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HIT開発者インタビュー!リネII・TERAのパク・ヨンヒョン氏がモバイルに挑戦した理由

スタイリッシュコンボアクション『HIT ~Heroes of Incredible Tales~』(以下、HIT)の開発担当であるNAT Gamesのパク・ヨンヒョン氏とホン・スンミョン氏、そして、ネクソンのキム・キハン氏に突撃インタビュー! HITの開発秘話から、新英雄「レナ」の情報、海外版と日本版の違いを聞いてきた。

中の人が明かすHIT開発秘話

昨年12月に満を持して日本上陸を果たした『HIT』。

「すべての一撃が、美しい。」のキャッチコピーの通り、美しく爽快感あふれるアクションで、世界各国のユーザーを魅了してきた。

2017年3月9日には、5人目の英雄「レナ」のトレーラームービーが公開され、ユーザーたちの期待も膨らむばかりだ。

今回は『HIT』を開発したNAT GamesのCEOパク・ヨンヒョン氏とグローバルスタジオ プロデューサーのホン・スンミョン氏、そしてネクソンのモバイル事業を統括するキム・キハン氏に話を聞いた。

左より、キム・キハン氏、パク・ヨンヒョン氏、ホン・スンミョン氏

――『HIT』は、PCのMMORPGで数多くのヒット作を手掛けてこられたパク・ヨンヒョンさんが開発するモバイルゲームということで話題になりましたが、どのようないきさつでモバイルゲームを開発されることになったのでしょうか?

パク・ヨンヒョン氏(以下、パク):韓国のMMORPGは、パフォーマンスが上がり続けていて、開発コストがどんどん大きくなってきており、独立した開発会社には手が出しにくくなってきていました。

まだその当時は、モバイルゲームはカジュアルなタイトルがほとんどで、最初は私たちには合わないと思っていました。

しかし、モバイル端末の性能も急成長していましたので、私たちが得意とするコアゲームを作れるのではないかと思ったのがきっかけです。

NAT GamesのCEOのパク・ヨンヒョン氏。『リネージュII』『TERA』などの人気MMORPGを手掛けてきた韓国を代表するゲームクリエイター

――モバイルゲームに挑戦されて、PCのMMORPGとの違いや苦労されたことはありますか?

パク:画面のサイズの違いに対する認識を変えるのに苦労しました。PCのMMORPGでは20~30インチのディスプレイでのプレイを想定することが多いです。

そのため、PCのときの感覚でオブジェクトやエフェクトを作ってしまい、スマートフォンで確認したら小さくてよく見えなかったということがありました。

また、モバイルゲームのサイクルの早さに慣れるのにも大変でした。

PCゲームでは、企画から制作、実装を経て、ユーザーからのフィードバックが戻るまでに3~4か月かかることが多いのですが、モバイルゲームの場合はそれが1か月になります。

そのため、いかに早いサイクルで作業を回すのか、スピードの調整に苦労しました。

――『HIT』はどんなコンセプトで開発されたのでしょうか。

パク:ネクソンさんが日本でのリリース時につけてくださった「スタイリッシュコンボアクション」という言葉は、まさに『HIT』を開発する際に思い描いていたイメージでした。

敵を認識した瞬間に、その懐に飛び込んで、一気になぎ倒すというような爽快感あるアクションを作りたいと思い、開発しました。

ホン・スンミョン氏(以下、ホン):『HIT』は、まず戦闘を第一に考えて作りました。戦闘の部分を最初に完成させてから、合わせるように成長などのシステムを考えていきました。

そのため、戦闘の部分は今でも開発当初の段階からほとんど変わっていません。

NAT Gamesのグローバルスタジオ プロデューサーのホン・スンミョン氏。日本、中国、グローバル版『HIT』のプロデューサーを務めており、リージョンごとのユーザーの違いにも詳しい

パク:携帯ゲーム機であれば、パッドやジョイスティックがあるので、精密な操作ができますが、スマートフォンの画面ではバーチャルパッドで操作をすることになります。

そのため、ラフな操作でも爽快感のあるアクションを体験できるように作っています。

――最初の企画からリリースまでどれくらいの期間がかかりましたか?

パク:企画からリリースまでは18か月かけています。

ホン:同じようなアクションゲームと比較しても、ボリュームに対して、かなりの短期間だと思いますが、大変でしたね。

Vulkan APIの映像美とプレイ感の葛藤

――『HIT』は、世界でもいち早くVulkan APIに対応したタイトルの1つですが、Vulkan APIを適用のいきさつを教えてください。

パク:当時、AndroidがVulkanをサポートするのにあわせて、最新のAndroid端末で遊べるVulkanに対応したゲームを作れる開発会社を探していたようで、ハードウェアメーカーからお声がけいただいたのがきっかけです。

そこからチームを組んで、約4か月くらいかけて、『HIT』をVulkanに適用させました。

――チームを組まれた際に大変だったことはありますか?

パク:Vulkanのよさをアピールするため、グラフィックをより美しく見せたいという狙いがあったのですが、ゲームはグラフィックがどれだけ美しくても、それがユーザーのプレイ感を損なってしまっては意味がありません。

そこで、どこまで美しさを見せて、どの部分はエフェクトを抑えるのかなど調整には気を使いました。

Unreal Engine 4とVulkan APIにより実現したスタイリッシュコンボアクション。ぜひハイエンド端末で遊んでほしい!

――サービスを開始するにあたってネクソンと組まれたきっかけを教えてください。

キム・キハン氏(以下、キム):ネクソンでは世界でも展開していけるクオリティの高いタイトルを探していまして、そこで『HIT』と出会いました。

このタイトルであれば、韓国だけでなく世界のユーザーにも受け入れてもらえるだろうと思い、タッグを組んで仕事をさせていただきました。

ネクソンは日本や韓国をはじめ、海外でも幅広く事業を展開していますので、カルチャライズの面などでも『HIT』をサポートをしています。

ネクソンのモバイル事業本部 本部長のキム・キハン氏。ネクソンのモバイルゲーム事業全体を統括するキーパーソン

新英雄「レナ」はグローバル版では人気ナンバーワン!

――日本でも実装が発表された新キャラクター「レナ」について教えてください。

ホン:レナは『HIT』では初の弓を使うキャラクターです。

同じ遠距離攻撃のキャラクターであるキキよりもスピーディーなアクションができるのが特徴です。

イベントレイドで活躍でき、操作も難しくないのでアクションが苦手という人でも使いやすいキャラクターですよ。

韓国でも人気が高いというレナ。ほかの英雄と同じく、立ち絵などのイラストは日本向けにデザインされる

――一足先に登場しているグローバル版での人気はいかがでしょうか?

ホン:グローバル版ではとても人気が高く、多くの人が使用しています。

レナをメインキャラクターとして使用している人は全体の約40%です。

ちなみに、ほかの英雄では、キキとヒューゴが人気ですが、それでもメインキャラクターとしての使用率は20%ぐらいです。

――40%も! とても人気がある英雄なんですね。ちなみにですが、皆様はどの英雄がお気に入りですか?

パク:キキです。とても操作しやすくて、お気に入りですね。

ホン:アニカがお気に入りです。スピーディーに相手に近づいて、ズバズバと攻撃できる近距離ならではの爽快感が好きです。

キム:私もアニカです。最初に英雄を選ぶときに、キキとどちらを選ぶかとても迷ったのですが、近接戦闘のキャラクターがいいなと思い、アニカを選びました。

開発者が語るGVGの秘訣は「防御」と「連携」

――続いて、日本版と海外版の違いについて教えてください。日本版以外では、どのコンテンツが人気なのでしょうか?

ホン:ギルド戦が特に人気です。どの国でも、長く遊んでいる人の多くはギルドに入っていますね。

ユーザー間のイベントも盛んで、大手のギルドの合併や分裂をしたり、有名プレイヤーがギルドを移籍したりしたときは、大きな話題になることもあります。

――ギルド戦が盛んなんですね! 対人戦が苦手という人もいると思いますが、ギルド戦で勝つコツはありますか?

パク:対人戦全般で言えることですが、重要なのは防御です。

レースゲームでアクセルを踏むよりも、適度にブレーキを踏むのが重要なように、攻撃だけでなく防御をするタイミングにも気を配ってみると良いかもしれません。

ちなみに私も、対人戦は苦手です(笑)。

ホン:ギルド戦では、コンボやカウンターのタイミングも大事です。ほかのギルドメンバーのスキルから、コンボにつなげることも可能なので、連携がカギを握ります。

日本は、連携について練習しているギルドが多いですね。他の国の上位ギルドと比べても、ルールなど統制が取れているところが多い印象です。

仲間のスキルにつなげるようにコンボを叩き込む連係プレーも可能

――アバターなどでおしゃれを楽しめるのも『HIT』の特徴ですが、グローバル版ではどのようなアバターが人気なのでしょうか?

ホン:アバターも性能で選ぶ人が多いので、新しいアバターで強力なものが出ると、新しいものに変えるという人が多いです。

特に、日本版でも実装されている中華風の「龍虎相克」のアバターは人気でした。

アバター「龍虎相克」シリーズ

――装備やアバターのデザインはどのように生まれているのでしょうか?

ホン:アートディレクターが決定します。装備は、中世ファンタジーの世界観に合うデザインを意識しています。

アバターは世界観から離れ、クリスマスなどの季節に合わせたものから学生服まで、自由なデザインで作っています。

アバターの半分は、ハロウィンやクリスマスなどのシーズンのもので、残り半分は地域に合わせたものを作っています。

日本の場合は、NAT Gamesだけでなく、ネクソンで制作しているものも数多くあるので、グローバル版と比較してもアバターのバリエーションが豊富です。

――日本のほうが種類が多いんですね! ほかにも、日本版とグローバル版の違いはありますか?

ホン:「次元の共闘」モードは、日本版で先行して実装しました。日本版での好評をうけて、グローバル版でも今年2月に実装されたばかりです。

ほかに、キャラクターがスキルを使うときに技名を叫ぶのも日本だけの仕様です。

パク:技名を叫ぶボイスですが、韓国のゲームでは技のモーションが終了すると、ボイスも同時に止まるのが一般的でした。

しかし、日本のゲームではモーションが中断されても、ボイスの再生するものが多く、『HIT』でも同様にボイスが中断されないようにしたところ、しっくり来たので驚きました。

現在は、グローバル版でも、ボイスの実装を検討しているところです。

日本版で先行実装された「次元の共闘」。ほかのプレイヤーと協力して一緒に敵と戦える

コアユーザー向けの大会を企画中!?

――今後、日本での『HIT』の展開の予定を教えてください。

キム:リリースしてから、ユーザーの方から温かく受け入れていただくことができました。いかに継続して満足いただけるサービスを展開していけるかを考えています。

特にコアユーザーの方が楽しめるように、大会などのイベントはできないかなと検討しているところです。

グローバル版のコンテンツで、日本版に実装されていないものも、どんどん実装していきたいと思っていますので、ご期待ください。

――最後に、日本のユーザーに向けてメッセージをお願いいたします。

パク:今後とも『HIT』を末永くよろしくお願いいたします。

ホン:『HIT』は、たくさんキャラクターが出るタイトルではなく、ひとりひとりのキャラクターをじっくり育てていくゲームなので、永くお付き合いいただければ幸いです。

キム:『HIT』を遊んでいただき、ありがとうございます。これからは、日本のゲームとは違った遊び方も紹介していければと思っていますので、楽しみにしていてください。

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