変形ギミック満載のゲームコントローラー『L.Y.N.X. 9』実機レビュー(ゲーム編)

前回はメカメカしいデザインと変形ギミックが圧倒的インパクトを誇る、Mad Catzのゲームコントローラー『L.Y.N.X. 9』の外観や変形パターンについて紹介したが、今回はこのコントローラーを使用してさまざまなジャンルのゲームをプレイしてみたインプレッションをお伝えしよう。

変形ギミック満載のゲームコントローラー『L.Y.N.X. 9』実機レビュー(ハード編)はこちら

L.Y.N.X. 9専用アプリの機能と内容

L.Y.N.X. 9でゲームを始める前に、Google Playで専用アプリ『Mad Catz L.Y.N.X.9』をダウンロードしておこう。このアプリから、コントローラーの設定、バッテーリー残量の確認、対応ゲームのインストールなどを行うことができる。

『Mad Catz L.Y.N.X. 9』のトップ画面。各種端末の設定や対応ゲーム一覧にアクセスできる

コントローラーの変形や端末との接続方法をわかりやすく説明

「軸の設定」からは、左右のスティックとR2/L2ボタンの感度調整も可能だ。微妙な力加減が必要になるFPSやレーシングなどで遊ぶ場合、ここで自分に合った調整をするといいだろう。

各ボタンの感度調整や軸の修正が行うことができる。また、デッドゾーンを設定し、入力の有効範囲も調整できる

各ボタンの動作チェック画面。操作に違和感を感じたら、ボンタが正常に反応しているか確認してみよう

コントローラーのバッテーリー残量、ファームウェアバージョンの確認、スリープタイマーの設定も行える

また、L.Y.N.X. 9が正式に対応しているゲームのダウンロードもここから可能。

RPG、アクション、レースなど、さまざまジャンルのゲームが対応している

対応ゲームのインプレッション

今回は正式対応のゲームから5本選んで遊んでみた。

FIFA 15 Ultimate Team

コンシューマー機でも人気の『FIFA 15 Ultimate Team』は、プレイヤーが各選手を自分で操作するタイプのサッカーゲーム。パスの長さやシュートの威力の調整、ドリブルでディフェンダーを抜き去るテクニックなど、細かい操作を必要とし、コントローラーでの操作がしやすそうなタイトルだ。

本作はスマホ単体だと、画面に表示されるバーチャルパッドを使用して選手を操作する。こういったゲームでは一般的な操作方法だが、これには「自分の指で画面が隠れる」という欠点がある。

画面に表示されるバーチャルパッド

自分の指で画面が隠れ、慣れるまでどれがどのボタンか分かりづらい

この欠点を解消できるのが、L.Y.N.X. 9のようなコントローラーだ。『L.Y.N.X. 9』を接続するとバーチャルパッドが消え、画面をじゃまするものがなくなる。これだけでもじゅうぶん快適だが、『FIFA 15 Ultimate Team』は対応ゲームなだけあり、あらゆる操作が非常にいい具合にコントローラーの各ボタンに割り当てられている。

コントローラーを接続すると、画面にその旨が表示される

コントローラーを接続したときの画面。バーチャルパッドが非表示になり、画面全体が見やすくなった

ボタン長押しでのキック力の調整もバーチャルパッドよりしやすく、自分の感覚に近い強さ、長さのシュートやパスが打てる。選手の移動も細かい動きができ、相手にボールを奪われてからゴール前までフリーで持って行かれてしまうということもなくなった。個人的には、コントローラーの方が上手にプレイできる感じだ。

スマホをディスプレイとして独立させられるので、操作性、視認性は格段に向上する

『FIFA 15 Ultimate Team』では特殊なプレイにスワイプを使用するが、それらの一部はRやLボタンに割り当てられていた。しかし、すべてがカバーされているものではなく、画面に線を描くようにして打つシュートなどは、当たり前だが対応できない。それでも総合的に見てL.Y.N.X. 9の方が快適にプレイできたのは、やはり手元を見ずに済むからだろう。

Real Racing 3

続いては、ハイクオリティーなレーシングゲーム『Real Racing 3』を試してみる。こちらはレーシングゲームで多く採用されている、端末の傾きによるステアリング操作、自動アクセルおよび手動ブレーキが標準操作として設定されている。端末のジャイロセンサーを使用したハンドル操作は感覚的でわかりやすく、かつ実際に車を運転しているような気分になれるので、個人的には嫌いじゃない操作方法だ。

スマホを傾けて、まるで本物の車のように操作する。画面の腕と自分の腕が連動しているように見え、非常にリアルな感覚だ

『Real Racing 3』は操作方法の種類が多く、手動アクセルやボタンを使用したステアリングも行うことができる

L.Y.N.X. 9を接続してみると、いつもコンシューマー機でプレイしているのと同じ感覚でプレイできる。しかし、スティックの感度が高過ぎるのか、微妙なライン取りが思うようにいかない。スムーズにコーナリングするのではなく、カクッカクッと曲がる感じだ。このあたりは感度調整で改善できそうだが、少なくとも標準状態ではスマホでの操作の方が運転しやすかった。

少しでもスティックを倒しすぎると、思った以上にハンドルを切ってしまう。緩やかなカーブが曲がりづらかった

とはいえ、スマホ操作もハンドルと連動してディスプレイも動いてしまうのが難点だ。自然に自分の体もよじれるように動いてしまう。『Real Racing 3』に関しては一長一短という感じだが、一応、同じコースを同じ車でスマホとコントローラーそれぞれで走ってみた。

上がスマホで、下がコントローラーで走ったタイム。差はコンマ数秒なのでほとんどないといってもいいだろう

感度調整次第とは思うが、コントローラーでの操作のしづらさを感じたのは意外だった。だが、これはあくまで「端末の傾きでステアリング操作を行なった場合」の話しだ。その他の操作方法と比べると、コントローラーの方がかなりよく、アクセルとブレーキが手動の本格的な操作をしたいなら、コントローラーでのプレイをおすすめする。

モダンコンバット5:Blackout

FPSからは人気タイトル『モダンコンバット5:Blackout』を選択。1人称視点で次々と現れる敵を正確に撃ち抜かなければならない本作は、まさにコントローラー操作にうってつけのタイトルと予想する。

スマホ操作で感じた最大の難点は、視点変更とショットボタンの被りだ。画面右半分が視点変更の操作範囲で、その中にショットボタン、武器変更ボタンなどが混在する。

スマホ操作ではバーチャルパッドを使用する。画面右側に火器の操作ボタンが集まっている

この操作系だと、視点変更中に誤って武器を変更してしまったり、撃つつもりがないのに発砲したりしてしまう

これをL.Y.N.X. 9に変更すると、バーチャルパッドが消え、画面がスッキリする。もちろん視点変更中のミスも起きない。正直なところ、バーチャルパッドでFPSは無理なのでは? と思うほど、劇的に操作しやすくなった。トリガーボタンがR2に割り当てられることで両手の親指が自由になり、「移動しつつ視点移動して発砲」というFPS必須作業も難なくこなせるようになった。

視界をさえぎるボタンがなくなり、敵にも早く気付けるように

コントローラーのボタンには、さまざまな機能が割り当てられている。スマホ操作に比べ、あらゆる動作を素早く起こせるようになった

視点移動と発砲の動作が分断されると、どうしても相手の動きに付いて行けなくなってしまうので、『モダンコンバット5:Blackout』だけでなく、FPSはできるだけコントローラーでプレイした方が良さそうなジャンルだと感じた。

Cordy 2

横スクロールアクション『Cordy 2』では、あまりスマホ操作とコントローラーでの差は感じられなかった。スマホ操作だと、他のゲームと同じように指で画面が隠れてしまうが、本作についてはそれもあまり不便には感じない。『FIFA 15 Ultimate Team』や『モダンコンバット5:Blackout』に比べ、あまり画面全体を注意する必要がないからだろうか。

基本的に使うボタンは左右キーとジャンプボタンだけ。操作方法が単純なことも、コントローラーとの差を感じにくい要因か

コントローラーを接続しても、バーチャルパッドは消えない。『Cordy 2』は設定にバーチャルパッドの表示/非表示があり、コントローラー未接続時でも非表示にできる

唯一、スマホ操作とコントローラーで差を感じたのが、敵を踏みつけるときだ。動く敵に向かってジャンプして落下するとき、敵の弱点である頭に合わせるのがスマホ操作だと微妙に難しい。空中での位置調整はコントローラーの方がしやすいが、スマホ操作でもできないことはないので、無理にコントローラーを使う必要はなさそうだ。

スマホ操作だと空中での移動距離が把握しづらく、うまく敵の頭上を狙えない

これくらいシンプルなゲームであれば、あまりスマホ操作とコントローラーに差はないようだ。コントローラーを接続する手間を考えれば、そのままスマホでプレイした方がいいのかもしれない。

餓狼 MARK OF THE WOLVES

では、複雑なコマンドを常に入力する格闘ゲームではどうだろうか。対応ゲームの中から、『餓狼 MARK OF THE WOLVES』をプレイしてみる。

本作でももちろんバーチャルパッドを使用するが、ボタンをフル表示にすると、方向キーを合わせて9個ものボタンが画面上に描かれる。ものすごく見づらい。また、ボタンを押している感覚がないので、パンチボタンとキックボタンを間違えることも多々ある。

操作できないこともないが、やはり技は出しにくい

超必殺技も出せはする。しかし、狙ったタイミングで繰り出すのは難しい

こういった操作しづらさを考慮して、コマンドには「オリジナル」と「SP」の2種類があり、SPコマンドを使えば比較的簡単に技を出すことができる。しかしこれは、格闘ゲームファンからすれば物足りないものになるだろう。

一方向入力+SPボタンで簡単に技が出せる。超必殺技も同様

何とかバーチャルパッドでも問題なくプレイできないかと、キーピッチやボタンの大きさも変更してみたが、大きな変化は得られなかった。

ボタンの位置や大きさを細かく変更でき、標準より使いやすくはなるが、見づらいことには変わりなく、劇的に操作性が改善されるわけでもなかった

ということで、L.Y.N.X. 9の登場だ。これはもう比べるまでもないと思うが、圧倒的にコマンド入力がしやすい。狙ったタイミングで狙った技がちゃんと出せるし、バーチャルパッドが非表示になり画面も見やすい。

コンシューマ機とほぼ変わらない感覚でプレイできる。ラグも筆者には感じられなかった

アナログスティックスティックでの操作も可能だが、コマンドが入れにくい。十字キーでプレイするのをおすすめする

何度か両方でプレイしてみて、格闘ゲームについては完全にコントローラーが優位だと感じた。スマホ操作でもまったくプレイできないわけではないので、「コントローラー必須!」とまではいわないが、やはりコントローラーをガチャガチャするの自体が楽しい。スマホの格闘ゲームで遊ぶ際は、ぜひコントローラーを使っていただきたい。

格ゲーマニアのクイックレビュー

EVO2015に自費で参加するほどの、編集部随一の格闘ゲーム好きに実際に『餓狼 MARK OF THE WOLVES』をプレイしてもらってインプレッションを聞いた。

スマホ操作とコントローラー操作、比べるまでもなくこれはコントローラーの方に軍配が上がるのだが、『餓狼 MARK OF THE WOLVES』には特定のタイミングでA+Bボタンを押して必殺技を中断する「ブレーキング」、相手の技が当たる直前にガードすると発生する「ジャストガード」などのテクニックがある。

アーケードでリアルタイムに遊んでいたプレイヤーだと、当然これらのテクも使っていきたいのだが、タイミングがシビアなため、コントローラーを使ってもキビしいことが多数。もともとはアーケードのスティックでプレイしていたので、当然といえば当然なのだが。

そこまでハイレベルな対戦が発生することはまずないだろうが、少し歯がゆい。

正式対応以外のゲームも試す

ここまでは『L.Y.N.X. 9』に正式対応しているゲームばかりだが、そのほかのゲームも気になるところだろう。ここからは、正式対応以外のゲームで個人的に特に『L.Y.N.X. 9』と相性がいいと感じたものを紹介していく。

アヴァベルオンライン

まずはアソビモの人気MMORPG『アヴァベルオンライン』だ。美しいグラフィックと自由度の高いゲーム性、そして豊富なアバターの着せ替えなど、今やスマホMMORPGを代表する作品だ。もちろん『L.Y.N.X. 9』の対応ゲームではないが、『アヴァベルオンライン』は他社のスマホ用ゲームパッドに対応している。もしやと思い試してみたところ、案の定だ。

広大なフィールドを自由に冒険できる、人気MMORPG『アヴァベルオンライン』

本作はバーチャルパッド上で移動、攻撃、ジャンプ、前転、座る、アイテム使用、視点変更などを行うが、これらすべてL.Y.N.X. 9で正常に動作した。残念ながらバーチャルパッドは表示されたままなので、視界が広がることはないが、スマホでの操作よりずいぶんプレイしやすくなる。なお、各アクションは以下のボタンに割り当てられている。

  • 左スティック:移動
  • 右スティック:視点変更
  • Aボタン:攻撃
  • Bボタン:座る
  • Xボタン:アイテム1
  • Yボタン:アイテム2
  • R1ボタン:ジャンプ
  • L1ボタン:前転

基本動作はほぼコントローラーで行えるが、メニューの展開などはディスプレイをタッチする必要がある。コントローラーのトラックパッドを使用してもクリックできなかった

ジャンプや前転などのアクションも問題ない。R・Lボタンに割り当てられているので、ジャンプ攻撃などがスマホ操作よりも楽に出せる

また、MMORPGといえば仲間たちとの会話も楽しみの1つだが、ここでL.Y.N.X. 9のキーボードが非常に活きてくる。通常はチャットボタンを押した場合、全画面が文字入力画面になってしまうが、外部キーボードを接続した場合だと、下半分にだけ表示される。右上のメッセージウィンドウを見ながら入力できるのはうれしい。

上が通常の文字入力画面。下がL.Y.N.X. 9のキーボード接続時。周りの状況を見ながら文字入力ができる

予測変換も使用可能だ

パワースマッシュ チャレンジ

続いてはコンシューマ機でも人気のテニスゲームのスマホ版である、『パワースマッシュ チャレンジ』をプレイしてみた。リアルなグラフィックと動きが特徴的なタイトルだが、スマホ版の操作方法がとても独特で、筆者はこれに慣れるのに大変苦労した。

選手の移動とストロークが、一度のタップで行われる。バーチャルパッドを使用した操作にも切り替えられるが、操作方法を変えられるということ自体に、しばらく気づかなかった

これにL.Y.N.X. 9を使用すると、左スティックで移動、各ボタンで球種の打ち分けと、一般的なテニスゲーム同様の操作が行える。慣れの問題もあるだろうが、やはりこちらの方が俊敏な反応ができると思う。

臨機応変に対応できるポジション取りなど、アバウトな操作がしやすいのもコントローラーの利点だ

METAL SLUG 3

最後は横スクロールアクションの名作『METAL SLUG 3』を試してみた。操作方法は単純なので、バーチャルパッドでもさほど苦労せずに遊べるが、METAL SLUGには出現する敵の位置によって弾を撃ち分ける操作がある。これがバーチャルパッドだとうまくいかないことがあり、非常にストレスがたまる。

上に向けて撃つのがとてもやりづらい。また、勝手に上方向への入力が解除されてしまうこともある

このストレスもL.Y.N.X. 9を接続すれば解消される。変化としては小さいが、意図しない動作で何度もキャラが死んでしまい、もうやる気をなくしていたゲームなだけに、快適にプレイできるのはうれしい。全面クリア目指して先に進めそうだ。

ちょっとした不満が解消されるだけで、楽しくプレイできる。さらにいろいろなタイトルで試してみたくなるコントローラーだ

「ハード編」「ゲーム編」と2回に分けて紹介したL.Y.N.X. 9だが、見た目のインパクトだけでなく、ゲームコントローラーとして高いポテンシャルを持っていると感じた。タッチ操作のゲームが苦手な方は、一度これを体感してみてほしい。正式対応しているゲームは今のところそれほど多くはないが、対応ゲーム以外でも問題なく動作するものはあるので、いろいろなゲームで試してもらいたい。飽きてしまったゲームでも、また新鮮な気持ちで楽しめるのではないだろうか。

(C)2014 MAD CATZ INTERACTIVE, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
(C)2015 Electronic Arts Inc.
(C)2014 Electronic Arts Inc. All Rights Reserved.
(C)2015 Gameloft. All rights reserved. Gameloft and the Gameloft logo are trademarks of Gameloft in the U.S. and/or other countries. All other trademarks are the property of their respective owners.
(C)2013 SilverTree Media
(C)SNK PLAYMORE CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED.
(C)ASOBIMO,Inc. All rights reserved.
(C)SEGA, the SEGA logo, VIRTUA TENNIS and VIRTUA TENNIS CHALLENGE are either registered trade marks or trade marks of SEGA Holdings Co., Ltd. or its affiliates. All rights reserved.
(C)SNK PLAYMORE CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED.