【西川善司のモバイルテックアラカルト】第36回: ゲーム機の実況配信デバイス「AVT-C878」を活用する(前編)

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最近のゲーム機のGPUにはハードウェアビデオエンコーダーが標準搭載されていることもあり、標準でプレイ中のゲーム映像をインターネットに向けて配信することができるようになりました。マイクとカメラを用意すれば、プレイ中のユーザーの顔も配信映像に合成できますし、おしゃべりをゲームサウンドにアフレコすることもできます。今回は、こういったゲームの実況配信についてのお話をしていこうと思います。

現在の家庭用ゲーム機における実況配信事情

現行のゲーム機ですと、ソニーの「PS4」はYouTube、ニコニコ生放送、Twitchに対応しており、Microsoftの「Xbox One」ではBEAM、Twitchに対応しています。

PS4やXbox Oneではゲームコントローラ上の専用ボタンを押すだけで、比較的簡単にゲームプレイの実況配信が行えますが、配信映像の品質に若干のクオリティ制限が掛かります。

たとえば、ゲームグラフィックスが1,920×1,080ピクセル(1,080p)の60fpsだったとしても、配信映像は1,280×720ピクセル(720p)になってしまったり、あるいは解像度を1,080pに上げるとフレームレートが30fpsに下げられてしまったりもします。

もちろんカジュアルに実況プレイを配信するには、そうしたゲーム機の標準配信機能でじゅうぶんですが、もう少しだけ進んだ配信をやろうとすると、専用ハードウェアを用意した方ができることが広がります。

そんなわけで、ボクは最近、AVermediaの「AVT-C878」を活用しだしました。

AverMedia「AVT-C878」

同梱されている商品内容物

AVT-C878はPCありでもなしでも使える二刀流ビデオキャプチャデバイス!?

AverMediaの同系製品には「AVT-C875」が存在し、実はボクはこちらを出張によく持って行っていました。

NVIDIAやAMDの新GPUのデモ映像などを、AVT-C875に接続して録画させてもらっていたのです。

よく出張に携行していた先代機の「AVT-C875」

新モデルのAVT-C878では基本画質が向上し、使い勝手もよくなっています。

具体的には、AVT-C875では、録画/配信可能な最高画質は1,080p/30fpsの対応止まりでしたが、AVT-C878では、1,080p/60fpsの録画/配信にまで対応できるようになりました。

さて、このAVT-C878は、いわゆる「USB接続タイプのビデオキャプチャデバイス」なのですが、活用の仕方の異なる、2つの機能モードを備えているのが特徴です。

AVT-C878前面。左側が実況用のアナログ音声入力端子。中央やや右側の[+][-]ボタンは実況音声の音量の増減ボタン。右側がモードスイッチで左端がPCモード、中央が単体録画モード。右端はUSB接続したパソコンからmicroSDカードを読み出すためのメモリーカードリーダーモード

裏面。左端2つがHDMIの入力端子と出力端子で、HDMI出力端子からの映像は遅延ゼロ。中央がmicroUSB端子。PCモードではここをPCと接続し、単体録画モードではここをUSB電源(バッテリー可)と接続。右端はmicroSDカードスロット。単体録画モードでは録画映像はここに記録される

2つのモードは「PCモード」と「単体録画モード」という名称が付いています。

PCモードとは、Windows PCやMacなどのパソコンと接続して、外付けのビデオキャプチャデバイスとして使うモードです。

録画する場合は、入力映像はパソコン側のストレージ(HDDやSSD)に保存されますし、配信する場合は、パソコン側のネットワーク機能を介してYouTubeやニコニコ生放送などのライブストリーミングを行います。

PCモードのシステム概念図

一方の単体録画モードは、パソコン等には接続せず、AVT-C878にUSBケーブルで電源を供給することで、AVT-C878単体でビデオキャプチャして挿入されたmicroSDカードに録画することができます。

単体録画モードのシステム概念図

なお、AVT-C878を使って録画/配信が行える映像機器は、HDMI出力に対応したものであればなんでもよく、それこそ、PS4やXbox One、「Nintendo Switch」でもよいですし、iPhoneなどのスマートフォンでもOKです。

HDCPと呼ばれる著作権機構が有効になっていると、その映像は録画ができません。ゲーム機などでは、HDCPのオン/オフを設定で切り換えられるものもあるので、このあたりは事前に確認しておく必要があります。

PS4のHDCP関連の設定。ここをオフにしておかないと、外部ビデオキャプチャ機器を使っての録画/配信は行えない

接続は簡単で遅延もゼロ

AVT-C878の接続方法はとてもシンプルで、普段はテレビ/モニタに接続しているHDMIケーブルをAVT-C878の入力端子に接続し、AVT-C878のHDMI出力端子をテレビ/モニタに接続してやる感じです。

いうなれは、録画/配信元のゲーム機/スマホ/パソコン(HDMI機器)とテレビ/モニタの間にAVT-C878を中継機のような感じで挟み込むようにして接続するだけです。

こういうことをすると、ゲーム機からの映像が、AVT-C878の中で処理されることでテレビ/モニタに映し出されるまで遅延が発生してしまうのではないか……と心配されるかもしれません。

これについては、メーカーも遅延ゼロを謳っており、ボクも実測して検証してみましたが、確かに遅延はゼロでした。

これは、AVT-C878には入力されたHDMI信号をパススルーさせる回路(実質的な分配回路)が搭載されているためです。

なお、PCモードでAVT-C878をUSB接続させたときの、パソコン側の画面に表示させた映像は、0.18秒ほど遅延します。

なので、ゲームプレイ時など、低遅延にこだわりたい用途では、パソコン画面に表示されたプレビュー画面ではなく、AVT-C878側のHDMI出力端子側に接続したテレビ/モニタの方に表示される、ゲーム機の生映像を見た方がいいでしょう。

PCモードで利用する際でも、ゲームプレイ実況などでは、AVT-C878のHDMI出力端子から出力される遅延ゼロのパススルー映像を見てゲームをプレイした方がいい

実況にも対応したAVT-C878

AVT-C878は、PCモードでも単体録画モードでも、ユーザーの肉声音声を吹き込んでの「実況」に対応しているところがポイントです。

通常、こうしたゲーム機側からの音声と、後乗せの実況音声の合成(ミキシング)はパソコン側で行われるものでした。

しかし、AVT-C878では、これを自身で行うことができるのが特徴となっています(先代のAVT-C875には、こうした機能は搭載されていません)。

AVT-C878の前面にはアナログの音声入力端子が2系統も搭載されていて、ここにマイク付きヘッドフォン(ヘッドセット)などを接続することで、ゲーム機側の音声とミックスさせてユーザーの肉声を吹き込めるのです。

なので、単体録画モードにおいても、実況動画を作ることができるわけです。

これは、パソコンを持っていない人(あるいはその知識がない人)でも実況動画を作れることに相当するので、なかなか面白い機能です。

しかも、アナログの音声入力端子が2系統も搭載されているので、2系統の音声をミキシングできます。

なので、1つはユーザーの肉声、もう1つはPS4やXbox Oneなら、標準コントローラに実装されたヘッドフォン端子をここに出力すれば、マルチプレイのチャット音声を録画/配信音声に盛り込めます。

筆者はマイク付きヘッドセットを左側のアナログ音声入力端子に接続。ここからゲームサウンドをヘッドフォン経由で聴き、自分の音声はここ経由で吹き込まれてAV-C878内部でミキシングされる。音量操作は隣の[+][-]ボタンで行える

左端がテレビへ接続するHDMI出力端子、その隣が映像機器と接続するHDMI入力端子。表示遅延はないので、録画/配信しないときでもこの接続のままで普通にゲームなどはプレイができる

ゲーム機とこのアナログの音声入力との音量バランスは、5段階の簡易調整にはなりますが、AVT-C878本体だけで行えるのもミソです。

AVT-C878は、徹底して単体で使えるように設計されているのが面白いと思いました。もちろん、上級者はこれらの機能を使わず、すべての音声ミキシング処理をホストPC側で行うこともできます。

なので、最初はボクも、単体録画モードでゲームの実況プレイ動画を製作していました。

ただ、実況プレイ動画を生放送で配信すると、視聴者とインタラクティブにゲームが楽しめるため、最近では、PCモードを使って実況プレイを生配信することが増えてきています。

次回はそのあたりの話をしたいと思います。

実は前回のSwitch版『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』体験編のグラフィックス考察動画は、AVT-C878を使って録画したものだった

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