『武器よさらば』ひたすらかっこいい、濃厚な世界観の凡作アクション【山本一郎のスマホ情報見聞録】

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山本一郎です。まあ、何というかゲームを長らくやっていると、定番のシステムにゴージャスな演出が乗っかって「超本格派RPG」とか「豪華声優総出演! 100人から君だけのなんちゃらを選べ」みたいな煽りで出てこざるを得なくなるんですよ。

でも『パズル&ドラゴンズ』以降、属性あり、ガチャと合成でレベルアップというスマートフォン向けバトルゲームのお約束は崩さないアプリが増えました。金太郎飴的ですが、ガチャによる課金回収には抜群の相性なのは間違いありません。

そういう定番になってるシステムをどうアレンジするかさえも最近のスマホゲーは放棄したようにテンプレ化したのは、まだフィーチャーフォン(ガラケー)時代に揶揄された「もしもしゲー」のころからでしょうか。

いわれてみれば、『アルカノイド』が流行ればブロック崩しが各社から出たり、格闘ゲームが人気になると似たような格ゲーが乱立したころと変わらないのかもしれません。

んで、今回取り上げるのはWright Flyer Studios(GREE)の新作スマホゲー『武器よさらば』です。最初見たとき、ヘミングウェイの戦争小説がゲーム化したのかと思っちゃいました。

結論から先にいうと、アクションゲームとしては凡作です。というか、Netmarbleの『MARVEL Future Fight』など先行作品の方がスキルも組みやすいし、操作性も高くてキャラクターの組み合わせからのバリエーションも豊富だという。

後発ならではの何かをアクションゲームの中に吹き込もうという意欲よりも、手堅くまとめて無理なく遊んでもらおうという守りの気持ちがどこかにあったんでしょうか、Wright Flyer Studios。

序盤はこの手の見下ろし型アクションゲーム定番の「キャベツ斬ってるだけ」の状態からスタートし、だんだんデブやらミサイルランチャー女やら変な仕掛けのトラップやらを潜り抜ける一本道でミッションをこなしていくだけ。

イラストは美麗ですし、声優さんも豪華なんですけど、キャラクターはSD型で見下ろしカメラ固定のため、ボスや地形の裏側に回ると青くスケルトンが表示されて何が何だかよくわからないという。

ボスが攻撃してきそうなので回避しようと思っても、今何発目の攻撃なのか見ててわからなくなってしまいます。困る。

コンボの爽快感はミッションを進めるごとに薄れていくのはこの手のゲームの宿命なのでしょうか。喰らうと超痛いデブの棍棒や、雑魚に構ってると遠隔地から打ち込まれてくる炸裂弾をもらって吹き飛ぶという、イライラとの闘いになっていくわけであります。

普通にアクションゲームとだけ考えたら、ぶっちゃけ『武器よさらば』は凡作というか、もう少しほかにやりようあっただろ、という気持ちにさせられるわけであります。

ところがですね。そういうキャベツ斬りが面倒な無双系アクションというハンデを補って余りある雰囲気のよさ、世界観の奥深さ。こういうの、私は大好きです。いやあ、いいですね。

なんかこう、次にどうなってしまうのか、ぜひ見てみたいと思わせるような、なかなか面白くも悲しい、いいストーリー展開です。

どこぞの大作ゲームのシナリオに影響されたのかと感じさせる部分はあるものの、こういう物語をちゃんと楽しませてくれるスマホゲーは久しぶりに見ました。ストーリーがどうなるか見たいからゲームも進めたい。実に健全な姿であります。

主人公キャラクターの「あんたは特別だ」という理由もハッキリしているし、葛藤ありつつも状況を受け入れていく主人公の姿、ろくでもない雰囲気、適当な感じのキャラクター、冷酷で金儲け第一の企業、どれもこれも、とてもいい。

男の友情とか、この子供はお前に託したといった傍から子供が死んでるとか、ほんとこれ現実にこういう世界に紛れ込んだらこういう人間性にならないと生きていけないんだろうなと思わせるぐらいにリアルなんです。

そして、編成や強化をする暗めのキャンプ画面も、変に華やかじゃなくてほんとちょっと安らいでる感じ。こういう渋みのある世界観やデザインって、本当に最近のゲーム環境では貴重だと思うんですよね、ましてや万人受けを狙いたいスマホゲーの世界では。

それに、この手のゲームでは定番のスタミナがない。やりたいだけやっていきな、というこの姿勢。いいじゃないですか。ここまでちゃんと考えて世界観を作っておきながら、どうしてアクションゲームがクソなのだ。

例えばですね。☆5の剣持った巫女が出るじゃないですか。この世界観で巫女ってどういうことなんだというのは置いておいて、いちばん一般的に使われそうな剣を扱うんだから強いのかと思って育成して後半に進んでみると、通常攻撃の一歩目の踏み出しが短すぎて困る。

処理し損ねた雑魚の兵隊さんが巫女の後ろに回り込んで雑魚攻撃してきてボスに会うころには、HPが削られてるとかムカつくわけですよ。

通常攻撃での踏み出しの移動量が少ないから、遠隔から撃ってくるミサイルランチャー女の炸裂弾がのんびり巫女にヒットして派手にコケて、せっかく途中までためてきたコンボが一からやり直しとか腹立つんです。

最初に出た☆5が美人風の巫女だったのでうっかりよろこんだ私が馬鹿ってことなんでしょうか。

その点、フレンドから借りられるレベルアップされた闇稼業人トウマさんは強い。超強い。双剣、最強なんじゃないでしょうか。何でしょう、このポチポチ適当に押してるだけで本人の突破力だけで本格的に敵が蹂躙できてしまうというヤバさは。

こちとらいちいちデブの攻撃をスワイプで避けたり、通常攻撃5発全部入れると敵を吹き飛ばしてしまうので4発で止めてヘビーアタック入れたりしてがんばって攻略しているのに、なんだこの本格的な強さの差。大剣なんていらんかったんや。

敵を燃やすとか、燃えてる敵にダメージボーナスなどというスキルがあっても、燃やしてる敵はたいてい飛んで行ってるんだよ。追いかけて行って攻撃当てるころには火が消えてるとか、もうちょっとどうにかならなかったのでしょうか。

ステージクリアして倒した敵のみなさんが地面のそこらじゅうに転がっている状態で、勝ちポーズ決めた巫女の決めセリフが「みなさん、お怪我はありませんか」とか、どういう悪い冗談なのかとプレイヤーの私でさえ心配になります。生み育てた親の顔が見たいです。

そして、ガチャでは私の中で定番の☆3祭り。ハズレロードのみなさんが続々と集まってまいります。

まだ最初のガチャで得られた☆5の巫女さん以外、まともな人が出てくれないのです。困惑を隠せません。このソシャゲでも☆3祭りに見舞われるとは思ってもいませんでした。君たちはこの重厚な未来の世界観でも役立たずなのですか。気に入ったキャラクターがいても、ハンマーとか持ってて相当いかん感じです。

なお、このゲームは本当にシナリオが秀逸なのですが、主人公は☆3どころか☆2であるため、初回の10連ガチャが終わるとゲーム本編ではお払い箱になります。そりゃいくら主人公でも、ノーフューチャーな☆2育てるよりはムフフな☆5巫女育てるだろ。ぶっちゃけ見向きもされないレベル。☆2だからね、しょうがないね。育てる気力も湧きませんわ。

そんな主人公でも、本編では全力で共感します。戦争のない世界にしたいっていう言葉が心に重く響くんですよねえ。戦争のために兵器を作り、それで保たれる繁栄なんてクソだし、人を選別して廃棄するとかこの世界観の持つ独特な彩りは、やっぱりほかのスマホゲーのチャラチャラしたシナリオとは一線を画す秀逸な出来だと思います。

しかしながら、アクションゲーム単体で見ると半裸の女性キャラクターが愛想を振りまきつつ、武器振り回して敵兵を虐殺していきます。コンボを決められ吹き飛ばされる敵兵一人ひとりにも待っている家族がいるかもしれないから戦争反対なんじゃないのか。

シナリオでは廃棄された子供1人の生き死ににずいぶん感情移入させておきながら、デイリーミッションで「1,000人敵を倒しましょう」とか出てくるところにこの手のゲームならではのご都合主義も垣間見せるわけです。

自宅ではペットボトル6本入りの段ボールも持てないような華奢な女性キャラがメリケンサックつけて数百人の兵隊がひしめく戦地へにこやかに走り込んでいく姿に涙が止まりません。どこにいったんだ重厚な世界観。

まあ、ゲームだからしょうがないんですけどね。これはもう、しょうがないものなのだ、それが大人の事情なのだと割り切って、シナリオを楽しむ幕間幕間にミニゲーがある、ぐらいの感じでやっていくと、きっとそのうち大型アップデートが来てアクションゲーム本編も面白くなって、プレイヤー対抗ギルド戦も楽しくできるようになるんですよ、きっと。きっと。

(C) Wright Flyer Studios