ワールド エンド エクリプス【ゲームレビュー】

セガが満を持して世に送り出した戦略RPG『ワールド エンド エクリプス』。「蝕」と呼ばれる危険と隣り合わせの世界、人々は竜の骸を開拓し、その上に街を作って生活している。プレイヤーは魔物たちから人々を守るため、個性あふれる仲間たちを指揮して、戦略性とアクション性が融合した新感覚の「2ライン・アクティブコマンドバトル」に挑んでいくことになる。

過去か未来かはたまた異世界か、独特な世界観が魅力の大作RPG

かつてファンタジーといえば、中世ヨーロッパをイメージした世界がオーソドックスなものであった。剣と魔法、騎士団などのキーワードを王道とするならば、それに対するアレンジとして、何らかの原因で高度な文明が崩壊した後の世界で、再び人類がいくばくかの文明を取り戻したあたりの物語が描かれるというバリエーションもある。日本ではこちらが好まれるように見受けられるが、にアメリカでは「今まさに絶賛崩壊中」というタイミングの世界観がお好みのようだ。

さて、ゴシックファンタジーにSF的な要素が入り込んだことで、交通や通信などのネットワークは寸断されているものの、水洗トイレくらいはありそうな便利な中世といった趣で、ある種テーマパークのような本作『ワールド エンド エクリプス』の世界観。宮崎駿の『風の谷のナウシカ』や、菊池秀行の『バンパイアハンターD』、あるいは文明復興が産業革命程度まで進んでいる感じのTVアニメ『翠星のガルガンチュア』などがそれにあたるだろう。いずれも傑作であり、文明のアンバランスさなどの独特な魅力がファンをひきつけるのも、もっともというところである。

竜の遺骸の背で生を紡ぐという独特な世界観。ご覧のとおり周りに集落はなく、プレイヤーが発展させていく街は孤立している

朱と蒼の月が輝く異世界で紡がれる物語

本作『ワールド エンド エクリプス』では、竜の遺骸の上に町を作って暮らす人々の物語が描かれる。ちなみに、竜はかつて世界に君臨した巨大な生物らしいことはわかるのだが、それ以上詳しいことは謎に包まれている。他の集落との連絡はさほど頻繁ではなく、豊かな街と見るや盗賊が襲ってくるような世界である。プレイヤーは自警団の隊長になって街を拡張しながら、仲間たちを率いて街の脅威と戦っていく。襲って来るのは賊の集団ばかりではなく、「蝕」によって狂暴化した野生動物なども排除の対象となる。

開始直後の街は施設も少なく、実にさっぱりしたもの。集めた資金も周囲の開墾以外に使い道がない。貨幣経済があまり発展していないという印象だ

戦闘はタワーディフェンス方式

戦闘は敵味方にトーチと呼ばれる戦略ポイントがあり、これを落とせば勝ちとなる。プレイヤーはトーチのエネルギーで仲間の召喚やスキルの使用を行っていく。トーチが召喚を行うのは敵も同様だ。

バトル画面ではLとRの2つのラインがあり、敵のいるラインに味方を配置して迎え撃ち、さらに攻め込んでいく。ただし、特定の敵がアイテムを落とすこともあり、あまり早く敵のトーチを落としてしまうのは得策ではない。

また、配置した狩猟兵はHPが0になるか、一時帰還を指示するといったん退き、一定時間で再び戦場に出せるようになる。敵の配置を見つつ、的確に兵の出し入れを行うことが勝利への近道となるはずだ。

2つのラインに手持ちのキャラクターを展開するだけなのだが、タイミングが合わないと苦戦することもある。基本的には、敵の出現を見てから相性のいいタイプのキャラクターを出撃させよう。ちなみにバトルの時間制限はないようだ

狩猟兵は全部で5種類。攻撃力が高い剣兵、範囲攻撃を行える大剣兵、防御力が高い盾兵、遠距離攻撃や飛んでいる敵に有効な弓兵、回復などの支援を行う槌兵となっている。部隊には4人まで編成することができ、さらに助っ人としてほかのユーザーのキャラクターを1人借りてバトルを行う。しかし、出現する敵のタイプを把握しないと有効打を与えられないことがある。兵士には一長一短があるが、先に敵の配置を知ることができないので、なるべく死角のない編成で戦闘に臨むのがセオリーだ。

盾兵のような装甲の厚い敵には、弓兵が有効打を与えることができる

「撃鱗」を中心に街を発展させる

プレイヤーの街は「撃鱗」と呼ばれるトーチを中心に発展していく。作れる施設は剣兵、大剣兵、盾兵の研究塔、宿屋、鍛冶屋、酒場、伐採所、ボムドラ生産所といったところ。「撃鱗」のレベルを上げることで生産できる施設も増えていく。

生産資源は街の近隣にある森などを切り拓くことで手に入れられるのだが、資源は有限で、開拓するとなくなってしまい回復しない。すべての開拓が終れば、新しい資源を求めて別の場所に移住することになる。

周囲の資源を採集しつくしてしまうと、移住を選択するしかなくなる。ちなみに、すべての開拓が終った状態なら移住費用は無料になる

武器と狩猟兵の両方を育成!

RPGなのだから育成要素があるわけだが、本作では部隊員である狩猟兵とともに、武器を育成することが必要だ。狩猟兵は戦闘による経験値で成長し、武器はほかの武器との掛け合わせで強化を行う。武器にはアイギスという精霊が宿っており、強化だけでなくアイテムを使うことで進化を行い、レアリティーを上げていくこともできる。

部隊員は酒場でスカウトする。仲間にした部隊員によって、新たなサブクエストもアンロックされる。なおスカウトの際には隊長ポイントを消費する

「蝕の軍団」と戦ってレアアイテムを手に入れろ

戦闘を進めていくと「蝕の軍団」と遭遇することがある。自分のレベルにもよるが、いちばん弱い初級でも1人で戦うのは難しい強敵で、それゆえにほかのプレイヤーに協力を仰いで戦うことが推奨される。もちろん、ほかのキャラクターが接触した蝕の軍団との戦いに参加することもできる。

敵の強さに関わらず、ダメージを与えさえすれば、撃破後にアイテムを手に入れることができる。そのラインナップは成長素材や進化素材、レア武器などとなっており、報酬はかなり豪華だ。また、複数のプレイヤーが連帯する「ユニオン」というグループもあり、ユニオンに参加するとユニオンメンバーが見つけた蝕の軍団との戦闘に参加しやすくなるメリットがある。

蝕の軍団とのバトルはイベントで発生することがある。この場合、ユニオンの順位でもらえるアイテムも変化する。当たり前だが、上位ほどより豪華になっていく

効率を求めるならオートモードは避けよう

iOSとAndroidでサービス中の本作だが、今後はPCでの展開も予定されている。今回はiOS版で遊んでみたが、とにかくゲームがよく落ちるという印象だ。またロード画面でフリーズすることも多く、さらにはロードも長めである。そういった点でプレイアビリティーが下がっているのは残念なことである(PC版ならこれらの部分が改善される可能性もあるが、その場合はポータビリティーが落ちてしまう)。

また、戦闘時にはオートモードを選択できるが、これがオーソドックスな部隊展開を行うため、敵に合わせた兵士を配備してくれないというストレスを感じることに。部隊員のレベルが高ければ力技で押し切ることもできるかもしれないが、圧倒的な戦力で押し切ると、今度はアイテム入手の機会を失うことになる。それゆえオートモードの使用は避けた方が無難だ。

本作は、中世ファンタジーにやや食傷気味という方には新鮮な世界観だと思う。プレイアビリティーの部分は今後のバージョンアップで改善されるだろうから、まずは遊んでみて様子を見るのも1つの手かもしれない。

  • 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
  • OSのバージョン:iOS 9.1
  • プレイ時間:約8時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.1
  • 課金総額:0円

(C)SEGA