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3,000円でVR体験! 初めてのゴーグル選び(後編)

VRゴーグルの選び方後編では、クラウドファンディングを利用し、その使いやすさで話題になった「タオバイザー」と、スマホVRボックスシリーズの「VR BOX wide PRO」、そしてSamsungとOculus の共同開発で生み出された「Gear VR Innovator Edition for S6」を紹介。次世代のアプリゲームをけん引する、VRコンテンツを存分に楽しむためのゴーグル選びの参考にしてほしい。

初めてのゴーグル選び(前編)はこちら

VR BOX wide PRO

  • 価格:1,950円(税抜き)
  • メーカー:株式会社サナリス
  • サイズ:W154mm×H93mm×D88mm
  • 材質:発砲PPシート、VRL-31WD(専用アクリル両凸レンズ)
  • 推奨機種:5.5インチまでのiPhone、Android

軽くて丈夫! コスパに優れたVRゴーグル

超安価な「スマホVRシート」などで有名な、株式会社サナリスのスマホVRボックスシリーズ。そのなかから、超多角ワイドレンズを採用した、ベルト付きハンズフリータイプのVR BOX wide PROをピックアップ。

4枚の板を組み合わせるだけと、作り方は超簡単!バラバラにすれば、かさばらないので、持ち運びにも便利

VR BOX wide PROを、実際に装着した様子。視界がほぼゴーグル内に収められるため、周囲がまったく見えない。かろうじて、明るいか暗いかがわかる程度だ

PP(ポリプロピレン)素材なので、軽量だが、剛性が高く水にも強い。今回使用したモデルは色が黒なので、汚れも目立ちにくい

機材に肌が接触する部分は、おでこと頬。両方ともゴム樹脂やプラスチックで防護されており、汗をかいたり、脂性肌などであっても、本体に影響がないように配慮されている

VR BOX wide PROの使用感

ワイドレンズのおかげで、上下左右の視界の広さはかなりのもの。またハンズフリーのため、画面に意識を集中できるのが大きい。手でゴーグルを押さえるタイプだと、どうしても双眼鏡で覗いている感じがあるが、両手が自由だと、普通に目の前で見ている感覚に陥る。これからは、このタイプが主流になるかもしれない。

レンズと顔の間にスペースがあり、大きめのメガネをかけても問題なく見ることができる。ただ、少しメガネが押されるため、鼻の付け根に若干のキツさを感じることも

顔に固定するベルトは、頭の大きさに合わせて調整可能。ベルトの締め付け感は、やや強めな感じだ。そのため下にずり落ちることはなく、装着しながらの移動や顔を上下に振るなど、そこそこ激しい動きにも耐えられる

ゴーグルの前面が開き、そこにスマートフォンを設置するタイプ。左右に隙間が空いているので、iPhone 6S Plusなどの大きめのサイズでも、問題なく使用できる。

前面は、マジックテープで強力に固定されている。年甲斐もなく、ヘッドバンキングなどを試してみたが、筆者がダウンしても微動だにしなかった

iPhone 6S Plusを装着すると、iPhone本体が少し外に出る感じに。しっかりと固定されているので、VRゲーム中にスマホがずれることはなかった

まとめ

軽さと持ち運びやすさが最大の利点。ものの1分程度で4枚の紙に分解でき、複数あってもかさばらず、1人で楽に持ち運びできる。そのため、プレゼンなどで複数使用する際は、非常に便利だ。また、ある程度の視野角を確保し、ハンズフリーでありながら、2,000円弱と値段が手ごろな点も見逃せない。VRコンテンツをしっかりと楽しみたい人は、購入を検討してみるのもいいだろう。

タオバイザー

  • 価格:1,500円
  • メーカー:タオソフトウェア株式会社
  • サイズ:W172mm×H76mm×D92mm
  • 重量:58g(マグネット未装着)
  • スマホ装着スリット:長さ143mm×厚さ7mm
  • 推奨機種:Nexus5

広い視野角を持ち、細かい調整も可能な優れた一品

2014年8月と2014年12月の2回に渡り、クラウドファンディングの支援を受けて生産され、話題となったVRゴーグル。手軽にVR世界を体験できることがコンセプトだが、丈夫で壊れにくく、汗や脂などの汚れにも強いと、値段以上のスペックで人気となった。

いくつかのパーツとネジ代わりのプラビス、レンズなどを使った組み立て式。作り方は公式ホームページに掲載されているので、しっかりと確認しておこう

タオバイザーの完成した姿。組み立てに要した時間は、だいたい10~15分程度

材質は、軽くて丈夫な無架橋低発泡ポリプロピレンシートのエフセル製。耐水性があり、帯電も防ぐので、ほこりや汚れにも強い。

タオバイザー装着時の様子。本体に接触する顔部分は、額と目の下の頬あたり。水を弾くので、汗や皮脂にも強く、濡れた後も気にならない。ゴーグル下部の穴から、少しだけ周囲を見渡せる

タオバイザーの使用感

初めて見ると、視野角の広さに驚かされる。同価格帯のほかのVRゴーグルと比較すると、左右にかなり開けているように感じられ、没入感も高い。また筆者はメガネを着用しているが、メガネの縁や鼻の付け根への圧迫感もなく、使用時はノーストレスだった。

プラビズを緩めてレンズの位置をずらすことで、目の間隔を調整できる

レンズ部分が簡単に取り外しできるので、スマホ位置の調整も手軽に行える

スマホは隙間から差し込む方式。推奨機種であるNexus5と同程度の大きさなら、ガッチリとすべり止めが効くので、タオバイザーを動かしてもスマホがずれることはなかった。

下部に穴が開いており、スマホをセットしながら、指でも操作できるのは大きな利点。再プレイなどで、いちいち取り出す手間を省いている

まとめ

登場から1年以上経過しているにも関わらず、細かい調整個所やレンズへのこだわりなど、中価格帯での使いやすさは群を抜いている。現状だと、ディスプレイサイズが大型化する傾向にあるため、サイズが合わないスマホが増えてきているが、サイズが合うのなら、最初に選ぶVRゴーグルとしては最もおすすめできる。

だが、今はもう生産終了しており、残念ながら手に入れる手段がないのが最大の問題といえる。なお、発売日などは未定ながら、タオバイザーの次のバージョンが、すでに企画されているとのこと。ほしくてもあきらめていた人もいると思うが、新バージョンに期待したい。

Gear VR Innovator Edition for S6

  • 実勢価格:24,800円(税抜き)
  • メーカー:Samsung
  • サイズ:約W196.1mm×L98.5mm×H82.8mm
  • 重量:271g(ストラップ、フロントカバー、Galaxy S6、Galaxy S6 edgeを除く)
  • 視野角:96°
  • 対応デバイス:Galaxy S6、Galaxy S6 edge

Galaxy S6、S6 edgeに特化した、次世代の映像空間を体験できるVRHMD

番外編として、ちょっと高価格帯のVRゴーグルを紹介しよう。Samsungと、PC用のVR HMD( Head Mounted Display)「Oculus Rift」で有名なOculusが共同開発した、Galaxy S6用の商品だ。

箱を開けてみると、本体とストラップが分かれた状態で収納されている

頭のサイドと頭頂部を覆うストラップは、マジックテープで固定できる

Gear VR装着時の様子。目の周りは軟らかいスポンジ状のフォームクッションで覆われており、圧迫感はほとんどない

デバイスは本体前面に差し込むタイプ。すべり止め付きで、激しく動いても落ちない、ガッチリとした安心感がある

Gear VRのコンテンツを利用するには、専用の「Oculus」という無料アプリが必要だが、これは簡単に入手できる。まずGear VRにGalaxyをセットすると、「Oculus Store」セットアップウィザードが自動的に立ち上がり、アプリのインストールを行う。インストール後、そのアプリを起動し、IDを登録すれば準備OK。「Oculus Store」にログインし、スマホをGear VRにセットすれば、さまざまなVRコンテンツを楽しむことができる。

Gear VR Innovator Edition for S6の使用感

やはり特筆すべきは、その没入感だろう。目の前に別世界が広がり、そこにいる住人と、視点を共有しているかのような感覚を味わえる。また、本体とスマホを合わせて400gと、そこそこの重さがあるが、うまく重量が散るようにバランス設計されており、首への疲労感などはあまり感じなかった。メガネが使用できないのが少々残念だったが、ピント調整ダイヤルを使えば、筆者のような重度の近視でも、ある程度見やすくできるのはうれしい点だ。

本体上部にあるダイヤルで、ピントの調整ができる。筆者は視力0.01というなかなか強力な近眼なのだが、メガネなしでも映像を楽しめた

本体右側面にあるタッチパッドを使えば、Gear VRを付けたままタップやスワイプなどの操作ができる。タッチパッドの上にあるのは、なかなか便利な「戻る」ボタンだ

本体左側面には、音量を操作できるボタンが。スマホをはずさなくても、いろいろ調整できるようになっている

まとめ

Galaxy S6とGalaxy S6 edgeの2種類のスマホしか使用できない制約はあるが、あのOculusが関わっているだけあり、没入感や装着感など、トータルのバランスはかなり高い。その分、値段がかなり張るが、VR コンテンツに興味がある人は、ぜひ購入したいレベルではないだろうか。

なお、アメリカで今年の11月に発売された新Gear VRは、今回紹介したGear VR Innovator Edition for S6と比較し、重量が軽くなり、対応機種も増加。値段も99ドルと、より購入しやすくなっている。日本でいつ登場するかは、まだ定かではないが、Galaxyシリーズを持っている人は、新Gear VRの発売を待ってみるのもいいかもしれない。