【西川善司のモバイルテックアラカルト】第43回: iOS版ストIVをiPad Proでプレイ!

前回、筆者は人生初のアップル製品購入記をお届けしたわけですが、その主役を務めた「iPad Pro」(12.9インチ、512GBモデル)のネタを今回も続けたいと思います。

実況動画と記事でiOS版ストIVを徹底レビュー!

そもそもiPad Proを購入したのは、Web、動画や電子書籍を見るのが目的でした。

いわば、メディアパッド的な活用が主たる用途になっていて、うちにやってきて以来、「使わない日はほぼない」というくらい活躍しています。

ベッドで寝落ちするまで、Amazonプライムビデオにて、昔懐かしのアニメとかを見るのが習慣になっています。

せっかくのiPad Proにもかかわらず、クリエイティブな活用はほとんどしておらず、ただコンテンツを消費するだけの廃人状態です。

なので、前回報告したようにApple Pencilを購入したにもかかわらず、ほとんど使っていません。

先日、iPad Pro購入記念に、友人のクリエイターさんが自ら制作した「iPadスタンド兼Apple Pencilケース」をプレゼントしてくれたのですが、本当にこのケースに入りっぱなし状態です(笑)。

「初アップル製品の購入おめでとう」ということで、いしたにまさきさんからオリジナルグッズのiPadスタンド兼用Apple Pencilケースを頂きました

内部の凹みにApple Pencilを入れておける構造。分離したそれぞれの切り欠き部分にiPad本体を差し込んでスタンドとして使える

2つずつある切り欠きの角度に応じてiPadの保持角を選べるのも特徴

そんな状態のボクに、編集部から「iPad Proでゲームしてみてください」という提案がありました。

確かに、今や「最も普及しているゲームプラットフォームはスマートフォンやタブレットである」ともいわれる時代。

せっかく高価な最新iPad Proを購入したのだから、ゲームもプレイしてみなければもったいないというものです。

ただ、編集部から提案されたお題のゲームというのがなんと格闘ゲーム『ストリートファイターIV チャンピオンエディション』(以下、ストIV/CE)でした。マジか!

『ストリートファイターIV チャンピオンエディション』とは?

『ストIV/CE』は、ゲーム機からアーケード(ゲームセンター)にも展開された名作格闘ゲーム『ストリートファイターIV』シリーズのiOS移植版です。

2008年にアーケードで稼働開始した『ストリートファイターIV』(以下、ストIV)のスマホ移植版を再調整した最新版で、2017年7月12日にリリースされた

ボクは、ストリートファイターシリーズの大ファンで、名作とうたわれる『ストリートファイターII』(以下、ストII)時代から対戦格闘にハマったクチです。

『ストII』流行時のボクはまだ初々しさ残る学生でしたが、新品だと23万円もするアーケードゲーム基板を購入するほどハマっていました。

その後、歴代のシリーズをプレイしてきまして、もちろん『ストIV』もプレイしました。最新作の『ストV』ももちろん対戦プレイをメインによくプレイしています。

『ストIV/CE』は、もともとリリースされていたiOS版の『ストIV』をスマートフォンで遊びやすく再調整した最新版だそうで、そもそもボクは、iOS端末に『ストIV』が出ていることも知りませんでした。

シリーズ最新作は『ストV』なので、ボクの中で『ストIV』は過去作というイメージではあるのですが「iOS端末に出ている」という事実には正直、そそられました。

「いったい、どんな出来映えなんだろう?」「ちゃんと遊べるのかな」「グラフィックスは大丈夫なのかな」……と、とめどなく出てくる好奇心を抑えられなくなり、すぐさまAppストアで検索です。

どうやら『ストIV/CE』は、無料プレイ形式ではなく600円の有料アプリなんですね。ほとんと有料アプリを購入することはないのですが、今回は思い切って自腹購入してみることにしました。

『ストIV/CE』のグラフィックスシステム

起動して、さっそくCPU戦をプレイしてみました。

使用キャラクターは、『ストII』時代から使い続けているスペイン忍術の使い手、美と死の伝道師のナルシスト「バルログ」様です。

まず、職業柄チェックしたのは、その3Dグラフィックスの再現度です。大元の『ストリートファイターIV』はPS3/Xbox360でリリースされたゲームで、独特なタッチの3Dグラフィックスがウリ要素の1つでした。

iOS版の『ストIV/CE』は、それっぽく再現されていますが、少し違和感があります。確かに、雰囲気はよく再現されていますが、技を振ったときのコマの中落ち感があります。

その直後、「あ、そうか」と納得しました。

これ、プリレンダーグラフィックなんですね。

『ストIV/CE』はプリレンダーベースの2D格闘ゲームだった

3Dグラフィックスで各キャラクターのモーションを、技の判定が出始める重要なコマをメインに抜き出してキャプチャーしたものでグラフィックスを構成しているのです。

本家の3Dグラフィックスベースの『ストIV』だと、2つのキャラクターを画面端に寄せると、画角の関係で若干見え方が変わるのですが、『ストIV/CE』はそれがないので、ほぼ間違いないでしょう。

背景は、床/地面が一枚板のクワッドポリゴン、そして背景は舞台演劇の「描き割り」的な立て看板のクワッドポリゴンで、それぞれに1枚画のテクスチャを貼り込んでいる感じです。

背景と床はぞれぞれ一枚画像ベースの描き割り表現

iOS端末は、幾世代にも渡って存在し、それぞれがいまだに現役で使われていて、その割に世代ごとのGPUのグラフィックス性能はけっこう違いますからね。

フル3Dグラフィックスでの実装は避け、最低限のGPU性能でプレイできるような移植をしたといったところでしょうか。

ド派手なフラッシュ演出フィニッシュなど、オリジナルの要素はうまく調整したうえでそれっぽく移植されている

『ストIV』では、ウルトラコンボと呼ばれる超必殺技があり、技を発動した側のキャラクターが画面全体にクローズアップされ、短くもド派手なアクション演出が挿入されるのが醍醐味となっています。

このあたりの演出はなかなかプリレンダーでは難しいはずで、『ストIV/CE』では、どうやっているのか気になるところでした。

実際に確認してみたところ、これはオリジナルの当該シーンをプリレンダー化したショートムービーをカットインさせる演出に置き換わっていました。なるほど、というかんじですね。

プリレンダーのショートムービーで再現されたウルトラコンボ発動演出

結論としては『ストIV/CE』は、グラフィックスシステムとしては「『ストIV』をプリレンダーベースで移植した2D格闘ゲーム」ということになるかと思います。

気になる操作感は?

実際のプレイフィールはどのような感じなのでしょうか。

そもそも、iOS端末はゲーム機ではないので、ゲーム操作用のスティックもボタンもありません。

ここは、まぁ、当初の想像どおりでした。

システム側が画面上に出現させたバーチャルなアーケードスティックとボタンを左右の手の指で触って操作するタイプ、いわば画面上のバーチャルコントローラーでプレイするスタイルになっていました。

画面上のバーチャルコントローラーで操作する方式

筆者のiPad Proは12.9インチモデルで画面が大きいため、バーチャルコントローラーのサイズも、この画面のように、標準サイズよりもだいぶ小さめに設定しないとプレイしづらかった

ただ、ストリートファイターシリーズは、長らく弱/中/強の威力に分かれたパンチ/キックボタンで操作する6ボタンシステムを採用していましたし、技を出すのにスティックの方向入力を組み合わせる必要がありますから、これをバーチャルコントローラーでやるのは大変そうです。

と思ったら、操作系にもiOS端末向けの大胆なチューニングが適用されていました。

まず、大前提として6ボタンの操作系は4ボタン操作へとスケールダウンしています。

オリジナルでは3つあったパンチボタンとキックボタンは1つずつにまとめられ、その代わり、レバー入れとボタン操作の組み合わせで、通常技のバリエーションが出せるような操作系に変更されています。

ただ、ボクがバルログで確認した範囲では、オリジナルのすべての技が再現されているわけではないようでした。たぶん、使う頻度の高い技の再現に絞った感じですかね。

CPU戦を実況プレイ!

必殺技や特殊技などは、オリジナルの『ストIV』に準拠したコマンド入力でも出せますが、さすがにそれだけだと難しいので、レバー入れとスペシャル[SP]ボタンの組み合わせで簡単に出せる操作系が盛り込まれていました。

オリジナル版では同時押しで発動する「敵の攻撃を1発だけ耐えながらの攻撃」である「セービングアタック」は、[S]ボタンで出せます。

同時押しはバーチャルコントローラーでは難しいですから、わかりやすい救済措置です。

バルログの必殺技コマンドの一例。[SP]ボタンを押すことで、溜め系コマンドも簡単に発動できる配慮がなされている

同時押しといえば、オリジナル版では、スーパーコンボ(SC)ゲージを消費して高性能版の必殺技である「EX必殺技」を出す場合にも必要でしたが、これも、『ストIV/CE』では、レバー入れと[SP]ボタンで出せるようになっています。

また、正統にコマンド入力を使用とすると、かなり複雑なコマンド入力を求められるスーパーコンボ、ウルトラコンボといった超必殺技系も、レバー入れ操作と対応ゲージをタッチすることで発動できます。

まとめると「レバー入れ」+「ボタン押し」でかなりの技が出せるということになりますね。

オリジナルではボタン同時押しで発動した「セービングアタック」も『ストIV/CE』では[S]ボタンを押すだけで簡単に繰り出すことができる!

映像やサウンドが『ストIV』ベースなので、『ストIV』感は確かにあるのですが、実際のプレイ感覚は、別モノという感じです。

いい意味でも悪い意味でも「別の新作」という印象を持ちました。

CPU戦をプレイした限りでは、「レバー入れ」+「ボタン押し」でけっこう簡単に技が出るので、ガチャガチャ操作しているだけでけっこう楽しげに遊べます。

ただ、簡単に技が出る関係で、出したくない技の暴発も多く、強くなるためには、オリジナル版とは異なった趣の鍛錬が必要になりそうです。

僕が使っているバルログは、『ストIV』シリーズでは「ためキャラ」と呼ばれる、一定時間特定の方向にレバー入れを行ってから、別方向にレバー入力を行うことで技が発動する操作系が採用されています。

しかし、バーチャルコントローラーでの入力はかなり難度が高く、「レバー入れ」+「ボタン押し」の操作系になったことで、まともに入力するよりは格段に技は出しやすいと思いました。

ただ、空中にジャンプしてから攻撃を行う「バルセロナアタック」系の操作は、いずれにせよ高難度で、バーチャルコントローラーでは攻撃を出す前に着地してしまうことが多く、バルログのスピードにプレイヤーがついていくのが大変という印象です。

対人戦に挑戦!

バルログに限ったことではないような気もしますが、「別のゲーム」の「別のキャラクター」として考えて、攻略を進める必要がありそうな気がしました。

今後もiPad Proでのゲームプレイ環境改善を調査したい!

「レバー入れ」+「ボタン押し」の簡単操作が採用されてはいても、やはりバーチャルコントローラーでは、プレイしにくいものでした。

なので、「なにか遊びやすくする改善策はないものか」とネットを調べまくったところ、画面上のバーチャルコントローラーをゲーム機のゲームコントローラー風に操作するアクセサリーがいろいろと出ているようです。

この手のグッズは使ったことがないので適当に価格の安かった「LEEHUR スマホゲームジョイスティック」というものを購入してみて使ってみました。

iPadの画面に貼り付けて使うゲームパッド「LEEHUR スマホゲームジョイスティック」。実勢価格は1,000円前後

使い方……というか、ボクが買ったヤツは構造自体シンプルで、ゲームコントローラーのパッド部分を吸盤で画面に取り付けるだけのものでした。

一瞬「ちょっといいかも」と思ったのですが、操作しているうちにこのパッド位置が、ゲーム画面上のバーチャルコントローラーのニュートラルからずれていってしまったり、吸盤が外れてしまったりと、まともに使うのは難しかったです。

こんな感じで吸盤でくっつけて使う。画面保護シートが貼り付けられていたせいなのか、接着が安定せず。操作しているうちにずれてきたり、場合によってははがれてしまうことも

これは、iPad Proに画面保護シートを貼り付けている関係かも知れません。

最近の画面保護シートで気泡抜き機能のあるものは接着面に微細な起伏があったりして、吸盤接着との相性が良くないのです。ボクのケースはどうやらこのパターンのようでした。

かといって、この『ストIV/CE』のため……というか、この簡易パッドグッズ接着のために画面保護シートをはがすことには決心が付かず、結局、あきらめることに至っています。

愛用しているAndroid端末用のゲームコントローラーをiPad ProにBluetooth接続してみたところ、繋がりはするのだが、『ストIV/CE』を含め、ゲームでは全く使えず。iOS端末向けでは、アップルのMFI(Made For iOS-device)認証されたゲームコントローラーしか使えないらしい

このプレイ環境改善にむけての調査の過程で、まるでNintendo Switchのように画面の両端にはめ込むタイプのゲームコントローラー、GAMEVICEの「Game Controller for iPad Pro」(GMV-GV161)を見つけたのですが、いつかこれを試したいと思っています。

12.9インチのiPad Proにも対応しているようですしね。

ちなみに、この製品はアップルの公式サイトでも取り扱いがあるので信頼度は高そうです。また、対応ゲーム一覧に『ストIV/CE』がリストアップされていたことにも興味がそそられます。

Gamevice Controller for iPad Pro

iOS端末には、格闘ゲーム以外にも、名作系/レトロジャンルのシューティングゲームやアクションゲームもいろいろと出ているようなので、今後、ボクとしても、iPad Proでの「ゲームプレイ環境の改善」は大きなテーマとして向き合っていきたいと思っています。

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