【法林岳之のFall in place】第7回: 2015年冬~2016年春モデルはミッドレンジが拡大?

Eye

例年、この時期には各携帯電話会社の発表会が開催される。今年は9月30日にNTTドコモ、10月8日にはソフトバンクが2015年冬~2016年春モデルの発表会が開催された。auは今のところ、秋冬モデルの発表会を行なわない見込みで、おそらく年明けに春商戦向けの発表会を行なうだろうと予想されている。

各社が2015年冬~2016年春モデル発表

携帯電話業界ではかつて、5~6月に夏のボーナス商戦向け、10月ごろに冬のボーナス商戦向け、1~2月頃に新入学新社会人を狙った春商戦向けの発表会を催してきたが、近年は新機種が限られ、各携帯電話会社の新サービス対応のために、次々と新機種がリリースされるという状況ではないため、10月の冬春商戦向け、5月の夏商戦向けの2回に集約されつつある。ちなみに、1年を通して、携帯電話やスマートフォンが売れるのは2~3月の春商戦といわれており、各社ともこの時期にさまざまなキャンペーンを積極的に実施している。

国内ではおなじみの各携帯電話会社の発表会だが、携帯電話会社が新製品を一度に発表するスタイルは、欧米などの市場ではあまり一般的ではなく、各端末メーカーが独自に新製品の発表会を催したり、大きな展示会などに合わせて、新機種を発表することが多い。

たとえば、Appleは6月に開発者向けのWWDC(World Wide Developper Conference)でOSの次期バージョンを公開し、例年9~10月にiPhoneやiPadなどを発表している。Googleは5月ごろに開発者イベントのGoogle I/Oを催し、今年は9月29日に新しいNexus 5XとNexus 6Pを発表した。サムスンも今年は3月にスペインのバルセロナで開催されたMWC(Mobile World Congress)という世界最大のモバイルの展示会に合わせて、「Unpacked 2015」という自社イベントを催し、そこでGalaxy S6 edgeなどを発表し、今年8月には「Galaxy Unpacked 2015」というイベントをニューヨークで開催し、Galaxy Note 5やGalaxy S6 edge+を発表した。

海外でも携帯電話会社が発表会をやらないわけではないが、各商戦期に合わせて、各携帯電話会社が新製品をズラリと揃える発表会のスタイルは、各携帯電話会社の影響力が強い日本市場ならではのものだという指摘もある。

各社の注目端末をピックアップ

では、具体的に各社の発表内容はどうだったのだろうか。注目の端末などをいくつかピックアップして、説明しよう。

まず、各社のラインアップ全体の傾向として見えてきたのは、ハイエンドモデルは価格が一段と高くなる一方、ミッドレンジに位置付けられるモデルが少し増えてきたという傾向だ。前回、iPhone 6s/6s Plusが10万円前後まで高くなったという話題に触れたが、Androidスマートフォンもハイエンドモデルは値段が高くなる傾向にある。まだ、ほとんどの機種が発売されていないが、各社が実施している月額割引を適用する前の価格はハイエンドモデルで7~10万円弱が中心で、月額割引適用後の価格は4~7万円程度になる見込みだ。ただし、一部のモデルに戦略的に安い価格を設定したり、月額割引で大きく値引く例もある。

ただ、こうなってしまうと、ユーザーも買い換えがしにくくなってしまうため、もう少しスペックを抑えた買いやすい価格帯のモデルも増えている。たとえば、NTTドコモは富士通製の「arrows Fit F-01H」、シャープ製の「AQUOS Compact SH-02H」と「Disney Mobile on docomo DM-01H」、ソニーモバイル製の「Xperia Z5 Compact SO-02H」の4機種をラインアップに加えてきた。ソフトバンクもY!mobileブランドでHuawei製の「P8lite」をベースにした「LUMIERE」というモデルを発表している。いずれもディスプレイサイズは5インチ以下が中心で、ハイエンドモデルに比べると、ディスプレイの解像度やカメラ、チップセット(CPU)、メモリーなどのスペックが抑えられている。これらのスペックの内、どれを優先するのかはユーザー次第だが、チップセットはベンチマークテストでもしない限り、大きな差が見られないのに対し、ディスプレイの解像度はフルHD対応のコンテンツが少しずつ増えてきつつあることを考慮すると、少し気にした方がいいという見方もある。

「4K相当」だったXperia Z5 Premium

ところで、ディスプレイの解像度といえば、IFA 2015で世界初の4Kディスプレイを搭載したソニーモバイル製「Xperia Z5 Premium」が発表され、話題になったが、NTTドコモは冬春モデルに採用し、「Xperia Z5 Premium SO-03H」として、販売することが発表された。4Kとは3840×2160ドット表示を可能にするディスプレイの解像度のことで、テレビなどでも各社が4K対応のモデルを主力として販売している。ただ、今回のXperia Z5 Premiumに搭載されているディスプレイは、テレビに搭載されている4Kディスプレイとは少し内容が異なる。

Xperia Z5 Premiumのスペック表を見ると、4Kディスプレイの部分に「SID規格に準拠」という注釈が表記されているが、この規格は「そのディスプレイがどれくらいの『表示能力』があるか」を表わしている。これに対し、テレビなどで使われている「4K」という表記はJEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)で定められた規格を採用しており、ディスプレイの実際の解像度を表わしている。4K対応テレビが登場したばかりの頃、シャープが「クアトロンプロ」という技術を使い、フルHD(1920×1080ドット表示)対応のパネルながら、四原色のサブピクセル構造を採用し、これを分割駆動することで、4K相当の表示を可能にしたテレビを販売していたことがある。今回のXperia Z5 Premiumに搭載されているディスプレイは、おそらくこれと同じ技術を使ったものと推察され、本来ではあれば、「4K相当のディスプレイを搭載」と表記されるべきもののようだ。

 「4K」ディスプレイは必要?

もっとも同じシリーズで、フルHD対応液晶ディスプレイを搭載したXperia Z5と比較してみると、映像は明らかにXperia Z5 Premiumの方がきれいであり、誰が見てもわかるほどの違いなのだが、本来、スマートフォンに4Kディスプレイが必要なのかどうかという疑問も残る。前述のように、スマートフォンで扱われる映像コンテンツは、徐々にHDからフルHDへと移行しつつあるが、さすがに4Kコンテンツはまだ数が少ない。NTTドコモは同じNTTグループ内のひかりTVで配信される4Kコンテンツを視聴できるとしているが、4Kコンテンツは当然のことながら、データ量も大きいため、モバイルデータ通信で視聴すると、映画1本を見ることなく、月々のデータ通信量の制限などに達してしまう。つまり、4Kコンテンツを楽しむなら、自宅などにブロードバンド回線が必須というわけだ。NTTドコモとしてはモバイルデータ通信での視聴を制限するかどうかを検討中としているが、まだモバイルデータ通信のみで4Kコンテンツを楽しむのはあまり現実的ではないようだ。

2015年冬~2016年春モデルとして発表された各社の製品は、これから約半年をかけて、順次、店頭に並ぶ見込みだ。スペックの比較やベンチマークテストの結果なども気になるところかもしれないが、実際に店頭のデモ機を試してみて、本当に自分に合うモデルはどれなのかをじっくりと選ぶことをおすすめしたい。