真・カイブツクロニクル ELEVEN BAKEMONS【ゲームレビュー】

『カイブツライフ』そして『カイブツクロニクル』に続くアドウェイズのリアルタイムシミュレーションRPGシリーズ第3弾『真・カイブツクロニクル ELEVEN BAKEMONS』。システムやインターフェースなど、すべてが一新されており、独特な世界観を奥深い戦略で追っていくことになる。

システムも世界観も摩訶不思議
独自路線のリアルタイムシミュレーションRPG

ゲームの面白さということを考えるときに案外見落とされがちなのが、UI(ユーザーフェイス)である。どんなに魅力的なシステムを搭載していて、かつグラフィックがきれいでも、この部分が残念だと継続してのプレイが難しくなる。また、対応プラットフォームやメーカーごとにその作法が違っていることもあり、慣れていないと面食らうこともあるだろう。

本作『真・カイブツクロニクル ELEVEN BAKEMONS』も、そういった意味ではメインストリームからは外れているかもしれない。とはいえ、作品としての合理性は備えているし、慣れれば特に気になることもない。

画面の外周にアイコンを置くのは、アジア圏発のゲームに多い。階層を浅くして簡単にアクセスできるメリットがある

徐々に解除されていくシステム群

スマホゲームにおけるRPGでは、一部のシステムに開放制限が掛けられていることはよくある。レベル1の状態では対人マルチプレイに放り込まれてもやれることはないし、システムを理解する前に手痛い敗北を喫すればゲームを続けるやる気を失うかもしれない。そういった部分に気を使うのは理解できる。

だが、本作では対人戦以外にも、ショップやボーナス取得といったものにまで開放条件が設けられている。この点については意図を読み切れなかったが、まずはストーリーと戦闘システムを理解させるためにノイズを排除しようということかもしれない。

対人戦の闘技場、アイテムやゴールド取得のための特殊面であるイベントへの制限はわかるとしても、条件達成でアイテムがもらえるボーナスや、ショップにも制限がかかっている

前衛1人に後衛3人というパーティーバランス

最大5人の編成によるパーティーは、幾多の英雄を召喚して強化していくのだが、召喚された英雄は戦士、術師、狩人、聖者の4つの職種に分類される。このうち、戦士のみが前衛職である。術師はいわゆる魔法使いで、聖者は僧侶。最初に組めるパーティーは無課金の場合、「白虎」「アルブ」「ロビン」という組み合わせは変わらないようだ。むろん、課金ガチャを回すことでキャラクターを入手すればパーティーに組み込める。

なお、戦闘時には敵を任意にターゲットすることができない。英雄を配置できる範囲は3×3の9マスで、このうち最前列が前衛になり、ここに配置すると敵の直接攻撃を受けることになる。初期パーティーだと前衛が白虎1人しかおらず、少々心許ない。

1章をクリアすることで聖者「ヤコブ」がパーティーに参加する。しかし、彼も後衛のキャラクターだ

使いどころを選んでオートモードに

戦闘は自動的に進行するが、戦闘画面にはオートモードのスイッチが存在する。では、オートにすると何が変わるのかといえば、戦闘時に必殺技を使うようになるということ。ただし、このオートモードにはキャラクターの配置を変える機能はないため、いくつかのステージに登場するトラップを回避したり、HPの少ないキャラクターを後衛に下げるといったことができない。このため、オートで突き進んで全滅してしまったということも何度かあった。

またHP残量が少なくなり、配置換えをしようとキャラクターをタップしてみたが、そのままマニュアルに切り替わることはなかった。つまり、オートモードを手動で解除して、その後にキャラクターを動かさないといけないということ。リアルタイムで進行する中で、この部分は改善してもらえるとありがたい。

マップ内に配置されているトラップが見えているのだが、これを回避できるのはマニュアル操作による配置変更だけ。進軍は強制スクロールなので、このラインは空けておかないと手痛いダメージを食らう

オリジナリティにあふれる形式のガチャ

パーティー編成型のRPGの場合、ガチャを回して仲間を増やすというのはオーソドックスなスタイルである。本作の場合、アイテムと勇者が同じガチャになっている。勇者のレアリティーはR、SR、SSRの3種。アイテムには特にレアリティーが設定されていない。ゲーム内通貨のゴールドで召喚するゴールド召喚と課金通貨である水晶召喚の2種類のガチャが用意されているが、水晶召喚にはレアリティーによる足切りがない。つまり、消費するコストが違うだけで出てくるものは同じということだ。

当然、内部での確率は異なるのだろうが、どちらを引いてもアイテムばかりなのは少々ストレスに感じた。ちなみに、ゴールド召喚は1日に2回、水晶召喚は48時間に1回だけ無料で引くことができる。

まだ召集できていない勇者を先に見ることができるというのも独特。彼らの能力もチェックできるので、ガチャのモチベーションは上がる

勇者は、プレイを進めていく中でも獲得できる。入手マップが開示されているのも大変ありがたい

ユーザビリティーを高めるさまざまなシステム

本作独特のシステムとして挙げられるのが、アイテムから入手場所への逆引きのガイド。例えば、強化に必要なアイテムの中で足らないものがあった場合、それがどこで手に入るのかが一目瞭然。さらに、すでにクリア済みのステージならワンタップで飛ぶことができる。これは非常に手軽ではありがたかった。

また、最高条件でクリアしたステージは、その後に「急襲」を仕掛けることができる。これは、いちいちマップに入って戦闘を行わなくても、瞬時にドロップアイテムを手に入れられるシステムだ。回数に制限はあるものの、「10回急襲」など10回分を一気に解決してくれる機能となっており、たいへん便利である。

いったんクリアしたマップは、再攻略時に「倍速モード」を選択できるようになるといった親切設計も

本作はなぜか端末の持ち変えに対応しておらず画面が固定されていたり、基本的な部分ができていないかと思えば、ほかの作品では見られない親切なシステムがあったりと、不思議さが際立つ印象であった。何というか、文法や文化圏が違うというか……。ただ、合理性というのは作品ごとに根拠があるので、これはこれでアリなのだと思う。

固定観念にとらわれていると遊んでいて面食らうことがあるかもしれないが、柔軟なスタンスで遊んでほしい。膨大な数の個性的なキャラクターや、奥深い成長・強化システム、そして武器の作成といったRPGとして魅力的な部分もたっぷり味わえるし、戦闘そのものもパーティーが強くなれば加速的にテンポがよくなっていく。じっくりと腰を据えてたのしみたい人におすすめのタイトルだ。

  • 使用した端末機種:iPhone 6 Plus
  • OSのバージョン:iOS 8.4.1
  • プレイ時間:約4時間
  • 記事作成時のゲームのバージョン:1.0.1
  • 課金総額:0円

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