クローズ×WORST V【ゲームレビュー】

田中尚道
2015年11月14日

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高橋ヒロシ氏が描く人気コミック『クローズ』＆『WORST』の世界観を再現した、ドラマティック喧嘩RPGシリーズの最新作『クローズ×WORST V』。不良たちとの壮絶なバトルを繰り返しながら、原作でおなじみの「戸亜留市」を舞台にコミックのストーリーを追体験できる、ファン待望の作品となっている。

原作を追体験する『クローズ』×『WORST』シリーズ最新作

不良モノというのは少年漫画のジャンルとしては古典的で、根強いものがある。『週刊少年ジャンプ』『週刊少年マガジン』『週刊少年サンデー』『週刊少年チャンピオン』の週刊少年4誌では1970年代から1980年代にかけて全盛を誇ったが、最近では読者の好みの変化で少々勢いがなくなってきているようにも思える。そんな中で、週刊少年チャンピオンに連載されていた『クローズ』とその続編『WORST』は、1998年の連載開始から15年間で累計7,500万部を刊行と、群を抜いた人気作である。

本作のメインストーリーは、原作のコマをそのまま使った演出で、オリジナルのエピソードのままに進んでいく

仲間との連携で強くなる！

主人公の「坊屋春道」は、ストーリーの開始当初は一匹狼であった。しかし本作のバトルは、決して1人では勝ち進めない。そのため、ストーリーを進めたり、ガチャを回したりして仲間を集め、5人までのチームを編成しなければならないのだ。メインストーリーは原作のエピソードをなぞる形になっており、原作で関係の深いキャラクターはいっしょに編成すると連携技が使えるようになる。また、一定ターン数が経過すると、キャラクターごとの必殺技である「決め技」の使用が可能となる。

「連携技」は、関係の深いキャラを連続してスワイプするか、連続してタップすると、一定確率で発動する。チームの組み方次第では、複数の連携技が発動することも

「決め技」は各キャラクターに設定されたターン数が経過すると使えるようになる。決め技アイコンが点灯したら、アイコンを長押ししてからスワイプすると好きなタイミングで使用できる

ガチャの演出が凝っていて、春道とのタイマンに負けた結果、仲間になるという体裁になっている

このほか、各キャラクターにテンションゲージが用意されていて、攻撃したりされたりするとテンションが少しずつ上がっていく。そしてチーム全員のテンションがMAXになると、敵全員を攻撃できる「行ったれー！」攻撃が行える。「行ったれー！」攻撃は発動後から3ターンの間、一方的に行動できる強力なもの。ボスなどの強敵相手に使うと効果的だ。

一方的に3ターンもの間攻撃できるということは、ダメージを一切受けずに「決め技」のターン数を短縮できるということでもある。ご利用は計画的に

さらに、チームの戦い方には「スタイル」というものがあり、「スタイル発動位置」に立たせたキャラクターのスタイルにチーム全体が変化する。例えば、春道を立たせれば攻撃型に、ヤスを立たせると気力が上がる。敵には個別のHPが設定されているが、味方チームは全体で共有するHPがあり、敵に攻撃されるとこれが減っていく。キャラクター個別のHPの心配をしなくていいし、集中攻撃を食らって誰か1人が倒されることもないので、心置きなく喧嘩バトルを楽しむことができるはずだ。

キャラクターの立ち位置で、テンションの上がる量が変化する。テンションの上がり具合を見ながら「スタイル」を変更していこう

ゲームのマップは「戸亜留市」を忠実に再現

プレイヤーはマップ内を自由に移動してイベントをクリアしていくが、このマップは原作の舞台である「戸亜留市」を忠実に再現している。マップ内ではバトルだけでなく、フレンドの申請や、アイテムの取得などの恩恵も受けられる。移動に行動力などは消費しないので、街の中をいろいろと散策してみよう。

また、ランクを上げていくことで移動できる場所も増えていく。中央地区からスタートして、南地区、南西地区、西地区、北東地区などが順次開放。地区ごとに、主人公チームの見え方が違うという演出がなされており、いちいち異名が変わる凝りようはさすがの一言だ。

「!!」のアイコンが出ているポイントが、喧嘩バトルの発生する場所。それ以外にも、さまざまなイベントが用意されている

各地区でイベントをクリアしていくと、地区内で自分の名前が知られるようになり、異名もどんどん強そうなものに変わっていく

ダウンロードは電波の安定した場所で

これまでも『クローズ』と『WORST』のアプリゲームをリリースしてきたKONAMIのタイトルであるため、作品世界の再現度は折り紙付き。さらに今作では、キャラクターの成長によるレアリティーアップという要素が追加されている。これにより、原作でのキャラクターの変化や成長にも対応できるようになっている。また、レアリティーアップの成長先は1つではなく、例えば四代目武装戦線の武田好誠は、レアリティーアップ時に「四代目武装戦線」と「五代目武装戦線」の頭を選ぶことができる。この自由度の高さはファンにはうれしい部分といえるだろう。

なお、注意点として、チュートリアルと本編で2回のダウンロードが必要になるという、ちょっと変わった仕様になっていることをお伝えする。当たり前だが、本編の方が重いデータになっているので、チュートリアルでダウンロードに成功したからといって安心してはいけない。とっととチュートリアルを完了させて、一気にダウンロードしてしまった方がいいだろう。また、ゲームプレイ中もデータのやり取りに時間がかかるのか、ロードがけっこう長い。ここら辺は改善してほしい部分である。