[黒川文雄のゲーム非武装地帯] 第30回: 闘会議に見るニコニコ動画の今後

Eye

2月11日の朝、SNSを更新するとすぐにメッセンジャーにメッセージが着信した。「おはようございます。本日は幕張メッセへ向かっております。いらっしゃいますか?」……というものだった。

何のことかよくわからず、しばらくそのまま放置していると次の着信があった。

「今日はメッセで闘会議ですがいらっしゃいますか?」

なるほど、うっかり失念していたがドワンゴが主催する「闘会議2017」が2月11日、12日の2日間幕張メッセで開催されていたのだ。

闘会議のコンセプトとJAEPO共催の意味とは……

闘会議のコンセプトは、以下になる。

みんなでオフ会をしてもいい。NO.1決定戦をしてもいい。実況したっていいし、昔のゲームで遊んでもいい。ゲームの楽しみ方は1つじゃない。みんなが遊べる、楽しめる「ゲームのお祭り」それが「闘会議」

今年も昨年に続き、JAEPOとの共同開催だった。

JAEPOとは、ジャパンアミューズメントエキスポの略でアーケード用ゲームマシン、プライズマシンなどのメーカーの新作出展イベント。

アーケードのオペレーター(経営者や卸業者)向けのビジネスデーを2月10日に開催しており、11、12日は闘会議とタイアップすることで宣伝販促を兼ねたイベントとして展開された。

双方のメリットが合致したということだろう。

閑散としたステージや会場風景

その日の午後になると、闘会議に行った他の友人たちのSNSフィードが活性化してきたが、反応はあまり芳しいものではなかった。

みんながゲームを遊べる、楽しめるお祭りと銘打った割には、ゲームパブリッシャーの出展が少ない。

任天堂はNintendo Switchの発売も近いことと、過去のドワンゴとの関係性からいっても出展はアリだろう。逆になかったら「どうなの?」という声もあっただろう。もう1社は、ミクシィ=XFLAG STUDIOである。本気で出展営業を各社に掛けているのだろうか。

各所でステージイベントが開催されるも、数名程度の観客しかいないものもあったという。もちろん、ある程度の観客を集めることのできたイベントもあった。

これらに関しては展開していたコンテンツ次第と言うこともあるので一概には判断できない。

さらに、主催者ドワンゴ発表による今年の集客は思ったほど振るわなかったようだ。

闘会議2017年(2月11、12日)

  • 会場来場者:68,459人
  • ネット来場者数:4,126,180人

ちなみに、昨年実績はこうだ。

  • 会場来場者:47,588人+JAEPO来場者:17,053人=64,641人
  • ネット来場者数:6,878,290人

ネットからの来場者(アクセス)は、昨年年度よりも270万アクセス超の大幅にダウン傾向にある。辛うじて実来場者はプラスになっているが、大成功といえるほどの動員ではないことに注目したい。

アーケードゲーム自体が90年代中ごろの勢いやコンテンツのバリエーションはなくなったことも理由の1つかもしれない。

局地的なヒット作品があるのはわかるのだが、大きな幕張メッセを借りてのイベントを展開するのはやや負担が大きくなっているのではないだろうか。その点でも、出展費用などの管理コストの双方応分負担で、ドワンゴとJAEPOのメリットが合致したのだろう。

ちなみにドワンゴは、「ニコニコ超会議」の方は赤字がウリのイベントと自虐的な紹介をしているが、経営自体を問われることはないのかと第三者が逆に心配してしまう不思議な気持ちにさせられるイベントだ。

プレミアム会員も減少傾向

さて、それらのすべてを統合するようなドワンゴのサービスの核になるものがニコニコ動画だ。

上記で挙げたイベントはどちらもニコ動のオフ会的位置づけのイベントであり、ニコ動へのアクセスやプレミアム会員化を促進するはずのイベントのはずだからである。

しかし、カドカワの平成29年3月期、第3四半期決算短信には、2016年の12月末日時点でのニコ動のプレミアム会員数の減少が報告された。かくいう私もプレミアム会員で、毎月540円が徴収されている。

それと個人でニコ動での公式チャンネル(ただし、2014年くらいから更新が止まっている)と公式なブロマガチャンネルを保持しており、そこではメルマガを月1回更新している。

そんなニコ動公式チャンネルを持っている自分自身でも、このところ、自分のメルマガ更新以外のアクセスはまったくしなくなってしまった。

さきほど挙げたニコ動のプレミアム会員数の減少だが、2006年のサービス開始以来初めて減少に転じたという。

2016年12月末時点でのプレミアム会員数は252万人。9月末時点の発表では256万人となっており、約4万人の減少。単純計算だが540円の4万人の減少では2,100万円の会費をロストしていることになる。

大きいといわれれば大きいが、小さいといわれれば小さい。ドワンゴにとっては誤差の範囲、経営に与える影響は軽微という認識かもしれない。

さて、プレミアム会員契約はしたものの、実際には使用しないという人もいるだろうし、休眠のまま月額540円を払っている顧客もいるだろう。

今回のようなことになると、寝た子を起こすようなことにならなければいいのだが。

遅れたスマホ対応と今後のシナリオ

プレミアム会員減少の背景にあるのは、ひとつにはスマホ対応への遅れといわれている。

同様の動画提供サービスが軒並みスマホへの視聴にカジを切った中、ニコ動の対応は迅速ではなかった。あとは従来より指摘されていた画質の課題や、そもそも提供されているコンテンツの中身の問題もあるだろう。

闇鍋のような何でもアリのコンテンツでもよかった時代もあったが、今はどちらかといえば最初から最後まで飽きさせない演出を伴った完成度の高いものが求められているような気がする。

また、生まれては消えるサービスの中で、時代にマッチしたコンテンツやキャラクターを提供することができなかったことも大きいのではないだろうか。

その点では、「ユーチューバー」というキャラクター造語をもってして立ち向かったYouTubeに道をふさがれ大きく後塵を拝してしまった。

ネットやゲームで新しいコンテンツやサービスが導入され、そのサービスや企業のことを、海外の投資家やアナリストから意見を求めらるケースがあり、そのときに私がよくいうことがある。

それは、新しいサービスやコンテンツの場合、時代が変わり、それに代替えできるようなものがローンチしたときには、今あるサービスは廃(すた)るということだ。

思い出してみればわかるだろう、みなさんのなかにはマイクロソフトメッセンジャーを仕事で重用していた人も多いだろう。

しかし、今はスカイプにサービスが吸収されてしまったが、これもフェイスブックメッセンジャーや世界的に見ればワッツアップ、アジア圏ではLINEなどに集約されてしまった。

ニコニコ動画もしかり、YouTube、Twichなどにシフトしている。それらは無料でじゅうぶんなサービスを受けることができる。

しかし、そんな優良なサービスもいつ時代の変化のなかでオールドファッションと称されるかはわからない。

一度ついたイメージは大きく変えることは難しい。もしかすると、今そこにあるサービスの中から何かを切り出して新しいサービスとして模様替えをし、育てていくことも重要かもしれない。

創業から10年以上続く中小企業は10%ほどという。サービスも同じで、その10%に残るのは常に市場を意識し、ニコニコ動画、プレミアム会員の在り方も、時代の呼吸に併せてあり方を変えるサービスが求められているのかもしれない。