勇者ヤマダくん【ゲームレビュー】

Onion Gamesが開発した『勇者ヤマダくん』は、一筆書きのパズルゲームに『トルネコの秘密のダンジョン』のようなローグライク要素を付加したダンジョンRPG。本作には、『moon』や『王様物語』など、独自の世界観でコアな人気を博しているゲームクリエイター木村祥朗氏や倉島一幸氏も開発に参加。昨年の東京ゲームショウでテストプレイが行われ、多くのユーザーに注目されてきた作品だ。

36才のおじさんが、妄想世界で勇者になって女子高生とピュアラブ!

ヤマダくんという主人公が作るゲームを、デバックという形でプレイすることになる本作。デバックを行うとヤマダくんの開発力が上がっていき、妄想ゲーム内に新たなシステムやダンジョンが追加される仕組みだ。2Dドット絵の世界観と単調なようで深いビープ音が、昔懐かしいスーファミ時代を思い起こしてくれる。

ストーリー

本作の主人公ヤマダくんは、大手ゲーム会社「帝国ゲームス」に勤務している36才の平社員。インディーズゲーム作りが趣味で、適当に会社をサボりながら、シコシコと妄想RPGの製作に取り組んでいた。そんなある日、隣に引っ越してきたかわいい女子高生マリアちゃんに、ヤマダくんはひと目惚れ。自作ゲームにマリア姫として実装するほどの熱の入れようだったが、ときを同じくして、帝国ゲームスを牛耳る、帝国グループ会長綾小路ヒデ丸にクビをいい渡されてしまう。さらに会長は、ヤマダくんの自作ゲーム内に魔王として登場。ヤマダくんの唯一の楽しみである、ゲーム作りも奪われてしまうのだった。果たしてヤマダくんは自分のゲームを取り戻し、マリアちゃんとの恋を成就することができるのか!?

天国から地獄へと、怒涛の展開となったヤマダくん。このまま働かずにゲームを作っていて大丈夫なのだろうか!?

ちなみに本作のサウンドは、数々のゲームサウンドを手掛けた杉山圭一氏、ゲーム途中で導入されている歌は、演歌BOSSA創始者 のカオリーニョ藤原氏が担当している。両方とも、30代40代の中年おじさんにヒットする音楽なので、無音ではなく、音楽付きでプレイすることをおすすめする。

なぜか魔王になった綾小路が歌う魔王城のCM。このように、全体的に生ぬるい感じでゲームは進んでいく

一筆書きでダンジョンを走破せよ

本作のダンジョンは、5×5の盤面となっている。ここで、スタート地点からゴールのEXITまでを、一筆書きになるよう道をなぞり、勇者を無事にダンジョン最奥までたどり着かせるのがゲームの目的だ。

なぞったあとを、勇者が一気に走り抜ける。途中にモンスターがいる場合、倒さない限り、先に進めない

道を残してゴールすると、残ったマスの数だけダメージを受ける。もちろん、最終的なスコアにも影響してくるので、できるだけ全マスを埋めて先に進むことをおすすめする

ローグライク要素を含む本作。ダンジョン内でモンスターを倒すと、勇者ヤマダのレベルがアップするが、ダンジョンをクリアすると再びレベル1に戻ってしまう。通常のローグライクゲームだと、敵から逃げて先に進むこともできるが、一筆書きで全マス走破が基本の本作では、すべての敵と戦うのが前提だ。そのため下記のように、武器や防具の強化が重要になってくる。

ローグライクゲームの基本的な進め方

  1. ダンジョン内で武器や強化アイテムなどを入手
  2. ダンジョンクリア後、武器や防具を強化
  3. 強力になった装備品で、より難易度の高いダンジョンに挑戦

ダンジョンで入手できるアイテムは、突入前に確認できる。当然ながら、ダンジョンをクリアしないと持ち帰れないので、最初はクリア可能なところを何度も挑戦し、武器防具を強化しよう

勇者ヤマダの行く手を阻むモンスターとトラップの数々

ダンジョン内に登場するモンスターは、スライムのようにただプヨプヨしているだけのやつから、弓矢や魔法を使うもの、毒を吐いてくるものなど、実にさまざま。それらを一筆書きの道順と、最大5個まで所持できるアイテムで、どれだけ効率よく倒せるかが、ダンジョン攻略のカギとなる。

弓矢を使うモンスターは、同じ縦横の列にいると攻撃してくるが、壁を間に挟めば矢を弾くことができる。また大量の敵が出現するモンスターハウスでは、全体攻撃の魔法が有効だ

ダンジョンの最奥では、強力なボスモンスターが登場。ボスを倒せば、ダンジョンクリアとなる。なお、途中でやられてしまうと、入手したゴールドとアイテムはすべてなくなってしまうが、課金アイテムの「おにぎり」で復活することも可能だ

ヒミツのダンジョンでスペシャルな報酬をゲット!

本作には、通常プレイで進めるダンジョン以外に、「ヒミツの呪文」を使うとプレイできる、特別なダンジョンがある。このダンジョンでは、特別な報酬がもらえたり、大量のゴールドをゲットできたりするので、ヒミツの呪文をゲットしたら、プレイしてみるのをおすすめする。

魔法使い系のモンスターが出現する「マジカルスクール」。ヒミツの呪文は、公式ツイッターなどで公開されているので、チェックしておこう

さまざまな装備品を強化、コレクション

武器には剣、斧、槍などの種類がある。それぞれ、剣は攻撃力と命中率のバランスがよく、槍は2マス貫通し、斧は特技を習得できるが命中率が低いなどの特徴をもつ。特定のモンスターに効果の高い武器もあるので、どれか1つに絞るのではなく、用途や対モンスターごとにさまざまな武器を強化しておきたい。

武器を最大まで強化すると、レア度が1段階アップする進化が可能になる。進化素材は、ダンジョン内の宝箱やクリア報酬で入手できる

武器防具をシリーズで一式そろえると、ステータスにボーナスがつき、さらに珍コレクションとして登録される。また一度出現したモンスターは、モンスター棚でHPや攻撃力、特徴などを確認できるようになる。強敵はここで能力をチェックし、弱点を探っておこう

やればやるほどハマる、おっさんの不思議なダンジョン

25マスという限られたスペースにも関わらず、一筆書きという要素を取り入れることで、かなり奥深いゲーム性をもつ本作。同じマップでも一筆書きのルートは複数あり、最も効率がいいのはどれなのか、かなり考えさせられてしまう。また、某不思議なダンジョンのように、ランダム生成されるダンジョンも、もちろん搭載。毎回、新鮮な気持ちでゲームをプレイすることができるのは、この手のローグライク好きにはたまらない要素だ。

見た目はドット絵の昔ながらのゲームだが、一筆書きとローグライクRPGという斬新なコラボと、今風のコミュニティ要素も完備した本作。しかも、ゲームを遊びながら女子高生とのピュアラブも楽しむことができる、おじさんゲーマーの夢がギュッと詰まった作品といえるだろう。

  • 使用した端末機種:iPhone 6s
  • OSのバージョン:iOS 9.0.2
  • プレイ時間:約4時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0
  • 課金総額:0円

(C)DMM.com POWERCHORD STUDIO/Onion Games