【西川善司のモバイルテックアラカルト】第21回: E3を思いっきり昔から振り返る

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E3は、毎年ロサンゼルスで開催されている世界最大級のゲームの見本市。そのE3に、今年も行ってまいりました。

E3の開催遍歴……膨張したE3、リセットしたE3

E3は、「Electronic Entertainment Expo」の略で、世界最大級の「ゲームの見本市」です。

東京ゲームショウとの最大の違いは、一般ユーザーが入場できないという点です。いうなれば、会期全日ビジネスデーということですね。

また、業界関係者であっても17才未満は入場できないため、警備が厳しい開催年度では身分証の提示を求められることもあります。

E3が見本市であることと、入場者年齢制限があることを示す看板が会場周辺に複数立てられている

開催場所は毎年、ロサンゼルスにあるロサンゼルスコンベンションセンターです。

展示会場のサイズを調べてみたところ、E3会場となっているロサンゼルスコンベンションセンターの総展示敷地面積は約66,900平方メートル。

関東圏でよく展示会場に用いられる、幕張メッセのメイン会場のホール1~8が約54,000平方メートルでした。

E3会場は面積的には極端にでかい会場というわけではないのですが、よく「世界最大級」といわれるのは、周辺で行われる関連イベントを含めた表現だからですかね。

「E3 2016」のロサンゼルスコンベンションセンターの様子

E3は、2000年代前半のころは、5月に開催されてきました。しかし、近年は6月開催が定着しています。

いずれにせよ、開催時期が年半ばということもあってその年の年末商戦、あるいはそれ以降をにらんだゲームタイトル及び関連製品が展示される傾向にあります。

そうです。基本的には既発売のタイトルは展示されません。

ボクは、2000年のE3に行ったのが初めてで、当時は、「PS2」の発売が予定された年であり、また、翌年に初代「Xbox」の発売を控えていたタイミングだったこともあり大盛況でした。

この時代はスマホもなかったので、ゲーム専用機こそがゲーム界の中心であり、新世代機のアナウンスには全世界のゲームファンが湧いたものでした。

筆者が初めて訪れたE3 2000は、翌年にXboxの発売を控えていた年。会場の階段にはどでかい「X」のロゴが!

2005年のE3では、「Xbox360」の発売年であり、「PS3」と「Wii」の発売を翌年に控えていたこともあって、この時も大盛り上がりでした。

ゲーム分野では長らく不動だった任天堂がソニーに首位を譲ってしばらく経った時代で、新参のマイクロソフトも勢力を上げて追い上げていた状況だけに、3社の発表会は白熱を極めました。

やはり新ハードが出る前後の年は、盛り上がりがすごいものです。

E3 2005はPS3、Xbox 360、Wiiの発売を控えた年。新ハード登場前のE3の開催は熱気がすごかった! このあと、任天堂のWiiによる猛追が始まるのでした

こうしたゲームプラットフォームの盛り上がりに連動して、E3は開催規模がどんどんと大きくなっていきました。しかし、実はこの2005年ごろには出展が飽和状態となっていたのでした。

さらに、本会場に出展しなかった企業が本会場周辺でサテライトイベントを開催するようになり、来場者たちが混乱するようにもなりました。

また、本来「見本市」であるにもかかわらず、一般ブロガーまでがメディア枠で来場するようになって来場者が膨れ上がり、ビジネス的な商談、あるいは取材を行うことに支障を来すようになってしまったのでした。

そこで、心機一転、E3は「Expo」形式の開催を取りやめ、2007年と2008年の開催は「サミット」形式として出展社も来場者も完全招待制にして規模を縮小してしまったのです。

どのくらい規模が縮小されたかといえば、会場はサンタモニカ近郊にある飛行機倉庫跡地で、ソニーブースが大きな丸テーブル5、6個程度でできていた……といえば伝わるでしょうか。

プラットフォームホルダーのブースですら、ちょっとした大手同人ソフト業者のブース程度になってしまったのです。

ソニーやEAのブースが丸テーブル数個というレベルにまで小さくなったE3。規模縮小は2008年まで続き、「サミット」という冠も付いた

この時の来場者数は全盛期の5分の1~10分の1に減ったとされ、この規模縮小開催は翌年の2008年まで続きました。

2年間の大胆な開催規模の縮小で、じゅうぶんな出展社や来場者のふるい落としが実現できたためなのか、あるいは出展社や来場者からの希望に応えたのか、2009年からは以前の開催規模に戻され現在に至っています。

賛否のあった規模縮小開催ですが、E3の自然崩壊を防いだかもしれない……と、高く評価する論調も少なからずあります。

今年のE3は?……サウスホールに異変あり!?

それでは2016年のE3 2016はどうだったのでしょうか。

実は、今年は出展社のラインナップに大きな変動がありました。E3は、メイン会場としてコンコースでつながれる形でウエストホールとサウスホールの2つがあります。

ウエストホールはマイクロソフト、ソニー、任天堂などのプラットフォームホルダーがメイン出展者で、サウスホールには大手ゲームパブリッシャーや大手ゲームスタジオのブースが軒を連ねています。

様変わりしたのは後者、サウスホールの方です。

今年は、世界トップのElectronic ArtsとActivisionが出展を取りやめたのです。

また、5月、ビデオゲーム事業から撤退することを表明したディズニーも出展していません。

戦争系オンラインバトルゲーム『World of~』シリーズを手がけているWargaming社は、E3のトレードショー(見本市)という開催コンセプトが同社の思惑と一致しないことを理由に2016年は出展を見合わせました。

これらの4社は、それぞれ、E3周辺の会場で独自イベントを開催したり、あるいは後日、独自イベントの開催を計画したりしているようです。

ただ、例年、EAブースのあったところにはTake-Two Interactiveと2K Gamesが、ActivisionブースのあったところにはBethtesda Softworksがほぼ同サイズのブースを構えたため、「何かが抜け落ちた」感はほとんどありませんでした。

E3 2016におけるTake-Two Interactive&2K Gamesブース(左)とBethtesda Softworksブースの様子(右)

ただ「大手出展社が抜けて、会場周辺で独自開催イベントを行い出す」というのは、そうです、2005年前後を思い出させます。

もしかしたら、数年後、また「あの時のリセット」があるかもしれません。

プラットフォームホルダー3社の「色」が現れたウエストホール

ゲームプラットフォームホルダー3社が出展したウエストホールはどうだったのでしょうか。

結論からいえば、3社の特色を有効に活かした出展を行っており、来場者の満足度も高かったように思います。ボクも、昨年に勝るとも劣らぬほど有意義な取材ができたと思っています。

「PS4」を有するソニーブースが最も力を入れていた展示は、2016年10月に発売されるVR-HMDの「PSVR」を活用したゲームコンテンツの展示です。

今年は、スマホアプリを使った試遊台予約システムを採用して混雑の低減を試みていましたが、新型ガンコントローラーに対応した1人称型シューティングVR『FARPOINT』を始めとしたVRコンテンツ体験や、2016年11月発売予定の『グランツーリスモSPORT』の試遊台は大人数が体験できるようになっていたものの、連日ほぼすべてSOLD OUT状態。大人気を博していました。

グランツーリスモSPORTの首都高コースにレース参戦。来場者同士のレースだったのだが、周回遅れの車が真横に道を塞いでいてゴール間際で波乱。トップ集団が大激怒(笑)

ソニーブースで大人気だった『Batman: Arkham VR』。バットマンに変身する体験を楽しむ筆者。自分の身体にバットマンガジェットが次々に取り付けられ、変身していく姿に感動!!

日本では苦戦しているマイクロソフトの「Xbox One」も、アメリカではまだまだ健闘中です。

これまでセットトップボックスとの連動や「KINECT」を活用したボディジェスチャーゲームの展示に力を入れていた方針を転換し、今年は基本に立ち返って、通常ゲームコントローラーでプレイするスタンダードなゲームの展示に注力していたのが印象的でした。

また、今年、発売予定の新型コントローラの展示やスリム版Xbox Oneの「Xbox One S」の展示が注目を集めていました。

なお、E3会期中に高性能版Xbox Oneの「PROJECT SCORPIO」も発表されましたが、実機展示はありませんでした。

日本では苦戦しているXbox Oneも、アメリカだと今も健闘中。『FORZA HORIZON3』の大画面試遊台などは2時間待ちで、マイクロソフトブースは日本では考えられないほどの熱気に包まれていた。早くも試遊台には新型のXbox One Sが採用されていた

任天堂は、過去に事例がない異色な展示を展開。というのも、今年の任天堂ブースは、実質的に『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の試遊台オンリーのゼルダブースにしてしまっていたのです。

来春発売が宣言された次世代機「NX」(開発コードネーム)どころか、他のタイトルの展示もなしのゼルダ一色。

ブース内は『ゼルダの伝説』のゲーム世界を模したジオラマ風の作りなっているという凝りよう。

アメリカでは特にゼルダの伝説シリーズが人気があるので、この展示コンセプトは現地来場者には大好評のようでした。

ブース内のそこかしこには等身大ゼルダワールドフィギュアによるジオラマ展示が施されており、もはやテーマパーク状態。「試遊台プレイあり」だと2時間待ち、「試遊台のプレイなし」のブース内観光のみでも40分待ちの任天堂ブース。やっと入れてはしゃぐ筆者(笑)

来年のE3は今年よりもいっそう、興味深いものになりそうです。

なにしろ、ソニーもついに存在を認めた高性能版PS4のお披露目が期待できるでしょうし、そのライバル「PROJECT SCORPIO」も姿を現すことでしょう。

そして、来年のE3時には既に発売済みとなっているはずのNXもブースに列ぶはずです。

前述したように、新ハードが登場するE3は大盛り上がり必至ですからね。早くも来年が楽しみです。

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