[黒川文雄のゲーム非武装地帯] 第37回: GRANBLUE FANTASY The Animationに見る景表法のスキマ!?(前編)

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賢明なる読者のみなさんに「e-Sports」のことを説明する気持ちは少々はばかるが、少しがまんしてほしい。e-Sportsとは、「Electronic Sports(エレクトロニックスポーツ)」をわかりやすく省略したもので、ビデオゲームの勝敗を賭けたスポーツとして、多額の賞金と選手やチームのプライドを競い世界レベルの大会が各国で開催されている。

日本におけるe-Sportsシーンの課題と問題の根源

しかし、日本でのe-Sportsの盛り上がりは、関係者の不断の努力にもかかわらず、世界レベルと比較するとその認知度と展開規模は残念なほど低い。

つい先日のことだが、国際オリンピック委員会(IOC)において、e-Sportsをオリンピック競技の種目の候補にすることも検討しているという。

しかし残念ながら、現在の日本では以下の2つの課題によって、e-Sportsのブームアップそのものが揺らいでいる。

その課題の1つは、日本オリンピック委員会(JOC)の加盟団体になる必要があるということだ。

そのためには、現在あるいくつかの団体が統合するなどの施策と実態が必要になる。バスケットボールの競技団体が複数あることの課題に近い。

そして、もう1つの課題は、国内でのe-Sportsを盛り上げるためには「賞金制」などの戦うべき本質をどこにするかという部分と、それが醸し出すリアルな演出が足りないのではないだろうか?

この課題を突き詰めると2020年、東京オリンピックで仮に「eスポーツ」が種目になったとしても、開催国からの選手が参加できないという悲劇も起こり得る。

e-Sportsをテーマにした黒川塾47より

景品表示法(景表法)の縛りとは

海外のe-Sportsの例でいえば「Dota 2」(※1)での賞金総額が10億円に達したという事例もある。

※1:Valveが開発したWindows、Linux用チームストラテジーゲーム

しかし、日本でのe-Sports試合では賞金は供することができないため、日本の戦歴をもって海外で評価するという異常事態も起こり得るという。e-Sportsは、不確実な勝敗による賞金や賞品という位置づけのため、仮に賞金を提供すると、刑法185条の賭博罪に該当するおそれがあるということだ。

「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する」

ちなみに賭博とは、偶然の勝敗に関して財物を賭けてその得喪を争うことをいう。

「偶然の勝敗」とはそのままの意味で、勝敗に少しでも運が絡んでくる余地があれば、これに該当する。つまり、ゲーム大会は、プレイヤーの技量だけでなく、その時の運によって勝敗が左右されるため「偶然の勝敗」に関するものということになる。

さて、ここからが今回のテーマとなるが、日本での賞金が拠出できない理由は日本の法律にある。それが景品表示法、通称「景表法」である。

景品表示法は、正式には、不当景品類及び不当表示防止法というもので、昭和37年に施行されたもので、その後、部分改定は行われて現在に至るが、大きな骨子は変更されていない。

この景表法が、e-Sportsの発展促進に関しては課題になっていることは明らかである。こちらも関係者が積極的に改善に向けて努力をしていることである。

景表法・ベタ付け景品のスキマがあるのか否か……という話?

消費庁の公式サイトを見ると、以下のような説明がある。

一般消費者に対し、「懸賞」によらずに提供される景品類は、一般に「総付景品(そうづけけいひん)」、「ベタ付け景品」等と呼ばれており、具体的には、商品・サービスの利用者や来店者に対してもれなく提供する金品等がこれに当たります。商品・サービスの購入の申し込み順又は来店の先着順により提供される金品等も総付景品に該当します。

一般に、この「「総付景品」の上限は該当する商品、商材定価の20%を目途としている。つまり、1,000円の商品での「ベタ付け景品」の1個あたりのアイテム単価は200円が上限ということになる。

本論に入る前段が長くなったが、ここまでの説明がないと理解しにくい内容なのでご容赦を願いたい。

それは、たまたま、私の知人のグラブル(グランブルーファンタジー)ユーザーから聞いた話がキッカケだった。

某国民的?アイドルユニットと同じ特典商法

それは「グラブルのシリアルコード付関連商品はヤバイ……w」というものだ。

話を聞いてみると、某国民的規模のアイドルユニットグループの「握手券」や「投票権」さながらの特典が、大半の関連書籍やDVD、Blu-ray商品に付与されている。

ゆえに、グラブル好きのユーザーの目的は「握手権」や「投票権」ではなく「シリアルコード」であって、不要になった商品は某大手ネット販売サイトでは「シリアルコード」が無効になったものが中古品として大量に売られている。

ガチャ10連チケットの価格は……

その特典商法自体を私が違法と申し上げるつもりはまったくないし、それは法律を管理する立場の消費者庁や販売を行う企業体がその是非を認識した上で行うべきものと認識している。

某国民的アイドルユニットであれ、このグラブル関連商品も、ユーザーとの需給のバランスがあった上で、コンテンツと特典が成り立っていると思っている。

そのひとつひとつの事例を挙げて善し悪しを取りざたするつもりはないが、このコラムで取り上げる内容として気になったものが「ガチャ10連チケット」という特典物だ。

その特典は、5月24日発売の『GRANBLUE FANTASY The Animation 2(完全生産限定版) 』(DVD/Blu-ray:アニプレックス)の特典として付与されるものだ。

以下は商品スペックからの引用。

 【完全生産限定版特典】

  • 「グランブルーファンタジー」特典シリアルコード SSレア1回以上確定アニメレジェンド10連ガチャチケット
  • 描き下ろしジャケットイラスト:カタリナ
  • 特典CD:「GRANBLUE FANTASY The Animation」Original Soundtrack 01

※特典シリアルコードで入手できる特典アイテムの受取は1アカウントにつき、1回限りとなります。

参考価格:7,560円(Amazonでの実勢価格:5,623円)

発売予定日:2017年5月24日

グラブルプレイヤーならわかりきったことだろうが、1ガチャ=300円である。

つまり、10連ガチャともなればその金額の想定は3,000円。さらに、その他の特典に関しても描き下ろしジャケット、特典CDも数十円の価値とは考えにくい。

つまり、先の景表法で挙げたベタ付け特典の上限=販売価格の20%の上限を超えているというのが私の見立てだ。参考価格:7,560円の20%を上限と想定すれば、それは1,512円程度となる。しかし、実際にユーザーが手にできる特典ガチャ分は、すでに3,000円以上の価値がある。

それは果たして適法なのか、それとも特典という付加価値の中で適法なのか? そのあたりの判断は企業のモラルに委ねられたものとして、販売会社は正しく対応をしていると考えたい。

それとも「完全限定版」というものが販売に際してのエクスキューズ(理由)になっているだろうか?

次回も景表法の枠組みを大きく超えた、豪華すぎる特典「ガチャ10連」に関して検証してみたいと思う。