よなおし魔王 - 勇者に代わってオシオキだ【ゲームレビュー】

勇者に転職した魔王を、ゴールまで護衛していくリアルタイムストラテジー『よなおし魔王』。魔王の進み具合に応じて施設を建て替えていく、骨太なタワーディフェンスゲームだ。

守りながら攻める新感覚タワーディフェンス

主人公は、時代の流れに取り残されてしまった魔王様。古きよきファンタジー世界を取り戻すため、なんと勇者に転職してしまう。

IT化についていけない管理職のような悩みを持つ魔王。ステージの合間に展開するコミカルなドタバタ劇も必見だ

物語を楽しみながら、バトルをこなし、ステージを1つひとつクリアしていくのが基本的なゲームの流れとなる。

ファンタジーな世界観を台なしにしてしまう各ステージのボスたちに、魔王様が制裁を加えていく。RPGの禁忌といえる部分にメスを入れていく!?

守るべきは、動き回る魔王様

バトルは迫りくる魔物をマップ内の各所に設置したタワーで迎撃していく。

このあたりは王道のタワーディフェンスそのものなのだが、魔王が敵のボスに向けてこちらの都合に構わず出撃していってしまうので、これを守りながら戦わなければならない。

魔王はマップ内のルートをウロウロ動き回りながら、最終的に奥にいるボスを目指していく。魔王のHPが0になると敗北になってしまうので、タワーを使ってうまく護衛していく

迎撃施設となるタワーは、マップ内に複数あるビルドポイントに「おかね」を消費することで設置していく。おかねは敵を倒すことで入手可能だ。

設置したタワーは、攻撃範囲に敵が近づくと自動で攻撃してくれる。アップグレードして強化したり、撤去して別のタワーを建てたりすることも可能だ

タワー以外にも、プレイヤーの任意で利用できる「てんちゅうファイア」と「おとも」という要素がある。このあたりも駆使しないとクリアできないような難易度設定なので、うまく活用していこう。

てんちゅうファイアは、マップ全体にいる敵を一度に攻撃できる強力な攻撃。意外に短い時間で再利用可能になるので、使えるようになったらどんどん発動してしまおう

おともは、マップ内を制限なく動き回れる唯一の存在。それほど強くはないが、魔王の護衛や戦力強化したい地点に派遣するなど、状況に応じた使い方をしていこう

微動だにしない拠点を守る従来のタワーディフェンスの場合、守るべきポイントがある程度決まっており、そこに戦力を集中させることで対処しやすい。

しかし本作では魔王が動き回るため、戦力を注ぐべきポイントも刻一刻と変化してしまう。より戦略的、かつ臨機応変な対応が問われる内容といえるだろう。

タワーを役割に応じてバランスよく使い分けよう

タワーには大きく分けて「近接攻撃」「遠距離攻撃」「回復」の3種の役割がある。主なタワーの特徴を簡単に紹介していこう。

バトル中に設置できるタワーはキャラクターのような体裁になっており、最大4種類までパーティーのように編成する。キャラクターによってステータスなどが異なるので、事前に把握しておこう

各キャラクターは、HPや攻撃力、攻撃範囲といった能力のほか、タワーを3回アップグレードすると使える固有スキルを持っている

護衛に最適な近接攻撃タワー

「せんし」や「にんじゃ」などのタワーは、近接攻撃がメインとなる。

タワーから3体ユニットが出現するのが特徴で、魔王のすぐ近くで戦わせることで身代わりにすることができる。いわゆる壁役として重宝する存在だ。

近接攻撃タワーは、出現したユニットの位置を任意の場所に移動させられる。魔王への救援として送ったり、突破されたくない場所を固めるといった使い方ができる

特殊な敵に強い遠距離攻撃タワー

「まほうつかい」「かりゅうど」などの遠距離攻撃タワーは、攻撃範囲内の敵を遠くから攻撃してくれる。

加えて、近接攻撃タワーでは止められないような特殊な敵へも攻撃を与えることが可能となる。迫りくる敵をさばくため、攻撃役として活躍してくれるだろう。

敵の中には、飛んだり、消えたりするものが存在する。これらの撃退に遠距離攻撃が有効だ

魔王を生き残らせるために必須の回復タワー

「そうりょ」は魔王や近接攻撃タワーのHPを回復することができるタワー。

魔王は少し敵に囲まれただけでもすぐ倒されてしまう耐久力なので、ステージを攻略する上で欠かせない役割をしてくれる。

ルートが交わるところや、ボスの周辺など、敵が多数集まるところには必ず配置しておこう。威力は低いが魔法による遠距離攻撃も行ってくれるので、敵のHPを削る上でも有用だ

敵を魔法陣に入れないことも重要

魔王のスタート地点となっている緑の魔法陣だが、ここに敵が到達してしまうと、なんとパワーアップしてしまう。

結果的に魔王に強力な敵が立ちはだかることになってしまうので、魔王の護衛と並行して、敵を魔法陣に到達させないことも重要となるのだ。

緑の魔法陣に到達した魔物は、パワーアップしてボスがいるピンクの魔法陣から出てくる。ただでさえ敵の多いボス前が、さらに厳しい状況になってしまうのだ

近接攻撃タワーがないと、敵を足止めすることが困難になる。魔法陣の前には必ず設置しておこう

RPGのようにコツコツ育成することもできる

各タワーにはアップグレードとは別に、レベルの概念が存在する。

レベルが上がることでタワーのステータスが上がるのだが、バトル中のみ能力の上がるアップグレードとは違い、その効果は永続的なものとなる。

バトルをこなすことでレベルは上がっていくので、コツコツ強くしていくことも可能となっている。

バトルをこなす(敗北してもOK)ことでタワーのEXPが上昇していき、一定値に達するとレベルが上がる。どうしてもクリアできないようなステージができた場合はレベリングしてみるといいだろう

レベルに加えて、タワーには「しきゅうひん」という装備のようなものを設定することができる。もはやRPGのユニット育成だと思ったほうが、わかりやすいかもしれない。

しきゅうひんはバトルクリアの報酬やガチャ(有料/無料がある)などから入手することができ、その数は膨大。コレクションしていく楽しみもある

できることをすべてやらないと生き残れない!

本作の難易度は非常に高い!

とにかく魔王様の耐久力が低く、ちょっと目を離すと倒されてしまうのだ。

チュートリアル後の1つ目のバトルでゲームオーバーになった筆者。バトル中の倍速機能もあるのだが、とても使ってられない余裕のなさ……

救援を送ろうにも、各タワーは攻撃、移動範囲が限られている。おともを送っても魔王様以上に弱いといった始末。

敵を倒せるだけの強さまでタワーのレベルを上げ、てんちゅうファイアで敵を削りつつ、一度設置したタワーを敵に応じて別のものに建て替える、まさにバトル中にできる要素をすべて駆使しないとクリアできない内容だ。

とても難しいのだが、タワーを設置し、アップグレードしたら終わりの従来のタワーディフェンスとはまた違ったドキドキ感、達成感も味わうことができる。

一風変わった骨太なタワーディフェンスを楽しみたい方におすすめの作品だ。

  • 使用した端末機種:Galaxy S7 edge
  • OSのバージョン:Android 7.0
  • プレイ時間:約3時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.0
  • 課金総額:0円

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