【変ゲー1人探検隊】第5回: パンツでズボンな変ゲー

実母と「パンツ」の話をすると、だいたい変なことになる。古い世代の彼女にとって、我々がいうところの「パンツ」を指す単語は永久に「ズボン」以外にありえない。しかし、実母の世代は、「パンツ」と聞けば必ず下着を連想してしまうのだ。

加えて笑いのツボがゆるゆるで、些細なことでも爆笑してしまう性分なものだから、「あのパンツスーツさー」とか、「パンツスタイルが」なんてことをいったが最後、「何あんた、突然パンツとか……ブフッ……ゲラゲラ」と爆笑が始まり会話が成り立たない。

英語では(いわゆるズボンの方の)パンツはtrousersと呼ばれることもある。

パンツが主人公のゲームとかあったら頭おかしいよな……と思いながら調べてみたところ、おそろしいことにそんなものが存在することがわかってしまった。

今回の変ゲー探検隊は、スマホで触れる「パンツ」の世界を紹介する。

iTrousers

『QWOP』という古いゲームをご存じだろうか。本作はその系譜に連なる由緒正しい変ゲーである。

ただし、自キャラクターはアスリートではなく、派手なパンツの下半身だ。なぜ、下半身しかないのか。それにはまず、本作の先祖に当たる『QWOP』を説明する必要がある。

『QWOP』はQ、W、O、Pの4つのキーで左右の腿とすねを動かし、こけまくるアスリートを走らせる努力をするPCゲームだ(スマホ版もある)。リズミカルに、理にかなった順でキーを押さねば走れない。

現代のアレンジバージョンである『iTrousers』は、プレイヤーの苦労を軽減するため、足の動きをプログラム可能にしたのだ。

『マインクラフト』もびっくりの粗いブロックキャラクターが主人公。下半身とクジラから成り立っている。倒れるとクジラは簡単にもげる

しかし、足の動きが重要なゲームであるというオリジナルのコンセプトを大切にした結果、キャラクターはついに必要なパーツ、下半身だけになったということなのだろう。

いや待て。大切にしていない気もしてきた。

プレイヤーは複雑なキー操作をする必要はない。タップで下半身君(仮名)を走らせ、こけたらプログラムを微調整する。この繰り返しだ。

これは華麗にジャンプしているのではない。重力を無視する設定にして空中で足をバタバタさせ飛んでいるのだ。脚の設定は左下のコンソールで行う

おそらく、自分のタップグセにぴったりの走り方を作ることができるように、このようなシステムにしたのだろう。しかし、筆者はものの数分で「QWOPの方がましだ」と思い始めた。

どれだけ理に適う足の動きを模索し、細かくパラメータをいじっても、まったく思うように走れないのだ。

しかし、何十回かの試行錯誤の後、真実にたどり着いた。こいつは『QWOP』のコピーではない!

「理」なんてものを投げ捨て、重力に逆らうような動きに設定したところ、ゲームがすいすいと進行し始めたのだ。

もはや、下半身君は地面を蹴って走るアスリートではない。空中で足を泳がせ、空を飛ぶ何か別なものに変貌した。今までの苦労は何だったのだ。

開発者はこれをエンドレスランナーの一種と位置付けているようだ。走破距離がハイスコアとなり、同ジャンルの例にもれず下半身君の着せ替えも楽しめる。そして、腰の上に載っているクジラもチェンジできる。

人気ゲームの要素を取り入れたふりをしておきながら、オリジナルの魅力を遥か遠くに投げ捨てた怪作だ。

コインをためて着せ替えが楽しめる。このモビルスーツっぽいのはどう見てもあれだ。コピーライト的に危険なアイテムを用意するのはやめんか

Men in Pants

「パンツを履いた男」というストレートなネーミング。こちらのパンツはアンダーパンツ、つまり下着のことだ。

パンツ一丁の男を打ち上げ、飛距離を競う。人数とラウンドを選んでパンツ男を飛ばして遊べる。重なり合った男たちが物理演算で予想外の動きを見せ、絡み合うことも。

野郎を飛ばす。着地したところに不運にも先客がいると追突し、その後組んず解れつの激しいシチュエーションになることもある。これ、美青年キャラクターだったら、なかなか危険だったのではないか

キャラクターデザインに生々しさはなく(乳首はあるが)、危険な要素があるとは思えないが、本作は17歳以上対象の成人向けゲームとなっている。豊かな人間の想像力を危険視してのことだろうか。

大昔のゲームかな、と思ったがリリースは2015年の10月29日。比較的新しい作品だったのが意外だ。最近の作品にしては珍しく、着せ替えやキャラクターチェンジの要素はない。

何人で何ラウンド遊ぶかを選ぶ。パンツ野郎どもを飛ばす。記録を競う。それだけだ。

マルチプレイが楽しめる本作。最大30人のパンツ男勝負ができる。プレイヤーの数が16人を超えると、1ラウンド勝負に固定される

単純でばかばかしい作品だが、なかなかいいと思ったのが、タップでゲームを早送りできること。失敗がわかっている回は連打すればすぐ終わり、次のプレイヤーのターンが回ってくるのだ。

1回広告動画を見ると、オプションを開くことができる。30秒ほど待たされるのは面倒だが、オプションの設定によってゲームのばかばかしさと難易度が微妙に変化するので、一度は試してもらいたい。

広告を1度見るとアンロックされるオプションでは、デカ頭モード、障害物設置、地雷設置などが追加できる。衝突がダイナミックになるため、予測不可能な記録が生まれる

製作者はゲーム説明の欄で、ゲームを越えた遊び方を強力に提案している。

  • ビールを買ってくる使いっぱしりを決める罰ゲームに
  • コーヒー当番を決めるルーレットに
  • ヤギの所有権の決定する公平なくじに

仲間同士のジョークゲーム、軽いパーティゲームとしてなかなか優秀かもしれない。バカゲー、変ゲーの皮、いやパンツをかぶったそこそこ遊べる作品。

(c) 2015 Daniel Truong
(c) 2015 Scraping the Ba