NougatとDaydreamの情報が語られたAndroid開発情報【CEDEC2016】

Android 7.0 Nougat(以下、Nougat)が2016年8月23日(日本時間)にリリースされた。CEDECで行われたGoogleの松田白朗氏のセッションでは、Nougatでの最新の開発環境やDaydreamの情報が語られた。

NugatとDaydreamの最新動向

Nougatがリリースされ、Nexus端末での提供が開始されつつある。また、GoogleはVRプラットフォーム「Daydream」も発表している。

松田白朗氏のセッションでは、ゲーム開発者に向けたNougatやDaydreamの動作条件や開発について語られた。

松田氏は、Googleでゲーム技術の開発を担当している

直近のAndroid事情

最初に、松田氏が紹介したのは、直近でのGoogle Play ストアにアクセスがあった端末のOSとOpenGLのバージョン。

Jelly Bean(Android 4.3)はまだ17%もシェアがあるため、Googleとしては今後もサポートを続けていく方針であるが、ゲーム開発者としてみた場合、シェアの遷移を考えると、KitKat(Android 4.4)以上のOSを想定した方がいいという。

また、OpenGLがGLES3.1以上の端末であれば、新しい描画API「Vulkan」に対応できる。

Gingerbread(Android 2.3)をはじめとするその他のOSは3.0%となり、全体的にユーザーのOS環境は高まっている

縦横両画面対応のゲームはマルチウィンドウに対応

松田氏は、Nougatのアップデートでゲームに大きく影響する点として以下の4点を挙げた。

  • バッテリー性能の最適化
  • レイテンシ向上
  • VR(Daydream)対応
  • Vulkan、Open GL3.2対応

バッテリー性能はバックグラウンド動作やスリープ状態時の通信を最適化することで、バッテリーの消耗を抑えるというもの。

レイテンシについて、オーディオレイテンシのRTT(マイクに吹き込んだ音がスピーカーで再生されるまでの時間)が、20msecになっており、オーディオ開発のスタッフによると理論上は10msecまで短縮が可能だという。

バッテリーが長持ちするようになってはいるが、ずっとゲームを起動しっぱなしの場合はあまり恩恵を受けられないだろう

また、Nougatで追加された新機能の上下マルチウィンドウへの対応は、縦横両画面に対応していたゲームは、自動的にマルチウィンドウ対応になるという。

縦画面、横画面それぞれ一方にしか対応していないゲームはマルチウィンドウに対応しない。また、ゲーム側でマルチウィンドウに対応しない処理を入れることも可能だ

この説明を受けて、Nugat化したNexus 9でマルチウィンドウ機能の動作検証をしてみた。動作検証にしようたのは、縦横の両画面に対応しているKingの『キャンディークラッシュ』と『ファームヒーロー・スーパー』。

検証の結果は、どちらもエラーとなってマルチウィンドウ化はできず、今回のセッションで語られたことを裏付けることはできなかった。

残念ながら、まだ分割画面の対応がされていない模様。なお、縦または横画面のみの対応ゲームの場合、「アプリは分割画面がサポートされていません」という表示が表示される

そのほか、松田氏はDaydreamの動作環境についても解説。

Daydreamに対応するためにはハードウェアとOSでの対応が必要な要件があり、Nougatは、このOSの必要条件をクリアするものだという

また、GearVRに対応している端末の場合、センサー部分をGearVRに担ってもらっているため、必ずしもDaydreamに対応するわけではないそうだ。

Daydream本体とコントローラーのイメージ図。松田氏からはDaydreamの開発用のキットも発表された

2016年のハイエンドの目安

そして、松田氏は、2016年現在、ハイエンドとされる端末の目安と、最新のゲーム開発での留意点について語った。

2016年のハイエンドとされる端末の目安は下記であり、昨年のハイエンドからの変化はCPUの部分で、GPUとメモリは昨年からはあまり変化していないという。

2016年のハイエンドの目安

  • CPU
    SnapDragon 820(Kryo 4コア)
    SnapDragon 810(ARM A57 + A53 計8コア)
  • GPU 500G~1T FLOPS
    Adreno 430/530、Tegra X1
  • メモリ
    2G~4G
    LPDDR4 帯域 28.8GBps

ここ1年で大きく変化したのはCPUで、最新のCPUであるSnapDragon 820はGalaxy S7などに使用されている。メモリは6Gという端末も出てきているが、それは例外に過ぎない

また、松田氏によれば、これからはアプリケーションのデバイスへの最適化が求められると話し、特にデバイスの熱対策は今後、必須となってくるようだ。

VRに対応する場合は、安定したフレームレートを維持することも必須となる

ゲーム開発者に向けて行われた松田氏のセッションだが、ここで紹介されたNougatのパフォーマンスを生かしたタイトルや、Daydreamでどのようなコンテンツが出てくるのだろうか。

CEDEC2016

  • 日程:2016年8月24日(水) ~ 8月26日(金)
  • 会場
    パシフィコ横浜 会議センター
  • 主催
    一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)
  • 共催
    日経BP社
  • 予定セッション:200
  • 後援
    経済産業省
    横浜市
    一般社団法人情報処理学会
    人工知能学会
    NPO法人 ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER)
    日本バーチャルリアリティ学会
  • 協賛
    <プラチナスポンサー>株式会社Cygames
    <ゴールドスポンサー>エピック・ゲームズ・ジャパン
    <シルバースポンサー>株式会社ディー・エヌ・エー、任天堂株式会社、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント