City Run London【ゲームレビュー】

『City Run London』は、敵の視界に入らないよう闇に紛れて目的地へと侵入する、ステルスアドベンチャーゲームだ。開発したのは、本作の舞台でもあるイギリスの開発チームCity Quests。まるで映画のような重厚なグラフィックに、『Heaven 17』のメンバーを中心にした本格的なサウンドも搭載。混沌とした中世ヨーロッパのダークな雰囲気を味わえる、大人向けの作品に仕上がっている。

16世紀のロンドンを舞台に闇に潜む女エージェントが疾走する

本作の主人公であるウィラは、聖ドミニコ会に所属するエージェント。暗闇に紛れ、音をいっさい立てずに任務を遂行するところから、「モス(蛾)」というふたつ名を持っている。そのウィラの仲間であるジョセフが、敵に捕らえられてしまったところからゲームはスタート。ジョセフを助け出すため、ウィラは寒風吹きすさぶロンドンへと足を踏み入れる。

線の太いアメコミ調のグラフィックが、ダークファンタジーのストーリーとベストマッチしている

ゲーム内のボイスはすべて英語やイタリア語だが、設定で日本語の字幕をつけることができる

最初のステージは、イギリス史上最も悪名高いといわれている「ニューゲート監獄」だ。ウィラはここで、生首に話しかけている薄気味悪い看守たちに見つからないよう、先に進まなければならない。

中世の血塗られた歴史が刻まれているニューゲート監獄。このように本作では、実在する場所が多数登場する

敵の視界を避けながら、行く手を阻むギミックの謎を解け

ゲームの進め方はとても単純で、行きたい場所をタップするだけ。タップした場所にはマークが表示され、そこを目指してウィラが移動していく。先の状況がわからないときは、近い場所をタップして少しずつ移動させよう。

階段の上や曲がり角などでも自動で移動し、下に落ちることなく、きちんと目標地点へと到達してくれる。道が途切れていたり、障害物がある場合は、タップした時点で進めないということを英語でしゃべってくれる

看守たちの視界は、明るい光で表示されている。移動する際は、その視界に入らないように背後に回ったり、障害物に隠れるなどしてやり過ごそう。なお視界に入った場合でも、1秒程度だったら大丈夫なので、しっかりと距離を見据えて移動しよう。

看守の視界がサーチライトのように移動している。隙をみて、光が当たらない場所にウィラを移動させよう。なお、複数看守がいるときもあるので、1人やり過ごしても油断は禁物だ

監獄内には、上下に移動する床など、アクションパズル的なギミックも登場する。ほんの少しでも踏み外すと、手前からやり直しになってしまうので、移動するときは細心の注意を払いたい。

次の階段までの通路が、分割して上下に移動している。完全に次の床が平らに繋がった状態でないと、足を踏み外したことになるので注意しよう

ところどころにあるスイッチを押すと、じゃまな障害物を取り除いたり、新たな道がつながるなどの変化が起こる。迷路のような監獄の、入口へと導いてくれる重要なギミックだ

視界がわかりづらいときは、目のアイコンをタップ

クォータービューの本作では、移動に応じて視点が変わらず、ある地点に行くと視界が切り替わるシステムをとっている。そのため、建物に隠れているところなど、わかりづらい場所が多々出てくる。そこで便利なのが、左上にある目の形をしたアイコンだ。ここをタップすると引きの画面になり、周囲の状況を確認できるようになる。

まるで、だまし絵の中にいるような感覚。ここで視界を変えると…

やや上空からの視点に変化。先にある道がどうなっているのかまで、確認できるようになった

視点を変えると、蛾のような生き物が進む方向を示してくれるときも

非常に凝った作りのステルスゲーム

まるで戯曲のようなストーリーに、フルボイスで謎めいたセリフがポンポンと飛び出す本作。劇場で見ているかのような斬新さがありながら、ステルス作品に必要な緊迫感もほどよく表現されている。また、音楽のみならず、歯車のきしむ音や吹雪といった効果音にも非常に力が入っているのも特徴。ぜひ、ヘッドフォンでプレイするのをおすすめする。

なお、スイッチがあるステージでやり直しになった際、ギミックが動いた後の状態でやり直しとなり詰んでしまうバグがあった。これは一度メニューに戻り、章からのリスタートで対応できるので、そこでハマってしまった人は試してほしい。

  • 使用した端末機種:iPhone 6 / iPhone 5C
  • OSのバージョン:iOS 9.2
  • プレイ時間:4時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.6

(C)2015 City Quests Media Ltd.