『Android N』開発者プレビューがリリース!ゲームに使える新機能も!

Googleが突如、Android OSの次期バージョンとなる、通称『Android N』の開発者向けプレビューをリリースした。さまざまな新機能が盛り込まれたこのバージョンを、実際にインストールしてみたので、その使用感をゲームを通して試してみる。

次期Androidを一足先に試す!

Android OS新バージョンの開発者向けプレビューは、例年5月に行われる開発者向けのイベント「Google I/O」にて発表し、Factory Imageで公開するのが通例であった。

しかし、今回は例年より早く、さらにOTAでの配信も行われた。Factory Imageでの手動インストールは従来どおりで行うことができるが、OTAで行う場合はAndroid BETA ProgramからGoogleアカウントでログインし、端末単体でインストールできる。

このAndroid N開発者部レビューが対応する端末は、

  • Nexus 6
  • Nexus 5X
  • Nexus 6P
  • Nexus Player
  • Nexus 9
  • Pixel C

の6機種で、Nexus 7(2013)とNexus 5は現時点では対応していない。

Nexus端末のメジャーアップデート保証期間は2年なので、2013年に発売された両機種が対象外になるのは当然だが、現在この2つの機種についてもAndroid N開発者プレビューが準備中との噂もあるようだ。

  • Android N開発者プレビューのFactory Imageはこちらから

  • Android BETA Programはこちらから

Android BETA Programにアクセスすると、Android N開発者プレビューを簡単にインストールできる

Factory Imageも公開されているので手動でのインストールも可能だが、OTAでインストールする方がより簡単に導入できる

ただし、このリリースはあくまで開発者向けのバージョンであるため、さまざまな不具合や動作しないアプリやゲームも多数存在すると思われる。

バージョンを戻すことは可能だが、その場合は開発環境を用意して手動でFactory Imageをインストールすることになるので注意してほしい。

今回の配信は、正式版リリースまでの期間を長く設け、より多くのフィードバックを開発者からもらう狙いがあるようだが、それにしても何の前触れもなくリリースされたことには驚きだ。

マルチウィンドウとピクチャ・イン・ピクチャ

現時点で明らかになっているAndroid Nの大きな新機能には、「マルチウィンドウ」と「ピクチャ・イン・ピクチャ」の2つがある。

画面を2分割できるマルチウィンドウ

マルチウィンドウは画面を分割して同時に2つのアプリを表示できる機能。

これまでは各メーカーが独自機能として搭載している場合もあったが、Androidの標準機能となることで、アプリ開発者は対応が容易になると思われる。

メッセージでやり取りしながらブラウザで調べものをするなど、画面サイズが大きいスマートフォンやタブレットをより活用できる

ワイプのような小窓表示ができるピクチャ・イン・ピクチャ

ピクチャ・イン・ピクチャはNexus Player向けの新機能で、画面下にワイプのように別のアプリを表示できるものだ。

右下に動画を表示しながら別の作業を行える

どちらも1つの画面でマルチタスクを可能にするもので、大画面化が進むスマートフォンやタブレットをより有効活用できるようになるだろう。

ちなみに、マルチウィンドウについてはAndroid 6.0発表時に実装が噂されたが、リリース時には隠し機能となり一般的には使用できなくなった。今回のAndroid Nで正式にお披露目となるようだ。

ゲームの起動を実機で確認した結果……

今回はNexus 6PにAndroid N開発者プレビューをインストールして、いくつかのアプリやゲームを試してみた。

OTAでのアップデートを行ったが、筆者の場合は3回失敗してしまった。ダウンロードとインストールを繰り返してなんとかインストールできたが、失敗した原因は不明だ

ベンチマーク測定

まずは『Antutu Benchmark』使用してベンチマークを測定してみた。

現行バージョンである『Android 6.0.1』の状態で事前に測定していた数値と、『Android N』開発者プレビューインストール後の数値を比較してみる。

左:『Android 6.0.1』、右:『Android N』開発者プレビュー

結果は両バージョンでの差はあまりなく、誤差程度のものだった。3Dの数値も高く、高グラフィックのゲームも問題なくプレイできそうだ。

しかし、『Android N』では数回の測定で5万台や6万台になることもあり、ブレが大きい印象だ。今後安定したバージョンがリリースされれば、また違った結果になるかもしれない。

パズドラ、モンストは起動せず

次に『デレステ』をプレイして、ゲームでの操作感を試してみる。楽曲は「お願い!シンデレラ」のMASTERを選択し、グラフィックは「3D標準」でプレイしてみた。

まずゲームが起動するか不安だったが、問題なく起動。LIVEでも動作は安定していて、モタつきやカクつきもなかった。Android 6.0.1と比べても特に差はなく、デレステに関しては普段どおりプレイできるようだ。

だが、『パズドラ』や『モンスト』でも試してみようとしたところ、こちらは起動すらできなかった。

現時点では、プレイできるものとそうでないものの差が激しいようだ。日常的にプレイしているゲームがある場合、Android Nのインストールにはじゅんぶん注意が必要だ。また、人気タイトルをプレイできるかどうか一通り試してみたので、下記の表も参考にしてみてほしい。

ゲームタイトル起動可否
マーベル ツムツム
ポケとる スマホ版不可
逆転オセロニア
にゃんこ大戦争不可
クラッシュ・ロワイヤル
トレインクラッシャー
ベーモンキングダムΩ
セブンナイツ不可
ガルズモンズ不可
マビノギデュエル
ドミネーションズ不可
クラッシュフィーバー
キン肉マン マッスルショット

※編集部で独自に起動の確認をした結果であり、ゲームの動作保証をするものではありません。

マルチウィンドウの使用例

続いて新機能のマルチウィンドウの活用法を、ゲームプレイヤー目線で考えてみた。

マルチタスクが可能になることでまず思いつくのは、攻略情報収集だ。ブラウザとYouTubeを同時に表示させ、文章と画像と動画を同時に見ることができ、効率よく情報を集めることができる。

縦画面では2つのアプリを上下に表示

横画面は左右に表示できる

もちろん、それぞれ独立して操作可能なので、攻略記事と攻略動画を同時に追うこともできる。実際の利用シーンでも、このような使い方が多いのではないだろうか。

ゲームプレイ時に2分割は使用不可

さらに、ゲームをプレイしながら攻略サイトや動画が見れれば便利だと思い試してみたが、これはどのゲームでも使用不可だった。

画面を分割しようとすると、下の画像のようにメッセージが表示され、強制的に1画面で表示されてしまう。

縦表示、横表示どちらのゲームでも結果は同じだった

今後ゲーム側が対応すれば分割も可能になるかもしれないが、スマートフォンのディスプレイサイズで、二分割でのゲームプレイは少々無理があるかもしれない。

だが、Nexus 9などのタブレットであればじゅんぶんプレイできると思うので、今後の対応に期待したい。

その他の機能と変更点

その他にもゲームには直接関係ないが、Android Nではさまざな機能が追加、変更されるようだ。

たとえば、ステータスバーを引き下ろすと上部にWi-Fiなど、よく使用するトグルスイッチが表示されるようになったり、設定画面も見やすく変更されている。

また、ディスプレイの表示サイズが変更できるようになり、一度に表示される情報量を自分好みに設定できたり、ナイトモードの実装でシーンに合わせてより見やすい表示が可能になった。

さらに、省電力機能「Doze」が機能向上したことで、バッテリーが長時間持つようにもなるみたいだ。

よく利用するトグルスイッチに素早くアクセスできる

表示サイズを最小にすれば、長い記事を読む時にスクロール量を減らせるので便利

現状の『Android N』開発者プレビューは、ブラウジングやメッセージのやり取りなどは特に問題ないが、ゲームに重点を置くと常用は難しそうだ。

また、『Nexus Player』で利用できる「ピクチャ・イン・ピクチャ」も、今回は試すことができなかった。今後、開発者プレビュー版は数週間ごとにアップデートが行われる予定なので、機会があれば今回紹介した機能以外も試してみたい。