【世界のねこゲーム】第7回: 『猫田のことが気になって仕方ない。』の大詩りえのことが気になって仕方ないので話を聞いてきた

大田タケル
2015年11月02日

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この連載では「ねこ」に関わるさまざまな人たちに話を聞いているが、今回は一風変わった設定でねこ好きの心をわしづかみにしているコミック『猫田のことが気になって仕方ない。』の作者の大詩りえさんに作品の秘密を聞いてきた。

みっきーと猫田の成長物語

なんとな～～く学校生活送るはずだったのに無理でしょこれだって気になって仕方ない!!!

『猫田のことが気になって仕方ない。』第1話より

周未希子（あまねみきこ：以下、みっきー）が転校先で出会った男子。それは首から上が「ねこ」のイケメンだった！というユニークな設定のコミック『猫田のことが気になって仕方ない。』。りぼんで連載中のこの作品の作者である大詩りえさん（以下、大詩）にこの作品についてあれこれ聞いてきた。コミックとあわせて楽しんでほしい。

――コミックのあとがきによると、この作品では、「『非日常的なことが当たり前な日常として進んでいく話』を描きたかった」とのことですが、猫田の顔をねこにした理由はなんでしょうか？

大詩：猫田の何を考えているのかわからない、ミステリアスな部分にマッチする動物を考えたときに……ねこだとしっくりくるな、と思ったからです（笑）。

なぜか、みっきーにだけ猫田の顔が「ねこ」に見えてしまう現象に見舞われてしまう

――猫田の顔の模様はハチワレですが、理由はあるのでしょうか？

大詩：彼は本来の姿（人間）では前髪がセンター分けなので、人間の姿を描いたときに、そのイメージが一致するようにと考えました。

猫田の「人間」バージョンを描いた貴重な生原稿！（2015年11月2日発売『りぼん』12月号分）顔の全ぼうはまだ謎だが、前髪は確かにセンター分け

――猫田の顔について、もう少し聞かせてください。彼に口がない理由はなんでしょうか？

大詩：実は、連載開始前には口も描いてたんです。でも、口があると、思いのほか表情豊かな子になってしまって。当時の担当の方とも相談した末に、表情が読めないキャラクターとして、今の顔に落ち着きました。結果的には照れたり、焦ったり、困ったり……そんな彼の表情や感情を、あのパーツだけで表現しなきゃいけないので、描き分けるのが難しくなりましたけど（笑）。

口がない分、表情や感情を表現するのが難しいという

――その結果、現在の絶妙にシュールな顔つきになった。

大詩：真面目に描いてるんですよ（笑）。

海水浴中の猫田のカット。服を着ていない分、ねこ顔の存在感が2割増し!?

作者が語る猫田とみっきー

――猫田は顔こそ「ねこ」ですが、行動がイケメン。大人から見ても完ぺきな振る舞いですよね。猫田には、先生の好みが反映されているのでしょうか。

大詩：そういう部分もあるかも……。ただ、私は現実では、「自分でカッコいいとわかってて行動する人」とか、「クールな人」はあまり好きじゃないんです。だから、連載初期は猫田のことを「ワタシ、こいつ苦手だわー」と思いながら描いてました（笑）。

猫田のイケメン行動。どんな場面でもことごとくかっこいい。しかし、やっぱり顔はねこ

――それは意外です（笑）。6巻現在、猫田への見方に変化は？

大詩：猫田とみっきーは、お互いがお互いと出会ったことで、連載初期と比べ精神的に成長、変化を続けてきました。この2人は今後も刺激を受けあって、少しづつ大人になっていけばいいなと思います。今は、そんな気持ちで見守っていますね。

――物語のヒロインである、みっきーの成長も気になります。彼女は天真爛漫なキャラクターですが、いつもポニーテールのビジュアルも含め、どのようにして生まれたのでしょうか？

大詩：元気な女子にしよう！と決めたとき、自然とポニーテールが浮かびました。

――みっきーの髪はツヤベタが大変だと、ツイッター（@rorouta）でつぶやいていましたね（笑）。

大詩：大変です……ちなみに、彼女のポニーテールですが、小学生時代は「3の字」、中学生になってからは「S字」に変化しています。もう、この曲線も本当に大変で、「みっきー、髪切ってくれないかな」と（笑）。猫田も顔のバランスが少しでも崩れると“別人”になってしまうので、みっきーと猫田、このメインキャラ2人は描くのが大変ですね。

難産だったエピソード

――先生はネームが早いと聞きました。

大詩：自分ではあまりわかりませんが、早い方とはいわれます。でもたまに悩みまくって、すごく時間のかかった回もありますね。

――そのエピソードは？

大詩：印象的だったのは5巻の第22話で、みっきーが人生初のデートをする回です。みっきーが学年イチの男子に告白され、デートをすることになるものの、その間ずっと猫田のことが気になってしまって……というエピソードでした。みっきーの天真爛漫さが“ただの無神経”に見えてしまわないように、表現に気をつけました。

――結局、みっきーは同級生の女の子に怒られていました。

大詩：みっきーは怒ってくれる人がいて成り立っているキャラクターなんです。小学生のときも中学生になってからも、そういった役割を担うキャラクターを出すようにしています。