第一線で活躍中のゲームクリエイターが集結した座談会の模様をレポート

第一線で活躍中のゲームクリエイターたちが集まった「第1回ゲームクリエイター座談会」が、2015年10月28日に六本木のKLab本社にて開催された。

3人のクリエイターが語る! テーマは「オリジナルヒットタイトルのクリエイター」

今回の座談会には、『ジョーカー ~ギャングロード~』のプロデューサーを務める前田貴文氏、『ドラゴンファング ~竜者ドランと時の迷宮~』のプロデューサー松田崇志氏、『消滅都市』のディレクター下田翔大氏が登壇。「オリジナルヒットタイトルのクリエイター」というテーマのもと、それぞれが開発にかける想いや携わったゲームの開発秘話などについて語ってくれた。

『ジョーカー ~ギャングロード~』の逆転の秘密は!?

最初に登場したのは、不良マンガとのコラボで熱い支持を得ている『ジョーカー ~ギャングロード~』のプロデューサーである、アプリボットの前田貴文氏。

前田氏は、『ジョーカー』がリリース当初、プレイヤーにまったくウケていなかったことを打ち明けた。それを打開するために、まず「新・王道不良コンテンツ」という根幹となるテーマを再定義し、タイトルの進む道を明確化。そして、ターゲットとなる確固たるプレイヤー像を持つことで、開発における指針としたそうだ。

前田氏は、チームのメンバーと会社近くのデニーズで連日のように夜遅くまで語り明かしたことを引き合いに出し、ゲーム開発において重要なのは、「とにかく働いて、お互いに本音で話すこと」だと締めくくった。

クリエイターの力で勝負した『ドラゴンファング』

次に登壇したのは、『ドラゴンファング』のプロデューサーであり、同作を開発・運営するトイディアの代表取締役でもある松田崇志氏。

『ドラゴンファング』は、『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』で一世を風靡したローグライクRPGをスマホで手軽に楽しめる人気のタイトルだ。松田氏は、かつてセガのAM2研、マイクロソフトのXbox事業部などに所属していたころ、開発費の高騰によって大規模化する家庭用ゲーム機の世界に限界を感じ、ゲーム業界から足を洗うことまで考えていたことなどを告白。

その後、台頭してきたスマホアプリが開発規模の大きさではなく、クリエイターの能力のみで世界と勝負ができるという点に未来を感じ、自ら会社を立ち上げたのだそうだ。『ドラゴンファング』で1つの成功を収めた松田氏は、これからもプレイヤーといっしょに、世界にも視野を広げていきたいとの意欲を示した。

『消滅都市』の軸は「ミッション」と「コアコンセプト」

最後に登場したのは、グリーで『消滅都市』のディレクターを務めている下田翔大氏だ。

『消滅都市』は、個性的なキャラクターたちの織りなすドラマにスポットを当て、印象的なCMでもおなじみの人気タイトルだ。下田氏は、『消滅都市』が人気になったのは、開発チームが未来に向かって希望を持って運営をしていることだとし、その理由として「ミッション」と「コアコンセプト」の2つを挙げた。

ミッションとは『消滅都市』が世界に存在する意義を広くとらえたもので、コアコンセプトとはミッションを実現させるためのプロダクトの中核のようなものを指す。『消滅都市』で例を挙げると、コンセプトは「消滅」を軸としたドラマを体験して人生の豊かさを高めることであり、コンセプトはあらゆる方法でプレイヤーの感情を揺さぶることになる。

下田氏はミッションがあることで、チーム全体の意識統一を図ることができ、さらに広告を競合タイトルと差別化できるため、新規プレイヤーの獲得にもつながるとも語った。

記事にはできない秘話が続々!? 自由な雰囲気の中で行われた座談会

各々のセッションが終了後、参加者からの質問に応える形で座談会が行われた。この座談会は、アルコールも入るざっくばらんな雰囲気のなかで行われ、業界の裏事情や驚愕の失敗談などが次々と投下された。まさしくクリエイターの本音が垣間見えた会となり、参加者からも納得といった表情が見られる雰囲気の中で幕を閉じた。

今回の好評を博したこのイベントを機に、第2、第3の座談会を行う予定だとか。業界の一線で活躍するクリエイターたちは何を考え、そして目指しているのか。ゲームクリエイターに興味がある方、そして未来のゲーム業界を目指す方は、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。