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ゲーム開発者は競馬場の達人なのか?『ダービーストーリーズ』小倉プロデューサーを競馬場で直撃取材

競走馬育成シミュレーションゲーム『ダービーストーリーズ』(以下、ダビスト)の小倉悠吾開発プロデューサーを競馬場にて密着取材。その予想の腕前やいかに!? そして、10月にリリースを控えた『ダビスト』の最新情報についても伺った。

本物の競馬ゲーム開発者は本物の相馬眼を持つのか?

競馬ファンであり、競馬ゲームファンである筆者には、ひとつの持論がある。

「競馬ゲームの開発者は、現実の競走馬を見る眼もある」

競馬ゲームでは、実在の名馬たちが登場し、プレイヤーが育てた馬といっしょに走るというシチュエーションは多い。

そこで、せっかく登場した馬の能力や走りっぷりが現実から乖離していると、ユーザーにとって興ざめになってしまう。

そのため、公正に馬の能力を見抜き、ゲームに組み込むことが求められる競馬ゲーム開発者は、実際の馬を見る眼(相馬眼)も優れているのではないだろうか。

今回、筆者は、とある競馬ゲームのプロデューサーが中山競馬場を訪れるという情報をキャッチ。その予想の様子を間近で取材させていただいた。

千葉県船橋市(一部市川市)にある日本中央競馬会(JRA)の競馬場。牡馬3歳クラシックの初戦「皐月賞」や、中央競馬の1年を締めくくる暮れのグランプリ「有馬記念」の舞台である

『ダビスト』小倉Pのセントライト記念予想に密着

2017年9月18日(月)、中山競馬場に現れたのは、現在、事前登録受付中の競走馬育成シミュレーションゲーム『ダービーストーリーズ』の開発プロデューサー小倉悠吾氏(以下、小倉P)。

パドック脇のハイセイコー像の前に立つ小倉P。競馬歴20年以上という、根っからの競馬ファンだ

この日は、気持ちが良いくらいの快晴ではあるものの、前夜に通過した台風の影響で芝は「重」、ダートは「不良」という重馬場(※1)。

※1 重馬場:雨などの影響でコースが水分を含んだ状態であること。良、稍重、重、不良の順で水分が多くなる。重馬場は、馬によって得意不得意があるため、予想が複雑になる。

馬場適性など、考慮する要素も多く予想がむずかしくなりそうななか、予想を開始する小倉P。データ派ということで買い目は、実績や血統、騎手から判断しているという。

そして、さっそく第2レースから小倉Pの予想がさえる。

レースは、スローペースの展開のなか好位につけた人気馬2頭が、直線で抜け出し、そのままゴール。

手堅い決着だったが、小倉Pは、2点買いで見事に的中!

幸先の良いスタートに笑顔がこぼれる

小倉Pの予想スタイルは本命党(※2)。実力馬が能力を発揮しそうなレースを見極め、本命馬を軸にした馬連(※3)で予想することが多いという。

※2 本命党:人気が高い馬を中心に予想をするスタイル。反対は、人気のない馬を中心に買う「穴党」。

※3 馬連:1着、2着になる馬を予想する投票法。組み合わせが当たっていれば良く、1着と2着の着順は問わない。

買い目を絞って、人気サイドを厚く買うスタイルについて、「長期的に見ると勝てる」と話す。

競馬の興奮と情熱をユーザーに届けたい

午前中のレースを終えたところで、小倉Pに自身の競馬歴や10月にリリース予定の『ダビスト』について、話を聞いてみた。

2005年、大手ゲームメーカーにプランナーとして入社。スポーツチーム経営シミュレーションゲームなどの開発に携わる。その後、スマホゲームの世界に活躍の場を移し、ディレクターとして複数のタイトルを手掛けてきた

——普段から競馬場には来られるのでしょうか。

小倉P:最近はあまり来れていませんが、大学時代はよく東京競馬場に通って観戦していました。

——競馬ファンになったきっかけは何だったのでしょうか。

小倉P:中学時代に、友だちとメガCDの競馬ゲームを遊んだのが最初です。

そこから、実際の競馬を観るようになり、ちょうど当時は、ナリタブライアンが三冠馬(※4)になった年で、あっという間にファンになりました。

※4 三冠馬:「皐月賞」「東京優駿(日本ダービー)」「菊花賞」を制した馬のこと。達成したのは、7頭のみ。

——『ダビスト』公式Twitterで開催された「最強の馬を決めようじゃないかキャンペーン」で、最強の三冠馬にナリタブライアンの名が挙がったのも、ファンだったからでしょうか。

公式Twitterで開催されたユーザーが強いと思うほうに投票するキャンペーン。「牝馬(ウオッカVSダイワスカーレット)」「マイラー(モーリスVSニホンピロウイナー)」「三冠馬(ディープインパクトVSナリタブライアン)」で投票が行われた

小倉P:三冠馬は最強馬論争をするうえで外せません。ディープインパクトは知名度的に外せませんが、ナリタブライアンは私の趣味です(笑)。

最強の牝馬は現役時代からライバル関係で、今でも「どっちが強いんだ」論争がされている2頭を選びました。

最強のマイラーは、近年、圧倒的な強さを誇ったモーリスの相手に悩んだのですが、幅広い世代の方に参加してほしいと思い、あえてニホンピロウイナーにしました。

——ニホンピロウイナーの名前を見たときは「だいぶさかのぼったな」と思いました。では、現在注目している馬はいますか?

小倉P:今注目しているのは、ロックディスタウンですね。この前、札幌2歳ステークスを勝ちましたが、オルフェーヴルの初年度産駒として、お父さんのようになってほしいなと思っています。

あとは、やっぱりキタサンブラックですね。この秋もやってくれるんじゃないかと!

——『ダビスト』には実在の馬が種牡馬としても登場しますが、やはり新種牡馬が気になりますか?

小倉P:オルフェーヴルとエイシンフラッシュの子どもたちには頑張ってほしいですね。現役時代の活躍が、まだ目に焼き付いているので期待しています。

——では、『ダビスト』について伺わせてください。『ダビスト』の企画を立ち上げたきっかけを教えてください。

小倉P:自分自身が競馬好きで、競馬ゲームを作りたかったというのもありますが、「競馬のシミュレーションゲームって、スマホに適しているな」と思ったのが大きいです。

シミュレーションゲームであれば、操作も簡単ですし、数字を積み上げていくところがスマホで遊ぶのに向いていると思います。

そのうえで、電車での移動中などに片手で気軽に遊べるようにしたいと思い、縦画面で遊ぶゲームにしました。

——プロモーションムービーなどで、レースシーンのリアルさに驚きました。レースの見せ方でこだわったところはありますか?

小倉P:できる限りテレビの競馬中継のレースシーンに近づくように、カメラを調整しています。

競馬場も実際に見て、コース設計をしていますので、かなり細かい部分まで再現できていると思います。

まるで、本当にテレビの競馬中継を見ているのではないかと思わせるリアルなレースシーン

——競馬場だけでなく、騎手も実名の騎手が登場しますが、思い入れのある騎手はいますか?

小倉P:やはり、ナリタブライアンの主戦だった南井克巳元騎手(現調教師)です。

『ダビスト』では現役ジョッキーだけでなく、レジェンドとして南井さんや岡部幸雄さん、安藤勝己さんなどのOBも登場予定です。

——競走馬育成シミュレーションというと、自分の好きな馬の子供を誕生させられるのが魅力ですが、本作の生産システムについて教えてください。

小倉P:ニックスやクロス(※5)など、競馬ゲームではおなじみの要素はもちろん搭載しています。さらに、『ダビスト』独自の配合理論もありますよ!

※5 ニックスやクロス:ニックスは優秀な馬が生まれやすい血統の組み合わせのこと。クロスは同じ祖先の血を引く馬を掛け合わせることで、祖先の特色を強くすること。実際の競走馬の生産でも使用される理論だが、競馬ゲームを通じて広く知られるようになった

『ダビスト』の配合画面。両親の能力が詳細にパラメータとして確認可能。因子やインブリードなど配合の奥深さも味わえそうだ

——独自の配合理論。血統マニアとしては、とても気になります!

小倉P:そこは、サービスが開始されたら、みなさんでプレイして探してみてください(笑)。

——本作の目玉であるオンラインレースとクラブ機能について教えてください。

小倉P:オンラインレースには、運営主催の「オフィシャルレース」と、プレイヤーが報酬やレースの条件を決めて開催する「オーナーズレース」の2種類があります。

育てている馬を「オンラインレース登録」すると出走させることができます。能力は登録した時点のものとなりますので、うまくタイミングを見極めるのが重要です。

オフィシャルレースは5分おきにさまざまな条件で開催される。オーナーズレースは自身で報酬を設定して、ほかのプレイヤーといっしょに馬を走らせられるレースだ

クラブ機能は、ほかのプレイヤーといっしょにひとつの空間で遊べる機能なのですが、ぜひリアルの友だちを誘い合って、遊んでいただけると、楽しさが倍増します。

競馬やゲームの話題で盛り上がってくれればいいなと思っています。

クラブでは施設によって自身の馬の育成に恩恵を受けられるだけでなく、スタンプを交えたチャットで盛り上がることもできる。週末の競馬予想でクラブメンバーと盛り上がってみるのはいかが?

——普段の生活では、なかなか競馬の話をできる相手や機会が少ないという人もいますよね。

小倉P:そうなんですよ。なので、競馬の話題で盛り上がれる相手を探したいという人も、クラブ機能を活用して、いっしょに盛り上がれる仲間を見つけて、遊んでほしいです。

注目のセントライト記念予想の結果は……

午後も、小倉Pは的中を連発し絶好調。天候にもめぐまれ、芝の馬場状態はついに「良」まで回復し、メインレースであるセントライト記念を迎えることに。

前日の公式Twitterでは、皐月賞馬アルアイン、皐月賞4着に健闘したクリンチャー、そして夏に頭角を現してきた上がり馬サンデームーティエとスティッフェリオの名前を挙げていた小倉P。

しかし、レース前のパドックや返し馬(※6)を見て、ぽつりと一言。

「馬体重18kg増のクリンチャーよりも、ミッキースワローが気になるかも……」

※6 パドックや返し馬:パドックはレースの前に次のレースに出走する馬をファンに見せる場所。返し馬はコースに入場した際に行うウォーミングアップのこと。ここで馬の状態を見ることも予想では欠かせないポイント

馬場状態も「良」に回復したこともあり、瞬発力勝負になると見てミッキースワローを追加し、アルアインからの馬連流しで勝負に出る。

7番アルアインを軸に、4番クリンチャー、10番サンデームーティエ、15番スティッフェリオ、そして滑り込みで追加した5番ミッキースワローに流す組み合わせで勝負

そして、待ちに待ったレースがスタート!

小倉Pが穴馬として挙げたサンデームーティエとスティッフェリオが先頭に立ってレースを引っ張る展開に。

本命のアルアインは中団やや前目といったあたりで、レースは進んでいく。

そして迎えた最終コーナー。ゴール前に待ち構えるのは中山競馬場名物高低差2.2mの急坂。ちなみにこのレースの実況を担当していたのは、『ダビスト』でも実況音声を担当する中野雷太アナウンサー

最後の直線で、抜け出したのはアルアイン。皐月賞の再現のような勝利になるかと思いきや、外側からミッキースワローが一気の脚で抜き去る。

結果は、1着ミッキースワロー、2着アルアイン、3着サトノクロニクル。直前で、小倉Pが追加した買い目が見事的中という結果になった。

堅い決着が多かっただけに「収支はプラスマイナスゼロですよ」と謙遜する小倉Pだが、購入したレースの半分を的中させる的中率の高さ。

競馬ゲームプロデューサーの相馬眼はやはりすごかった!

競馬好きが競馬好きのために作るスマホ競馬ゲーム

最後に、小倉Pに競馬の魅力を聞いてみた。

彼によれば、競馬が自身を引き付けて止まない魅力は「血統のドラマ」なのだという。

「父の夢を子が受け継ぎ、さらに次の子が……というドラマがあるところが、20年以上競馬を見続けている大きな理由のひとつだと思います」

そんなドラマを、ゲームの中で再現しようというのが『ダビスト』の大きなテーマなのかもしれない。

「『ダビスト』は、競馬好きが競馬好きのために作っているゲームです。競馬ファンの方はもちろん、競馬歴が浅い方も一度ダウンロードして、遊んでみてほしい」とリリースに向けての意気込みを語ってくれた。

ゴール板を背にする小倉P。熱い競馬愛を持つ開発チームが作る『ダビスト』。そのリリースが待ち遠しい

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