プロ野球スピリッツA【ゲームレビュー】

『パワプロ』と並ぶKONAMIの人気野球ゲームシリーズ『プロ野球スピリッツ』。その最新版がiOSとAndroidでリリースされた。従来のシリーズと同様に、TVのライブ中継さながらのリアルな映像を追求しながらも、操作方法などはスマホに特化し、手軽に遊べるスタイルになっている。

選手のフォームにまでこだわったリアル路線のプロ野球ゲーム

『パワプロ』が2頭身のキャラでゲーム性を追求しているのに対し、『プロ野球スピリッツ』は『パワプロ』を踏襲しつつも、プロ野球のライブ中継を再現したようなグラフィックが売り。本作でも、いちばんに目を引くのは何といってもはグラフィックだ。PS3/PS Vita用の『プロ野球スピリッツ2015』のゲームエンジンを使用しており、スマホゲームながら臨場感あふれる映像を楽しむことができる。

特に、各選手のフォームはかなりいい線で再現されている。まあ、筆者も全選手のフォームを知っているわけではないが、ひいきチームの特徴ある選手を見ると「おーこれこれ、このフォームよ」と納得できる。顔の細部までも、3Dスキャンでそっくりに再現されているから驚きだ。

ソフトバンクホークスのユニフォーム姿だが、こちらはメジャーリーグで活躍する青木宣親選手の打撃フォーム。しぶとく食らいつきながらも、センター前にはじき返す感じが再現されている

こちらは広島カープのプリンスこと堂林翔太選手のお顔。イケメンっすなー。どうですかカープ女子のみなさん!

小刻みに両足でリズムをとる平野恵一選手のフォームも再現度が高い。来年は阪神タイガースで2軍コーチを務めるとか

守備はオートでスマホに特化した簡単操作

本作の操作性はスマホ向けに簡略化されている。まずは打撃。指でカーソルをスライドさせて投球にピンポイントで合わせる「強振」と、来た球にタイミングよく合わせるだけの「ゾーン打ち」の2種類がある(それに加えて「バント」も)。

「ゾーン打ち」は、画面のどこをタップしてもバットに当てることができるので、本当にタイミングだけの勝負。ストライクゾーンに来た球をイチ、ニのサンで振ればいい。

最初に、簡単な打撃練習ができる。これで数回打ってみて感覚をつかめば、すぐ試合に臨めるというぐらい操作は簡単だ

投球は、まず球種を指定し、コースを決めたらタイミングよくリリースする。コースの投げ分けや、緩急の概念もあってやや複雑だが、操作自体は単純だ。しかも、配球をおまかせにすることもできる。そして守備は完全オートなので、ゲームでボールを追うのが苦手という人もまったく心配はいらない。

操作が簡単なのはうれしいことではあるが、慣れてくると単調な作業に陥ってしまいがちでもある。まあ、あくまで手軽さを追求した結果であり、アクションが苦手な人でも楽しめる点を評価すべきか。

球種は投手ごとに細かく設定されている。まず内角のストレートでえぐって、決め球は外角のスライダーで勝負……というような組み立てが、ちゃんとできるのはうれしい

ひいきチームの選手カードがほしい……

まず最初に、セ・パ12球団の中から自分のチームを選び、素質ある選手たちを集めて育成していくというのが、このゲームの基本。もちろん、最初はランクが低い選手ばかりである。しかも、自分の好きな球団を選んだからといって、その球団の所属選手だけがもらえるわけではない。

筆者の贔屓チーム(ちなみにホークス)でプレイしたところ、投手または野手の2択でチームの中核選手を選ぶことができた(スタンリッジ投手か鶴岡捕手のどちらかを提示されたので、当然スタンリッジ投手を選択)。だが、その他の選手はほぼ他球団の混成チーム。打者の主力は堂林選手で、リリーフエースは横浜DeNAベイスターズの三上投手であった。

ある程度プレイして選手を集めた段階だが、ホークスの選手は森福投手と鶴岡捕手ぐらいしかゲットできず。ひいきチームの選手で打線を構成するには、けっこう時間がかかりそう

新たな選手は、試合の報酬でもらえることもあるが、基本はスカウトという名のガチャで集めることになる。まあ、この辺は仕方がないところとはいえ、せめて最初からもうちょっと「わがチームの選手」がいたら、思い入れも増すのだが……。

うれしいポイントとしては、リリース記念のキャンペーン(2015年11月24日まで)で、NPB所属ではないAランクのスター選手がランダムでもらえること。登場するのはダルビッシュ有投手や田中将大投手など8選手で、筆者は青木宣親選手をゲットした。打線の核となる選手が不在な中、非常に活躍してくれて助かったのである。

選手の組み合わせによって、コンボという特殊効果が発動することも。しかし、コンボを狙って発動させるには、どれだけの選手を集めたらいいんでしょーか?

日本一を目指すモードも! 試合はダイジェストに

現状、本作のメインとなっているモードは「Vロード」というもので、プレイヤーは既存の12球団(+オールスターチーム)と戦いながら、選手を育成・収集して、日本一を目指していく。もちろん日本一になれば、新たな選手やスカウトに必要なポイントなどのご褒美がもらえる。

このモードでは1試合をまるまるプレイするのではなく、試合中に3回ほど、投打の重要なシーンでプレイヤーの出番がやってくるという形式になっている。その場面で監督の指令どおりにヒットを打ったり、打者を三振に討ち取ったりすると、試合を有利に進めることができる。そして試合後にプレゼントがもらえるという流れだ。

1試合の中で、基本は1打席の勝負が3回。リードされている時などは、1イニングを丸々プレイできることもある

1試合を実際にすべてプレイするとなると、かなり時間がかかるし、スマホでプレイするならばこの形がベターなのかもしれない。なお、この他にも日替わりとなるイベントステージのモードも用意されている。

「Vロード」の1シーズンが終わると、このように大量のごほうびが……! しかし宮國か。この時期に微妙な選手が(意味深)

アプリ内で、プロ野球ニュースや現実の試合の一球速報を見るモードもある。残念ながら、この記事を執筆期間中にプロ野球の試合はなかったため、確認できず

リーグ戦やイベントなど新たな展開に期待大!

試合がサクサク進むのでテンポよく遊べるし、試合を数多く消化すれば選手のスカウトもできる。この手のゲームはとにかく選手集めが命なので、このテンポのよさはとてもグッド。

ただ、野球は流れのあるスポーツであり、1打席の勝負だけでは息詰まる投手戦や派手な乱打戦といったものが味わえないのが残念。今後、プレイヤー同士で対戦できるリーグも開幕するとのことなので、イベントも含めた新たな展開に期待したいところである。

  • 使用した端末機種:iPhone 6
  • OSのバージョン:iOS 9.0
  • プレイ時間:約6時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.1.0
  • 課金総額:0円

(C) 2015 Konami Digital Entertainment