【西川善司のモバイルテックアラカルト】第22回: 「コンテンツ東京2016」に行ってきました

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6月28日(水)~7月1日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催された「コンテンツ東京2016」に行ってまいりました。ボクが来場したのは29日の1日のみだったこともあり、すべてのブースを回ることはできませんでしたが、回ったブースの中から興味深かったところをピックアップして紹介したいと思います。

VRなどの先端技術を体感

この展示会は、

  • 第2回先端コンテンツ技術展
  • 第5回クリエイターEXPO
  • 第6回キャラクター&ブランドライセンス展
  • 第4回制作・配信ソリューション展
  • 第4回プロダクションEXPO
  • 第2回コンテンツマーケティングEXPO

などが併催されたもので、1つの展示会に入場するとすべての展示会を通しで見ることができる構成です。

東京ビッグサイト西展示棟の1階と2階の両方をすべて使った展示会で、開催規模はかなり大きなものとなっていました。

UEIソリューションズブース:8Kの360°全天全周映像

プロダクションEXPOではまず、UEIソリューションズのブースを訪れました。

UEIソリューションズでは、360°カメラを使った8K全天全周動画撮影のソリューションを展示していました。その名も「VRider」(ブイライダー)です。

VRiderの「VR」は、もちろん仮想現実(VR:Virtual Reality)から取ったものです。

この連載でも「360°カメラで撮影した全天全周動画はカジュアルVRの本命になり得る」という論調の回をお届けしたことがありました。

UEIソリューションズは、まさにそうしたコンテンツを制作するためのトータルソリューションを提供するというわけです。

企画、コンサルティング、撮影、再生環境の構築までを提供するBtoBサービスとのことですが、ブースでは実際に彼らが撮影した8K解像度の全天全周映像をVR対応HMDで楽しむことができました。

8Kといえば7,680×4,320ピクセル解像度で、フルHDの縦横4倍、画素数にして16倍、3,300万ピクセルの動画ということになります。

後ろのテレビモニタの映像が筆者の実際に見ている映像に連動している。このシーンはラスベガスの噴水ショーの一幕

なお、撮影は複数の高解像度アクションカメラを専用ブラケットにはめ込んで撮影しているとのことでした。

ただ、全天全周の映像を8K解像度で撮影しているということであり、一度にユーザーが見られる映像は対角画角にして100°前後の範囲になります。

説明担当者によれば、一度にユーザーが見られる映像解像度はSD解像度程度になるとのことです。

とはいえ、現在の全天全周撮影カメラの定番機のリコー「THETA S」でもフルHD解像度どまりです。

最近、各社から出始めた360°カメラの上級機でも4K(3,840×2,160ピクセル)程度ですから、8K撮影は360°映像としては相当に高い解像度になります。

ボクも実際にVR対応HMDで体験させてもらいましたが、THETA Sで撮影したものとは段違いの解像感を感じました。

こうしたコンテンツは、基本的にはユーザーが首を回して全天全周映像の好きな方向を見るだけの体験となるはず。

ですが、UEIソリューションズが提供する360°映像ソリューションでは、再生中の360°映像に対して任意のCGをリアルタイム合成することにも対応しているそうです。

実際に、砂漠地帯の実写360°情景にCGの雪を降らせる合成デモなども体験させてもらいました。

灼熱の太陽が照っている雲1つない青空から、砂漠に雪が舞い落ちる光景は、なんとも幻想的でした。

砂漠の空に降るCGの雪を体験中

テラバイトブース:異星の砂漠を爆走する「レーシング×シューティング」

プロダクションEXPOでは続いて、テラバイトのブースを訪れました。

テラバイトは、実写映画『進撃の巨人』や『ガッチャマン』などのCGを担当したCG制作スタジオですが、ゲームエンジンを駆使してのオリジナルVRゲームコンテンツの制作も行っています。

今回、ブースで体験させてもらったのは、VR対応HMDを被るだけでなく、ステアリングコントローラにバケットシートを組み合わせた本格的なレーシング筐体に座り込んでプレイする、なにやら本格的なVRゲームでした。

てっきりシンプルなレーシングゲームかと思いきやそうではなく、戦闘車両を走らせながら迫り来る敵を砲撃で撃退していく「レーシング×シューティング」ゲームなのでした。タイトルは『ESCAPE』です。

https://youtu.be/svbpGGW-028

『ESCAPE』公式プロモーション動画

プレイヤーが乗るのは砲台の付いた戦闘バギーです。

このバギーを操縦し、異星の砂漠を爆走してゴールを目指す内容なのですが、追走してくる敵戦闘車両や、妨害してくる原生生物を撃退しないと自車両が破壊されてゲームオーバーとなってしまいます。

運転はステアリング操作とアクセル&ブレーキで、普通の車と同じですが、砲撃をどうやるのか気になりますよね。

実は、VR対応HMDの視界中央に照準が設定されており、ここに敵を合わせつつステアリング上の攻撃ボタンを押すことで敵に攻撃を仕掛けられるのです。

なので、前を見て運転しているだけではダメで、プレイヤーは左右に首を振って追走してくる敵戦闘車両に砲撃をしていかなければなりません。

左右に首を振りながらのレーシング×シューティング。常に周囲の様子をうかがわなくてはならないため、かなりいそがしい

ステージ中盤からは空飛ぶ原生生物も飛来してくるので上も向かなければならず、首をぐるぐる回しながら運転するので相当に忙しいゲーム内容でした。

最後はヘビのような多関節・列車型戦闘車両がボスとして登場。これを撃退してゴールすると、クリアとなります。

根っからのゲーマーであるボクは初見でクリア。その日の午後終盤での体験でしたが、本日3人目のクリア達成者だそうで、スタッフのみなさんから拍手で称えられてしまいました。えっへん。

ただ、VR対応HMDを取った筆者の顔は汗だく疲労困憊で「ゲームに勝ってVRに負けた」という表情でした(笑)。

カートで鍛えた左足ブレーキを駆使(笑)。かなりチャレンジングな内容だった

ソニーブース:『ゴーストバスターズ ピコプロトンパック』

ソニーブースは、未発表の新世代プロジェクション技術を活用したさまざまな展示を所狭しと展開。撮影を特別に許可されたのでレポートしたいと思います。

ソニーは「LEZAB」と呼ばれるMEMS技術を活用したレーザースキャンプロジェクタ技術を実用化しています。

LEZABモジュール

MEMSとは「Micro Electro Mechanical Systems」の略で、簡単にいえば超微細な電磁メカ素子のことです。

LEZABでは、MEMS技術によって仕立て上げられた超微細ミラー駆動素子を用いて、RGBの3原色レーザー光で映像を構成する走査線を描き出します。

ブラウン管の表示原理によく似ていますが、ブラウン管はRGBの蛍光体に電子ビームをぶつけてRGB発光させましたが、LEZABではRGBレーザー光を直接走査する点で少し違います。

LEZABモジュールの機能ブロックダイアグラム

このLZAEB技術を活用した超小型レーザープロジェクタ製品は「MP-CL1」として発表されており、ソニー・アメリカでは発売されていて実際、好評なのですが、日本では諸事情から発売には至っていません。

ソニーは、このMP-CL1とは別の超小型レーザープロジェクタ製品を年内に日本でも発売する予定らしいのですが、実際MP-CL1にはない、なんとも「ユニークな機能」を搭載しての発売を画策しているようなのです。

そして、そのユニークな機能を活用した展示が今回行われていたのです。

その機能とは、具体的には「IMU」(Inertial Measurement Unit)の搭載です。IMUは和訳すると慣性計測装置で、わかりやすくいえばモーショントラッカーですね。

プロジェクターにモーショントラッカーをくっつけてなにが面白いの……? と思うかも知れません。

向けた方向の映像が投射される、ソニーの新超小型レーザープロジェクタ

では、どういうことができるのか……まず、ごく普通のプロジェクタで考えてみます。

例えば、「車の運転席から見た景色の映像」を投射中のプロジェクタを動かすことを想像してみましょう。

普通のプロジェクタでは、運転席から見た正面の景色の映像がプロジェクタの動きに連動して動くだけです。当たり前ですよね。

しかし、ソニーの新超小型レーザープロジェクタでこの動作を行うとあら不思議。例えば、左に向けると助手席の情景が投射され、上に向ければ車内の天井が映し出されるのです。

そう、まるでVR対応HMDのように、プロジェクタを向けた方向の情景の映像が投射されるのです。

いわば巨大な全天全周映像が仮想的に存在していて、プロジェクタの投射方向でそれを切り取って投射するようなイメージです。

ボクがまず体験させてもらったのは、巨大な水族館の景色をこのプロジェクタを動かして眺める……というデモでした。

水族館の巨大水槽内の情景をこの新超小型レーザープロジェクタを使って観察している様子

上の説明がわからなかった人も、上の動画を見ると「なるほど」と理解してもらえるのではないでしょうか。静止画だけでなく、動画にも対応しているのが凄いですよね。

続いて体験したのは、この新超小型レーザープロジェクタをゲームメカニクスに応用したゲームデモです。
その名も『ゴーストバスターズ ピコプロトンパック』です。

この作品は、8月19日から日本でも公開される映画『ゴーストバスターズ』の連動プロモーションとして開発されたものですが、この新超小型レーザープロジェクタの性能をうまく活かしたゲーム内容になっていました。

映画『ゴーストバスターズ』の予告映像

プレイヤーはゴースト捕獲光線銃を持たされ、さまようゴーストたちに狙いを定めて攻撃を仕掛け、命中すればゴーストが捕獲できて得点となるシステムです。いわば、シューティングゲーム的な内容ですね。

実は、プレイヤーが持たされるこのゴースト捕獲光線銃の中に新超小型レーザープロジェクタが内蔵されており、銃を向けた方向の視界にゲーム映像が投射されるようになっています。

つまり、内部的にはとても広大な映像を扱っているのですが、新超小型レーザープロジェクタを向けた方向だけ実際に投射されるというイメージです。

基本原理としては、前述の水族館の映像デモと同じですね。

動き回るゴーストをゴースト捕獲光線銃でゴーストを可視化しつつ、狙いを定めて撃破・捕獲する。新超小型レーザープロジェクタの特性をうまく活用したゲーム内容

しかし、ゲーム世界の設定としては、銃を向けた方向にだけゴースト可視化光線が照射されてゴーストが見えるようになる……というような感じになるわけです。

動作原理はわかっていても、ゲームとしてはかなりチャレンジングで面白かったです。

隠れているゴーストを、新超小型レーザープロジェクタ……いえいえ、ゴースト捕獲光線銃をあっちこっちに向けて探し出して撃退していく爽快感は、まさに映画さながらです。

この『ゴーストバスターズ・ピコプロトンパック』は、7月16日より期間限定で、愛知県蒲郡市にある複合型リゾート「ラグーナテンボス」のテーマパーク「ラグナシア」にて楽しめるとのことです。

ゲームオーバー後には腕前の評価もあるので、友達と競ったりすると盛り上がるかもしれません。ちなみに、ボクはMASTERクラスでした(笑)。

終了後にはスコアに応じた「ゴーストバスター認定証」がもらえる。ぜひ「ラグナシア」で体験してみて下さい

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