Five Minutes Before【ゲームレビュー】

『Five Minutes Before』は、崩壊していく地球に残された人々をたった1機の宇宙船で救出するフライトアクションゲーム。近未来を思わせる街並みが崩壊する中、噴射と重力と慣性で機動する宇宙船を操り、助けを求める人々を乗せていく。ファミコンの名作『アストロロボSASA』のような独特な操作感と、『Minecraft』を思わせるブロックベースのグラフィックが特徴だ。

推進できるのは一方向のみ! 風に流される宇宙船を乗りこなせ

ステルス爆撃機のようなフラットな形状が特徴的な自機。これが地球上の人々を救出する救援機であり、そのまま宇宙へと脱出する宇宙船でもある。紙飛行機のような質感ではあるが、実際、飛行中は風の影響も受けるので、風に流されてビルに激突なんてことも起こり得る。

そんな自機がどうやって飛行をするのかといえば、実は自機底面に備え付けられた噴射エンジンで垂直方向に推進できる。さらに噴射とは別に独立して姿勢制御ができるので、飛びたい方向に底面のエンジンを向けて、前後左右に飛行することが可能となっている。垂直離着陸ができるので、ヘリコプターのような感覚で人命救助もお手のものだ。

世界が終わる「5分前」を意味するゲームタイトル。いったい何が起こったのか……?

自機を前傾姿勢にすれば前進するが、風や重力の影響も考えなくてはならない。アクセルもブレーキも全部1つの噴射エンジンでまかなっている

操作は画面の左半分をスワイプすることで噴射エンジンのスロットルを制御、右半分で姿勢制御となっている。燃料は噴射エンジンを使用すると減っていき、基地で補給することができる。攻撃してくる敵などは出てこないが、一定以上のスピードで壁や地面と接触すると即ゲームオーバーなので、危険は多い。風や慣性の影響もあって真っ直ぐ飛ぶことすら難しく、繊細な操作を要求されるので、両手でのプレイは必須だ。電車の中で立ってプレイするのも厳しいだろう。

燃料がなくなると噴射エンジンが使えなくなる。基地に戻る分を計算して飛ぼう

オフラインでレベルを上げて、オンラインへ旅立つ

タイトル画面では、12人の市民を救出する「TWELVE MEN」と、5分間で可能な限り多くの市民を救出する「FIVE MINUTES」という2つのゲームモードに加え、「QUICK TUTORIAL」を選ぶことができる。これは操作説明を見るだけのモードだ。前述の通り操作自体はシンプルなので、見るだけではなくて実際にプレイして飛行感覚に慣れるためのチュートリアルがあればよかった。

「QUICK TUTORIAL」では、市民1人を救出して地球を脱出するまでのプレイを見せてくれる。プレイヤーは見ているだけ

救出人数によって新たなステージが開放

実際に遊べるゲームモードは2つあるが、プレイヤーの行動はどちらでも変わらない。制限時間内にできるだけ多くの人を救出するか、指定された人数を救出するかの違いだけだ。荒廃した都市で市民を救出し、基地につれて帰ると「AND EVACUATE」のボタンが現れる。このボタンをタップすると、ここまでに救出した市民とともに地球を脱出する。

ゲームプレイはここで「GAME OVER」となり、救出した市民の数は累計で加算されていく。そして、累計の市民の数によって新たなステージが開放されていく。次々に現れる終末の幻想的なステージも本作の見どころだ。

救出人数1人につきスコア1。1歩1歩、着実に人数を増やしていこう

ステージによって風景がガラリと変わる。市民が掲示するSOSの表示が小さくなるなど、難易度もアップ

独特の世界観を隅々まで楽しもう

繊細で不思議なプレイ感覚で、崩壊していく世界の中をフライトしてさまよう本作。他にはないオンリーワンのゲーム性と世界観を持っている。プレイする人を選ぶ作品ではあるが、発売記念で特価セール中の今ならおすすめしやすい(11月16日現在)。また、分割画面で対面式の2人同時プレイも可能なので、いっしょに遊ぶ仲間を増やすにはうってつけだ。

ゲームステージは都市部から始まって、中世の城塞や海辺の遺跡など、バラエティーに富んだ土地を巡っていく。時間の経過でステージの風景も変わっていくので、「TWELVE MEN」でゆっくりと風景を楽しみたいところ。世界の終わりを見届ける感覚で遊べるのが本作の醍醐味だ。

上下に分かれての2人プレイ。大きな画面のタブレットでプレイしたい

時間の経過によって辺りは暗くなり、街の崩壊も進んでいく。市民のSOSに哀愁が漂う

  • 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
  • OSのバージョン:iOS 9.1
  • プレイ時間:約4時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0

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