「人造エネミー」から始まる「カゲロウプロジェクト」は、小説・漫画・アニメとメディアミックス展開された

※3 ラムネ:ニコニコ動画で活躍するボカロP。P名は村人P。りゅうせーとはR-Squareのコンビ名で楽曲を発表している。現在は、バンド「サイダーガール」のギタリスト「知」として活動している

脱法ロック/Neru

夢のまた夢/まふまふ

歌は、『#コンパス』ユーザーには、ジャンヌのテーマソング「マチガイサガシ」でおなじみのまふまふ。りゅうせーはイラストと動画を担当

「明確に、絵で食べていこう!という決意があったわけではありませんでした」と話すが、クリエーターと交流し切磋琢磨するなかで、多彩な作風を身に着け、現在に至っているという。

忠臣は渋くてダンディなおじさんだった!?

「自分の描いたキャラクターに声がついて、ゲームの中で動き出すなんて、とんでもない仕事が来たと思い、興奮しました」

話を聞いた瞬間に、二つ返事で引き受けていたと『#コンパス』の依頼を受けたときのことを、りゅうせーは振り返る。

開発から渡されたオーダーは、「軍人」「総帥」「サイコパワー」といったものだった。

ヒーロースキル「グリート拘束呪式解放」など妖術を操る忠臣だが、最初にオーダーを聞いたときのりゅうせーの反応は「サイコパワーとは?」という状態だったと話す

多彩な画風を持つりゅうせーだが、特に人気が高いのは等身が低いキャラクターが毒のあるセリフや動きをするというもの。

しかし、『総帥』という言葉から等身を高めに設定する。いつもと違う自分をアピールできるチャンスと思ったものの、一方でユーザーに受け入れてもらえるか不安もあったという。

そして、軍人と総帥のキーワードから、イメージをふくらませた初期のラフには、筋肉質な中年男性の姿の忠臣がいた。

最初期のラフは「『妖軍一統ゲネラール』のような姿だった」という。また、武器も刀ではなく鎌になっているなど、現在の忠臣からは想像のできない姿だった

渋いキャラクターだったが、「これでは人気が出にくいだろう」と年齢を若返らせたり、髪の毛を短くしたりと試行錯誤を繰り返した。

しかし、3Dになるキャラクターデザインに慣れていなかったこともあり、新たな問題に直面する。

かっちりと軍服を着こなし、髪の毛も短い忠臣は、3Dモデル化した際にキャラクターのシルエットが、他のヒーローと比べて、地味になってしまう恐れがあった。

軍服を着崩すのはむずかしいため、新たなパーツを追加する必要があった。

結果、誕生したのは、「爪」と呼ばれる肩の装飾。これにより、もうひとつのキーワードだった「サイコパワー」の要素も解決した。

軍服、爪のほかに、まがまがしさを足すために、手足に目玉や口が追加され、現在の忠臣のフォルムが完成した

総帥といえば、忘れてはならないのは、その手下として登場するケルパーズの存在。

もとは総帥の部下となるキャラクターとして、獣人や妖精などバリエーション豊かな種族を考えていたという。

しかし、Nランクのカードのイラストとして、バリエーションがありすぎると豪華になりすぎてしまうので、しぼる必要があった。

「忠臣の手足につけた目玉を、そのまま頭にして、軍服を着せて軍隊っぽくしようという発想でした。それがまさかステージになるとは……」と現在のケルパーズの扱いについて、りゅうせーは驚きの表情を見せる。

強面でクールな忠臣に対して、ゆるくかわいらしいケルパーズのギャップがマッチしたのか、今やゲームを代表するマスコットキャラクターとなっている

なめらかな歌声から生み出されるボカロロック

忠臣のテーマソングを担当することになったのは、エモーショナルな曲調や、パワフルなバンドサウンドから織りなすボカロロックで人気を集めるボカロP、164(イチロクヨン)。

そのデビューは2008年9月の『shiningray』。ボーカロイドとは思えない滑らかな歌声が話題となり、公開から1週間で10万再生を達成し、殿堂入りを果たした。

shiningray/164

164と音楽との出会いは小学生時代。当時、the FIELD OF VIEWやDEENなどがブームになっていたこともあり、小学校5年生の時に、友人からバンドに誘われたのが始まりだった。

学年全員参加の鼓笛パレードで、小太鼓を担当していた164は、ドラムを担当することになり、以来中学、高校とバンドでドラムを担当してきたという。

一方で、ドラムだけでなく、中学時代に父親から譲りうけたギターの演奏を始めたという。

「学生のバンドだと、ドラマーが少ないので需要があるのですが、僕も目立ちたいとおもっていたので(笑)、ギタリストにあこがれがありました」

学校ではドラムを演奏し、家ではこっそりギターを練習していたが、高校を卒業してバンドのギタリストが上京したのを機に、ギタリストとしても活動をスタート。

ドラム、ギター、ベースとバンドサウンドに必要な楽器をすべてこなせるようになっていた。

バンドでは、ハードロック、スカ、ハードコアパンクなど、さまざまなジャンルのバンドを経験するも、作詞・作曲、各パートの編曲など、すべてを自身で担当していたという。

「ライブが終わって、機材の運搬車を運転しているときに、『ひとりでいいじゃん!』って気づいてしまったんです(笑)」

そんな思いが募り、バンドを辞めた直後、初音ミクブームが訪れた。

自分が唯一できないのが歌うことだったという164は、すぐさま初音ミクの購入を決意。培ってきたマルチな能力を惜しみなく発揮し、人気ボカロPの仲間入りを果たす。

その後は、2011年に発表した「天ノ弱」が100万再生を達成。

天ノ弱/164

また、40mPとのコラボで「タイムマシン」と「未来線」を発表。お互いの曲と歌詞をミックスする楽曲や、演奏の掛け合いが注目を集めた。

タイムマシン/1640m(作詞164×作曲40mP)

未来線/1640P(作詞40mP×作曲164)

「僕はギターを持って曲を作らないんです」と自身の音楽づくりの秘密を明かす。

ボカロロックの作り手というと、メインとなるギターをかき鳴らしながら作曲する姿を想像するが、ギターを持たずに作曲するというのは意外である。

鼻歌でメロディを作りながら作曲するという流れは、一般的な作曲の流れとは同じ。

しかし、伴奏を作るときは、ギター以外の楽器から打ち込んでいき、ボーカルの後の最後にギターを入れるのが164流。

作曲の途中でキーを変えたくなったときに、調節するのが容易なピアノやベースに対して、ギターは、キーとなる音を決めてしまうと、後からキーを調節するのが難しい。

「ギターを最後に入れることで、曲全体からギターの音が浮かび上がってきます。その結果、ギターを聞かせる曲が完成します」

より忠臣のイメージに近づけるための試行錯誤

では、忠臣のテーマソング「残響」はいったいどのようにできあがっていったのだろうか。

「残響」がほかのキャラクターのテーマソングと大きく違うポイントは、イントロ・メロ・間奏と同じギターリフが使われているということ。

もとからRPGなどの音楽が好きで、ゲーム音楽を聞きこんでいたという164によると「ゲームのBGMは、1つのモチーフを何度も使うというのが手法としてある」という。

一方で、ボカロPが普段投稿している曲は、イントロ、メロ、サビと目まぐるしくメロディーが変化する。

「いつもの曲では、ゲーム内で戦いながら曲を聴いている人にとって、耳に残りにくい恐れがありました」

その結果、164が導き出した答えは、自身の武器であるギターサウンドを生かしたギターリフ曲だった。

ゲームBGMと一般の曲の大きな違いは、音楽だけに集中して聴ける環境が整っているとは限らないという点。バトルに夢中になっていると聞き逃してしまうなんてことも多い

また、ギターリフが外れるサビにも164の狙いがあった。

最近のゲームのBGMでは、サビがある曲も多く、解放感のあるメロディが最高潮のタイミングで展開されることは、ゲームの戦闘曲などを盛り上がらせる要素。

「あえてストレートに行こうと思った」と164が語る通り、「残響」のサビで展開される「嗚呼 今~」と伸びのある歌声は、プレイヤーの気持ちを高揚させ、よりバトルを激しくさせている。

そんな印象的な曲をさらに強めるのは、「今、一つ~ 又、二つ~」とリフレインされる歌い出しの歌詞だ。

その歌詞について「実は『残響』も、歌詞が一回変わっているんです」と164は明かす。

この歌詞の変遷には『#コンパス』らしい事情も含まれている。

それまでにゲームのキャラクターのイメージ曲の制作の経験はあったが、キャラクターの性格や設定がすでにしっかり固まったうえでの制作だった。

しかし、『#コンパス』ではキャラクターの設定を自身で考えていかなければならない。

「最初に考えた歌詞では、忠臣のキャラクターをつかみきれなくて、『悪役』という感じの内容になってしまい、忠臣のイメージから浮いてしまいました」

デモを提出したものの、できに納得できなかった164は、開発に頼んで忠臣のセリフの台本を見せてもらったという。

「我という一人称と難しい単語を使うセリフ回し。そして『またつまらぬものを斬ってしまった』と言いそうなクールなイメージから歌詞を書いていきました」

その過程のなかで、曲と同じく「今、一つ~、又、二つ~」と繰り返す歌詞の形式となっていった。

これによって曲と同じく聞く人の耳に残りやすくなる。そして、「情報量が限られる」ため、聞く人の想像力が働かせる狙いもあるという。

テーマソングの歌詞について「必ずしも、そのキャラクターが、どんな性格や設定であるかを歌詞の中で説明する必要はありませんが、『このヒーローはこんな性格だ』というイメージを作者が持っていないといけない」と164は話す

ボーカロイドの選択について、KAITOなどの男声ボカロも候補にあったというが、最終的には自身が得意とするGUMIを選んだ。

ボカロの調整でトップクラスの実力者である164によれば「初音ミクが『1時間で80点が取れるボカロ』なら、GUMIは『1日かけて100点が取れるボカロ』」だという。

GUMIは、複雑な歌詞を歌うのは苦手だが、単純に「アー」とだけ言わせたら、すごく人間らしい声が出る。

「複雑な歌詞をそのまま歌わせると聞けたものじゃありませんが、時間をかけて修正していくことで、100点満点が取れる。そこがGUMIの良さです」

そのような、細やかなボーカロイドの調整もあり、忠臣のテーマソング「残響」は完成した。

グスタフはスキンヘッドだった!?

忠臣とグスタフといえば、『#コンパス』のヒーローのなかで唯一、その世界観がリンクしていることが明らかになっているヒーローでもある。

忠臣だけでなくグスタフのデザインも担当しているりゅうせーに、その誕生秘話も聞いてみた。

2017年3月のアップデートで登場したヒーロー「グスタフ ハイドリヒ」。キャラクターデザインは忠臣と同じくりゅうせー、テーマソングはniki。声を演じるのは山路和弘さんだ

グスタフの設定といえば、「毒兵器をまとう残虐な軍団指揮官」。「毒」や「バーサーカー」がキーワードだ。

開発チームからのオーダーは、アメコミのヴィラン(悪役)というものだった。

「実はグスタフは、最初、スキンヘッドだったんです」とりゅうせーは、初期のデザインを教えてくれた。

「開発チームが例として挙げたアメコミのヴィランがみんな、『スキンヘッドのバーサーカー』だったんです」と制作を始めたばかりのことを明かす。

さらに、声優が山路和弘さんというのも大きかった。

「その頃、映画『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』を観ていて、ジェイソン・ステイサム演じるベーコンの声の吹き替えを山路さんが当てられていたんです」

そんな、偶然も重なり、自然とグスタフにもスキンヘッドのイメージが刷り込まれていった。

グスタフといえば、猛毒を発生させる装置のデザインも欠かすことができない。

毒ガスのイメージから、排気ガスやエンジンをイメージしたボディスーツができていったが、ある時、りゅうせーは再び我に返る。

「このままでは、また人気が出にくいデザインに引っ張られてしまうのでは……」

そんな思いもあり、開発チームとも相談のうえ、現在の髪型のグスタフのデザインに落ち着いたのだという。

なお、グスタフの腕にまきついたチューブは「ただのスーツだけでは暗い色合いになってしまうので、戦っているときに映えるように明るくする」という意図が込められているという

ニコニコ動画で公開されたボカロPVでは、忠臣の「残響」とグスタフの「グラーヴェ」の両方を、りゅうせーが担当している。

しかし、忠臣の「残響」のPV、そのキャラクターを見せるような作りなのに対し、グスタフのテーマソング「グラーヴェ」は、彼の半生を描くようなストーリー仕立てになっている。

この違いについて、りゅうせーに質問してみた。

グラーヴェ/niki

りゅうせーは「グラーヴェの歌詞が『何もない日々を 知ってまた僕は きっとボロボロになるのだろう』と、歌詞の一人称が『僕』だと気づいたのが始まりでした」とそのきっかけを明かす。

「こんな大男にも、自分のことを『僕』と言っていた過去があるんじゃないか」という思いから、ストーリー仕立てのPVの制作を決めたという。

忠臣との関係性については気になるところだが、「ふたりの関係は、彼らが背中合わせでともに戦う関係というPVのイメージがすべて。あとはユーザーのみなさんのご想像にお任せします」と話す。

『#コンパス』は、ゲーム内にストーリーがほとんどないぶん、ユーザーの方がいろいろと想像して二次創作を楽しめる余地があるのも大きな魅力だ。

彼らの過去についても、想像を巡らせてみるのもいいのかもしれない。

「164さんとnikiさんには、自由にPVを作らせていただけたので、自分のやりたいことにチャレンジできた」とりゅうせーは話す。『残響』のPVのライドシンバルに合わせて、斬撃のエフェクトが出る演出に「心が通じたと思った」と164は話す

制作時は、人気が出ないのではないかとりゅうせーが、心配をしていた忠臣とグスタフだが、今では多くのユーザーに愛されるヒーローとなっている。

そんな忠臣ユーザーに向けて、164は「音楽を担当した立場として、『#コンパス』を遊びながら、音楽にも聞いていただければ幸いです」と話す。

自身も『#コンパス』を遊んでいるというりゅうせーは「ガードブレイクが登場したこともあって、忠臣が活躍しやすい環境が整ってきていますので、ぜひ使ってみてください」とアピール。

「ゲーム内のライバルはルチアーノだと思っています。負けず嫌いなので、使用率でトップに立ちたいです(笑)」と熱い思いを話してくれた。

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